「宿泊業がおもてなしに集中できる環境を目指す」 多国籍エンジニアを率いる高橋CEOが描くtriplaのビジョン
~新morichの部屋 Vol.9 tripla株式会社 代表取締役CEO 高橋和久氏~
福谷学氏(以下、福谷):リニューアルして新しくなりました、新「morichの部屋」。今回で9回目となります。月に1度開催しているため、9ヶ月続いていることになります。
森本千賀子氏(以下、morich):やってきました。続いちゃいましたね。3ヶ月で終わってしまうかと思っていました。
福谷:いやいや、あれもこれもと言いながら続けて、いろいろなすばらしいゲストをお招きしてきました。本日も素敵なゲストをお招きしていますが、まずはmorichさんの自己紹介をお願いします。
morich:初めての方もいらっしゃるため、簡単に自己紹介をします。新卒でリクルートに入り約25年間、人と組織のマッチングという人材紹介事業を行ってきました。約3万人を超える方々のキャリア相談に乗り、累計2,000人ほどの転職を成約させ、おそらくリクルートの中では歴代で今もまだトップだと思います。
福谷:すばらしいことです。
morich:受賞をするとトロフィーがもらえるのですが、私は30個ほど持っています。ダンボール2箱分になります。
福谷:30個もですか? 今はトロフィーはどのようにしているのですか?
morich:実家にあるのですが、たまに母親から「これどうする? 燃えないゴミで出していいの?」などと言われます。
福谷:人材紹介は今もされていると思いますが、CXOの方々にフォーカスしているということですか?
morich:おっしゃるとおりです。本日のゲストの方とも少し接点がありますが、リクルートに在籍中も、リクルートグループの中のリクルートエグゼクティブエージェントに10年ほどいて、そちらから独立しています。
現在も継続して、いわゆる組織のピラミッドの中ではCXOと呼ばれる方々の、次なる新しいチャレンジを応援させていただき「スタートアップの母」と呼ばれています。
福谷:そうですね、私の姉でもあります。
morich:スタートアップ支援ということで、最近のトピックスを言いますと、文部科学省から「アントレプレナーシップ推進大使」の任命を受けました。小中高大学生に、アントレプレナーシップのマインドセットを注入していくという任務も行っています。
福谷:すばらしい。また活動範囲が広がったということですか? さらに進化されていると思います。
morich:ありがとうございます。みなさまもよろしくお願いします。
高橋CEOの自己紹介
福谷:それでは、本日のゲストをお招きします。
morich:tripla株式会社の代表取締役CEO、高橋和久さんです。最初に自己紹介を簡単にお願いできますでしょうか?
高橋和久氏(以下、高橋):1976年、昭和51年生まれの47歳です。生まれは栃木県宇都宮市で、18歳から24歳まで札幌市で過ごしました。その後はアメリカに留学して、セプテンバーイレブンを目の前で確認したことで怖くなって、ボストンに移住しました。
その後はアメリカのノースカロライナ州でMBAを取得して、日本に帰国後、外資系企業を4社ほど渡り歩き、2015年にtripla株式会社に参画しました。弊社は旅行系の会社で、なんとか順調にビジネスを伸ばすことができ、2022年11月に東証マザーズのグロース市場に上場しました。
morich:おめでとうございます。
私にはシングルマザー疑惑がありますが、実は夫がいます。現在は独立していますが、もともとリクルートの「じゃらん」の事業部に在籍していたため、我が家は旅行する際に「じゃらんnet」しか使えないという家庭内ルールがありました。
福谷:そのようなルールがあるのですね。
morich:そのためtriplaとの接点はありませんでしたが、今回いろいろ調べて、今後たぶん活用するのではないかと思いました。ご経歴で興味深かったのですが、なぜ宇都宮から北海道に移住したのでしょうか?
高橋:あまり人に言ったことはありませんでしたが、私は栃木県にある宇都宮大学教育学部附属小学校という、国立小学校を受験して入りました。
morich:宇都宮で小学校受験はあまり聞きません。坊ですね。
高橋:男女90人ずつ180人の共学で、私は中学校まで9年間通いました。90人の男性のうち、すごく優秀なトップの生徒は開成高校に進学します。続いて、慶応義塾大学や早稲田大学の付属の高校に行く生徒もいます。次は、栃木で一番の宇都宮高校になります。
morich:進学校ですね。
高橋:宇都宮高校には90人中55人も受かります。
morich:すごいですね。
高橋:それなのに、私は落ちて高校受験に失敗してしまいました。すると中学の同級生が「元気出せよ」と言って、落ちた直後にみんなで北海道にスキー旅行に行きました。
morich:激励ですね。
高橋:私のことをかわいそうだと思ってくれた4人くらいの友達と、ニセコと札幌にスキーに行きました。誰にも言っていないのですが、その時になぜか感極まって「大学受験をして北海道に来る」と決意しました。
morich:中学3年生の時に、心に秘めていたのですね。
高橋:そうです。ところが多感な高校時代の3年間を過ごすと、北海道よりも東京のほうがいいと思うようになりました。そこで、東京の国立大学を前期日程で受けましたが落ちてしまい、後期日程でなぜか北海道大学を受験することになり、たまたま合格して北海道に行くことになりました。
morich:ご縁ですね。
高橋:縁があって行きました。
祖母に帳簿の付け方を教わった幼少期
morich:ちなみに、高橋さんはとてもスマートに見えますが、どんな幼少期を過ごされましたか? 本当に絵に描いたような、おそらく家柄もいいイメージですが、中学校で55人の中に入れなかったのは、何か打ち込んでいたものがあったのでしょうか?
高橋:小学校の時にはサッカー部に入って、中学校ではテニス部に入りました。運動が好きだったため、けっこう運動に打ち込んでいたというのはあると思います。
morich:勉強はそこそこでしたか?
高橋:勉強はほとんどしていませんでした。
morich:でも、おじいさまが事業をされていたのですよね?
高橋:祖父は町工場を経営しており、発泡スチロールの設計や、金型、木型を作る事業を行っていました。それをもともとはホテルで働いていた父が継ぎました。
morich:そうなんですか。それもご縁ですね。
高橋:京都ホテルで働いていた際、京都府出身の母親と知り合って結婚しました。その後、子どもが生まれて、実家を継ぐため栃木県に帰ることになりました。
morich:ホテルから工場に転職したのですね。
高橋:そうですね。今は私がホテル関係の事業を行っているため、喜んでいるかもしれません。
morich:やはり原点ですものね。
高橋:私よりも父の方が、ホテル事業が好きだと思います。
morich:希望して就職したわけですからね。幼少期に帝王学のようなものはなかったのですか?
高橋:ないです、ないです。
morich:そうでしたか。いや、私の実家は滋賀県の片田舎なのですが、父親が事業を行っており、弟が幼い頃から「お前が継ぐんだぞ」と言い続けていました。
高橋:帝王学はありませんでしたが、帳簿の付け方は祖母からものすごくうるさく教えられました。100万円と記載する時に、3桁ずつ点を入れていきますが、1万円ずつ区切ったほうがわかりやすいと思い、4桁目に点を入れたらものすごく怒られました。
morich:ルールはしっかり守れということですね。
高橋:「お前、これをしたら、大人になった時に大きな失敗をするぞ」と言われました。
morich:確かに。この違いはとても大きいですね。
高橋:「ひと桁間違えるから絶対に駄目だ」とすごく怒られた記憶があります。
morich:それは小学生の頃ですか?
高橋:おそらく小学4年生以下だったと思います。父親の会社の事務所がその頃引っ越しをしており、昔の事務所で一緒にそろばんをはじいてる時に怒られた記憶なので、それ以下だと思います。
morich:電卓は無かったのですか? そろばんをはじきながらですか?
高橋:無かったですね。ちょうど電卓が出始めた時期です。
morich:そうでしたか。その頃ふつふつと「いつか起業をしたい」という気持ちはありましたか?
高橋:まったくありませんでした。ご存知だと思いますが、当時は時任三郎さんの「24時間戦えますか」という「リゲイン」のCMが流れていた時代でした。
morich:愛飲していました。
高橋:父が事業をしていたため、絶対に転勤がないんですよね。親が転勤して引っ越しすることにすごく憧れていました。
morich:家業ですからね。わかります。私も憧れていました。転校生になってみたかったですよね。
高橋:転勤に憧れて、大人になったら絶対にサラリーマンになろうと思っていました。「子どもから、新しい環境に馴染めなくて困っていると相談を受ける」というような想像をしていました。
morich:ドラマのようですね。
高橋:そのような状況に憧れていました。
研究者を断念した教授の言葉
morich:北海道大学は理系ですよね? 数学などの理系が得意だったのですか?
高橋:そうですね、国語はあまり得意ではありませんでした。
morich:北海道大学で4年間学ばれたのですか?
高橋:大学には6年間通いました。
morich:いつかは理系の道に進もうと考えていたのでしょうか? 周りの学生はメーカーなどに行かれますね。
高橋:そうですね。メーカーなどには行きませんでしたね。まず、4年生の時に就職しようと思いましたが、担当の教授に駄目だと言われてしまいました。
morich:当時は教授の影響力が大きかった時代ですね。
高橋:「大学院に行ってもう少し勉強しろ」と言われたので進学したら、大学院1年生くらいの時に「たぶん君は向いてないと思う」と言われてしまいました。
morich:そんなこと言われたのですか? 「早く言ってよ」という感じですね。
高橋:今でも覚えていますが、富山県で学会があり、発表のため教授と2人で富山県の大学に行ったことがありました。教授に「近くの神通川のほとりに、ツツジがきれいに咲いてるところがあるから散歩しないか」と誘われたのです。
morich:とても鮮明ですね。最初のデートくらい覚えていますね。
高橋:本当にそれくらい覚えています。ツツジを見ながら「高橋くん、たぶん研究者は向いてないと思う」と言われました。
morich:そこでですか? 「1年前に言ってよ」と思いますよね。
高橋:そうですね。そこで、研究者になるのはやめようと思いました。私も以前から研究者に向いていないと思っていましたが、教授もそれに同調したようなかたちですね。
morich:なんとなく思っていたのですね。しかし、ありがたいことかもしれませんね。ここまで勉強したからには、無理やり続けさせるという教授も多くいます。
高橋:そうですね。彼はどちらかといえば、無理やり続けさせるタイプの教授でした。そのような人から見ても向いてないということです。
morich:相当ですね。
高橋:相当向いていないですね。
喫煙所での出会いからフィリップ モリス ジャパンに入社
morich:でも、頑張って卒業したのですね。そして、最初に就職されたのが、フィリップ モリス ジャパンですね。実は私、リクルートの時にフィリップ モリス ジャパンを担当していました。溜池山王にオフィスがあり、何度も行ったことがあります。とてもおしゃれなオフィスですね。
福谷:担当されていたんですね。高橋さんの在職時期と重なっていましたか?
morich:ニアミスですね。
高橋:そうですね、2004年から2011年くらいまで在籍していました。
morich:新卒で採用されたのですか?
高橋:新卒ではなく、中途入社として入りました。
morich:なぜフィリップ モリス ジャパンだったのですか?
高橋:当時は、アメリカに留学した後でした。アメリカでボストンキャリアフォーラムというキャリアイベントがあって、いくつかの会社を受けており、そこで決まりました。
当時はまだたばこを吸っており、喫煙所でフィリップ モリス ジャパンの人事のトップの方の隣になって「履歴書を見せてみなさい」と言われました。履歴書を見せたら「受けてみなさい」と言われて、受けたら「来てみなさい」と言われて入社することになりました。
morich:すごく単純な感じですね。
高橋:そうですね。面接でその人事の方に「どうなの?」と聞かれて、いくつかコンサルティング会社を受けていたため、そちらに行こうと思っていると伝えたら「オファーレター見せてみなさい」と言われました。見せると「この給料よりも100万円乗せてあげるよ」と言われたのです。
morich:すごい会社ですね。
高橋:「本当ですか?」となり、そこから私も態度が変わり入社することにしました。
morich:お金ですか? 意外と単純な感じですね。
高橋:すごく単純でした。
morich:もともとは興味があったわけではないですよね?
高橋:まったく興味はありませんでした。
morich:本当に偶然出会ったのですね。アメリカに行ったのは、将来的に外資系で仕事をしたかったということですか?
高橋:研究者に向いてないとわかったため、将来はコンサルティングのような仕事をしたいなどと、いろいろ考えていました。また、大人になった時に、英語が話せたほうがかっこいいと考えていました。
morich:モテますからね。
高橋:早い段階で英語を身につけるしかないと思い、早めにアメリカへ行こうと思って渡米しました。それまでは海外の経験がありませんでした。
morich:当時は、英語のレベルはどのくらいだったのですか?
高橋:大学生の時に最初に受けたTOEICのテストは300点台でした。
morich:みなさま、勇気を出しましょう。そうですか、そこからだったのですね。
高橋:そこから大学にいる間に「これはまずい」と思い、自分で何回か留学や勉強をして、札幌を出る時には、TOEICが750点くらいにはなりました。
福谷:すばらしいですね。
高橋:しかし、それでもまったく通用しません。
morich:話せないですよね。
高橋:そこからアメリカに留学して、少しずつという感じです。
morich:フィリップ モリス ジャパンに入社後は、営業を担当したのですか?
高橋:営業と言いますか、最初はトレーニーシッププログラムというリーダーシッププログラムが初めて立ち上がり、その1人目として選ばれました。
morich:新卒でですか?
高橋:新卒と言いますか、MBA新卒ですね。3ヶ月間、マーケティングや営業、サプライチェーンなどいろいろなことを学びました。
morich:経営のすべてを学ぶというかたちですね。いわゆる幹部候補生ですね。
高橋:今で言うとそうですね。
morich:いろいろな部署を転々としたのですか?
高橋:そうです。自動販売機にたばこを詰める仕事もしていました。
morich:個人商店のたばこ屋さんなどにも行ったのですね。
高橋:行きましたね。
morich:フィリップ モリス ジャパンには何年いたのですか?
高橋:途中で1回辞めて、A.T. カーニーというコンサルティング会社に入社しました。しかし、A.T. カーニーを辞めて、違うたばこ会社に入ろうとしたところ「それはないだろう」という話になり、前の上司に「戻ってきなよ」って言っていただき、再入社して足掛け6年くらい在籍していました。
国内企業を希望するも外資しか採用してくれない
morich:コンサルファームはずっと憧れていたのですか?
高橋:そうですね。最初は憧れて入りました。
morich:やはり、事業会社側に戻りたいという気持ちがあったのですね。
高橋:そうですね、コンサルティングをするよりも自分で事業を行った方がおもしろいと思い、事業会社に戻りました。
morich:その当時は20代ですよね。「将来こうしたい」というキャリアビジョンはありましたか?
高橋:将来は、外資系企業の少し偉いポジションに就きたいという感じだったかもしれません。
morich:カントリーヘッドですね。やはり外資が心地よかったのですね。
高橋:たぶん、外資しか私のことを採用してくれなかったと思います。
morich:本当ですか? なぜでしょう?
高橋:私も何回か「やはり一度は日本の会社で働いてみたい」と思って転職の面接に行ったのですが「すごく外資の匂いがしますね」と言われました。なかなかマッチングが難しかったですね。
morich:匂いがプンプンしてたのですね。要は、自分中心というような印象を与えるのでしょうか?
高橋:何と言うのでしょうか。とにかく「ケミストリーが合わない」と言われますね。
morich:忖度がないということですかね。
高橋:そういうことにしましょう。
morich:すでに外資らしい雰囲気があったのですね。
高橋:そのように見られていたみたいですね。他には、スタートアップもいくつか受けました。
morich:ちなみに、どのような会社ですか?
高橋:ちょっと、名前は伏せておいたほうがいいかもしれません。
morich:わかりました。いろいろな問題がありますからね。
高橋:その時の面接でも「スタートアップを馬鹿にするのもいい加減にしてください」と言われたんですよね。
morich:性格が悪かったのですかね。
高橋:やる気がなさそうだと評価されたようです。
morich:ちょっと偉そうだったのでしょうか。
高橋:たぶんそうだと思います。それで断られてしまったので、自分でやるしかないなと思いました。それくらい、なかなか日本のみなさまに受け入れていただけなかったです。
「絶対にあなたのキャリアに役立つ」と説得されAmazonへ
morich:なるほど。それで日系企業に入るチャンスはなかったのですね。その後、Amazonに入社されるのですね。私は、実はAmazonも担当していたことがあります。
福谷:そうなんですか?
morich:日本に上陸したばかりのタイミングで担当していました。まだみなさまが「Amazonって何?」という状態の頃です。たぶん、高橋さんが入られたのもそれくらいの時期ですよね。
高橋:そうですね。当時の私はフィリップ モリス ジャパンにいて、最後はオーストラリアに転勤していました。メルボルンから日本に帰ってきてすぐにAmazonに転職したのですが、それを母親に連絡したら「今度は南米に転勤になるの?」と言われたぐらい、まだ知名度がなかったですね。
morich:南米のアマゾンだと思われたのですね。
高橋:オーストラリアから帰ってきて、今度は南米に転勤になると勘違いされました。
morich:そうですよね、たぶんほとんど知られていなかったですよね。当時は楽天に多少の知名度があったぐらいですかね。何年頃でしたか?
高橋:2011年です。
morich:東日本大震災の年ですね。Amazonは、なかなかおもしろくなかったですか?
高橋:おもしろかったですよ。IT企業の経験がなかったため、4年間いろいろと勉強させていただきました。
morich:高橋さんがAmazonに転職された時に、実は私のリクルート時代の弟分が、そのリプレースのお手伝いをしていたのです。
福谷:そうなのですね。morichさんには弟分がたくさんいますね。
morich:100万人いますが、最も私に迷惑をかけていた男でした。
福谷:迷惑をかけていた方ですか。
morich:人懐っこい感じなんですけどね。
高橋:あの時はお世話になりました。
morich:高橋さんは4年間ファッションの部門にいたのですよね。そこでECというものを学ばれた感じですか?
高橋:そうですね、本当に何も知りませんでした。
morich:実はITを避けていらっしゃったんですよね。
高橋:避けていました。本当に何もわからなかったため、なるべくそのような会社では働かないようにしようと思っていたのですが、リクルートエグゼクティブの方から「絶対にあなたのキャリアに役立つから」と説得されました。
福谷:なるほど。
morich:でも、それが今に繋がっていますよね。
高橋:そうです。だから頭が上がらないですね。
福谷:人生が左右されていますよね。いいご縁になったわけですね。
morich:Amazonではすぐにキャッチアップされましたか?
高橋:そうですね。最初の3ヶ月ぐらいは、わからないのにわかっているような顔をしていました。
morich:知ったかぶっていたのですね。
高橋:最初の3ヶ月間はそうでした。
morich:CPAですとか、いろいろな用語がありますものね。
高橋:そうですね。加えてファッションの用語もわからなかったため、ダブルで知ったかぶっていました。
morich:なるほど。それはけっこうきついですよね。相手は「この人はわかっているんだ」と思っていますからね。必死に勉強されたと思いますが、そこでマーケティングの基本的なことを学んだのでしょうか?
高橋:そうですね。例えば、どうやってAmazonにお客さまが入ってくるのか。当時はメールマガジンや、ブックマークなどが経路でした。ちょうどFacebookなども出始めた時だったため、SNSからAmazonにお客さまが入ってくるのですが、この仕組みがわかりませんでした。
morich:わからないですよね。
高橋:そのような説明を受けたり、トラフィックの原点みたいなところを勉強したりしましたね。加えて価格ですね。Amazonはお客さまが価格にどのような反応をするのかという分析に非常に長けています。
morich:そうですよね。今も10パーセントオフなどいろいろなセールがありますが、おそらくさまざまなマーケティングデータから設定しているのですよね。
高橋:そうですね。加えて、絶対に他社よりも高く売らないです。
morich:Amazonは意外と一番安いんですよね。
高橋:安くするというよりも、高く売らないのです。
morich:プライシングが絶妙に最適化されているのですね。
高橋:そのようなこともすごく勉強しました。立場的にはジェフ・ベゾスの1つ下くらいの、インターナショナルの偉い方が当時非常に怒っていた出来事がありました。SMAPの「Smap Vest」というベスト版のアルバムにプレミアムがついて、とても高額になったのです。
morich:そうでしたか。
高橋:それが高い値段で売れたことに対して、お客さんに損害をもたらしたのではないかということで「なぜ定価で売らなかった?」と、会議になった記憶があります。
morich:定価ではなかったのですか?
高橋:定価ではなく、非常に高額なプレミアム価格で売っていたのです。バイヤーが厳しく怒られているのを横で見た記憶があるぐらいですね。それくらい、プライシングはセンシティブにやっているのだなと思いました。
morich:そうだったのですね。そのことが、今にも繋がっているのでしょうか。
インバウンド領域の成長性を感じtriplaに参画するも、当初は年商68万円
morich:その後、triplaとのご縁はどこで生まれたのでしょうか?
高橋:Amazonを辞めた時に、次はコカ・コーラで働くことになっていました。triplaの共同創業者の鳥生さんはもともとAmazonの同僚で、彼はAmazonの前にコカ・コーラで働いていたため、どんな会社なのか相談しにいきました。
鳥生さんから今後のビジネスの展開や、起業してこのようにやっていこうと思う、といった話を聞く中で「おもしろそうだな、僕も一緒に参加しようかな」ということで、2人で始めることになりました。
morich:当時はまだ構想段階でしたか?
高橋:いや、立ち上がってはいましたね。鳥生さんが自分で会社を立ち上げて、構想しているものをこれから実現していこうという段階でした。
morich:では、高橋さんが1人目の社員のような感じだったのですね。
高橋:そうですね。ただ、その時はまだ何人か違う方もいらっしゃいました。今はもう全員いなくなってしまったのですが、当時は何人かいらっしゃって、みんなでわちゃわちゃとやっていました。
morich:鳥生さんは先輩になるのでしょうか?
高橋:年齢的には先輩ですが、Amazonでは一緒に働いていた同僚です。
morich:「この人と一緒にやる」と決められたのは、事業のポテンシャルが理由だったのですか?
高橋:当時、渋谷の焼き肉屋さんで鳥生さんと2人で話していて、これからどこの領域が伸びるかと考えた時に、EコマースにはすでにAmazonも楽天もいます。いろいろな事業領域を見た時に、インバウンドというのは今後伸びていく領域なので、何かインバウンドツーリストビジネスに関われるような事業を展開していこうという話になりました。
morich:なるほど。
高橋:では、実際にどんなことができるのかと考えたのですが、当時のレストランのメニューはまだ紙が主流でした。そこには日本語でしかメニューが書かれていなかったため「これが多言語化された電子データになっていたら、観光客の方にはとても便利だよね」という話になりました。
morich:確かにそうですね。
高橋:レストランのメニューを多言語化しようというところからスタートしました。
morich:翻訳アプリみたいなことですか?
高橋:翻訳兼、多言語兼、オーダーができるというものを考えていました。
morich:今ではよくあるオーダーシステムのイメージですか?
高橋:そうです。少し早すぎましたね。9年前です。
morich:今でこそ当たり前になっていますが、まだ、モバイルオーダーというのは普及していなかったですよね。
高橋:コロナ禍以降に広まりましたよね。
morich:そうですね。確かに、ちょっと早すぎましたね。
高橋:当時、居酒屋に営業に行くと「スマホを見ながらビールをオーダーするの?」と言われました。
morich:「ありえないだろう」と?
高橋:日本人は、この腕の振りでオーダーをするものだと言われて、まったく相手にしてもらえなかったです。
morich:そうだったんですか。それで、アプリは売れず?
高橋:売れなかったですね。
morich:もともと鳥生さんと一緒にやろうと思っていたビジネスがそれだったのですね。それを少しピボットしようという話になったわけですか。
高橋:もう、ピボットせざるを得ないですよね。大の大人が2人で働いて、1年半で売上が68万円でした。
福谷:すごいですね。
morich:年商ですよね? 普通にマクドナルドのバイトなどでもそれぐらい稼げますよね。うちの息子のバイト代のほうが高そうです。
高橋:余裕で負けていると思います。
morich:そうですよね。それで、もうこれはピボットしようということで、今のtriplaのビジネスに切り替えたのですか?
高橋:その後に、実はもう1つBtoCでやってみたいと思っていたことがあり、チャットを使って多言語でレストラン予約ができるアプリを作りました。
morich:多言語翻訳にこだわったのですね。
高橋:そうですね。AIチャットボットみたいなかたちで、外国人の方でもレストランの予約ができるものを開発しました。
morich:まだ食べログなどでもできていない時期ですよね。
高橋:そうですね。その「triplaアプリ」は非常にたくさんダウンロードしていただきました。台湾や韓国のインフルエンサーの方にもどんどん広めていただいて、最後に私が確認した時には80万ダウンロードぐらいまで伸びていました。
福谷:すごいですね。
morich:いけそうな匂いがしますね。
高橋:いけそうな匂いがするのですが、ダウンロードされるだけでお金が入ってこないのです。
morich:有料化しなかったのですか?
高橋:有料化した瞬間に、誰も予約しなくなりましたね。それで、これもだめだなということで、いろいろ考え直すことになりました。
強みは多国籍なエンジニアによる自社開発
morich:原点に戻ったのですね。そこで旅行にフォーカスしたのはなぜですか?
高橋:飲食以外で、インバウンドに対してチャットというソリューションが活かせる領域となると、やはり宿泊業は完全競争マーケットとしては大きいだろうと考えました。逆に飲食とホテル以外でツーリストが使うものというのは、鉄道や航空券など寡占ビジネスが多いです。それよりも完全競争マーケットのほうがいいなと考えて、宿泊業にしました。
morich:なるほど。でも当時は、リクルートの「じゃらん」や、楽天の「楽天トラベル」など、OTAと言われるオンライントラベルエージェントを利用するか、窓口に問い合わせるのが主流でしたよね。ホームページからダイレクトに予約するという感じは、あまりなかったですよね。
高橋:確かに、いきなり宿泊予約というのは厳しいなと思いました。レストランを多言語チャットで予約できた実績がありますので、どちらかというと、チャットというところに着目しました。外国人観光客がホテルに聞きたいことを、多言語で聞けるようなチャットボットサービスをホテル側に売ることを先に考えたのです。
福谷:なるほど。
morich:それは海外の方には便利ですね。ベッドや食事について詳しく質問できるということですよね。
高橋:「離乳食はあるのか?」ということなども聞けますね。そのような質問を多言語で聞かれた時に、AIが多言語で回答してくれるようなサービスを「tripla Bot」として最初に出しました。
morich:それはけっこう売れたんですか?
高橋:ようやく売れましたね。
morich:爆発的に?
高橋:爆発的ではありませんが、1年半働いて売上が68万円ということはなかったです。もう本当に1件1件、BtoBの積み上げで売れるようになってきたというかたちです。
morich:自ら営業も行われたのですか?
高橋:そうですね、ずっと営業していました。
morich:その頃の社員というのは、多言語サービスですから、日本人だけではなかったのですか?
高橋:日本人が入ってきたのは、かなり後ですね。多言語チャットのオペレーションを実現するために、最初は日本人はいなかったです。
morich:全員外国人ですか? どうやって採用したのですか?
高橋:人材紹介でも採用していましたし、当時はIndeedなどでも募集していました。
morich:外国人の方のマネジメントは非常に難しいと言われますよね。
高橋:そんなことはないのかなと思いますけどね。
morich:では、日本人よりも外国人の方が圧倒的に多かったのですね。
高橋:今でもそうですね。
morich:多国籍な組織なのですね。
高橋:そうですね。今グループ全体で180人近く従業員がいますが、日本人はたぶん3、40人しかいないと思います。
morich:そうなんですか。そうすると、会議などは全部英語ですか?
高橋:社内の会議は英語のほうが多いかもしれないですね。
morich:チャットボットから始まり、そこから予約に展開されたのですね。
高橋:ホテルに宿泊する日本人や外国人からの、いろいろな質問にチャットで答えられるようになると、今度はホテル側から「チャットで予約ができるようにならないか?」という話が出てきます。
そこで、次はチャットで予約ができるように開発しました。ホテルの予約システムでは空室在庫というものを管理しています。「シングルルームが何部屋、ダブルルームが何部屋空いてる」というように、その管理をするサイトコントローラーというものがあり、そこと連携できているかどうかが非常に重要です。
チャットを使っているお客さまがチャットでホテルを予約するために、サイトコントローラーとシステム連携する必要があるため、弊社の場合は各社に繋いでいただくかたちをとっています。
それがコンペティティブアドバンテージになったというのは非常に大きいですね。そこからさらに、ホテル側から「次はチャットじゃなくてリアルな予約システムを作ってほしい」とご要望いただき、2019年に今の予約システムができました。
morich:なるほど。エンジニアもたくさんいらっしゃるんですか?
高橋:すべて自社で開発しており、外注はしていません。
morich:そこもtriplaの強みですね。いわゆるUI/UXにこだわっていらっしゃるということが、何かの記事に書いてありました。
福谷:システム開発を外注する企業はけっこう多いと思いますが、それを内製化しているというのを拝見しました。
高橋:すべて内製化していますし、なおかつ日本人のエンジニアはゼロです。
morich:本当ですか?
高橋:1人もいないです。ちなみに、おそらく1人も日本語を話せないと思います。
福谷:すごいですね。
morich:それは、採用条件として特に日本語の能力は問わないということですか。
高橋:そうなんですよ。それが採用につながる大きな理由ですね。
morich:日本企業はもちろん外資でも、日本語を話さなくていいという会社はなかなかないですよ。
高橋:そうなんですよね。その条件を緩めると、けっこう採用できますね。
morich:確かに、採用上の差別化にもなりますね。
福谷:ちなみに、どのような国の方を採用されていますか?
高橋:いろいろな国の人がいますが、中国や台湾の方が多いですね。台湾の方が一番多いかもしれません。その他にも、レバノン、スコットランド、オーストラリア、インド、フランス、アメリカなど、本当にいろいろな国からいらっしゃっています。
福谷:へえ、すばらしいですね。
morich:フィールドが広がれば広がるだけいいですよね。
コロナ禍がビジネスチャンスに
福谷:働き方は完全にリモートワークですか?
高橋:今は、私はほぼ毎日出社しています。
morich:そうですか。もう1つ思ったのが、コロナ禍ではtriplaにとってのお客さまはおそらく壊滅的な状況でしたよね。その時に上場されているじゃないですか。それは、ある意味すごいことですよね。
福谷:確かにそうですね。
高橋:壊滅的な状況の時は、確かに壊滅的でしたよ。
morich:やはりそうだったのですね。人が動かないですものね。
高橋:2020年の4月から5月に、緊急事態宣言が発出された時は本当に壊滅的でしたね。
morich:もう旅行どころではない状態でしたよね。
高橋:そうですね。それで、2020年の終わりぐらいに、GoToトラベルキャンペーンが始まりました。
morich:ありましたね。私も利用しました。
高橋:そこから少し市場が戻ってきて、2021年はアフターコロナが見えてきました。弊社の場合はBtoCではなくBtoBですので、ホテル側もコロナ禍が収束した後のことを考えて、予約が少ない今のうちに予約システムをtriplaに変えようと判断されました。
福谷:なるほど。
高橋:そんなことを考えてくれるホテルが増えてきたのが大きかったです。
morich:コロナ禍を経て、逆に生産性を上げようと、それまで人がやっていたことをDXに乗り換える動きもありましたね。
高橋:そうですね。そのようなかたちで、2021年はけっこうシステムを導入していただきました。
morich:御社にとっても大きなビジネスチャンスのタイミングだったのですね。私も、旅行の手配としてはもう楽天トラベルなどを介するのではなく、ダイレクトにホテルを予約するようになってきたなと、すごく感じますね。そのような意味では便利になりました。今、導入社数は何社ぐらいですか?
高橋:日本では3,000施設ほどです。去年からM&Aを何社かしていますので、グループ全体だとグローバルで7,000施設を超えています。
morich:4,000施設は海外ですか。日本の中では、これからどうされる予定ですか? 例えばホテルだけではなく、横展開はされるのでしょうか?
高橋:まだ、ホテル業界に対するサービスのソリューションとしては足りないことがたくさんありますので、そのようなものを1つずつ埋めていき、より利便性を上げるとか、もっと予約したくなるような状況にすることが非常に重要だと思っています。
morich:マーケティング支援なども行っていらっしゃいますか?
高橋:それも行っていますが、よりサービスを充実化していかなければいけないと考えています。直近だと、多通貨決済ができるようになりました。海外のエクスペディアやBooking.comで、例えばアメリカやシンガポールのホテルを予約しようとすると、日本人は日本円で予約できますよね。それは外国人も一緒で、自国通貨で予約できたほうが安心感があります。
morich:日本は意外とそれが弱いかもしれないですね。
高橋:そうですね。加えて、価格が固定されます。例えば台湾の方が5,000台湾ドルで予約すると、クレジットカードは5,000台湾ドルで請求されるのですが、日本円で予約すると4パーセントぐらいが乗って後から請求されるという違いなどもあるため、予約する側は多通貨決済ができたほうが安心できるのです。
福谷:確かに、4パーセントはぜんぜん違いますね。
morich:大きいです。
高橋:これは、実はこの1ヶ月以内に弊社がリリースしているサービスですので、このような重要なサービスも直近まで取り組んでいなかったというようなこともあります。
morich:今まで、日本ではあまり対応されていなかったということですね。
高橋:やはり、コロナ禍前は8割ぐらいのお客さまが日本人だったのです。
morich:インバウンドがちょうどこれからという時でしたよね。
高橋:そうです。ただ、今はアフターコロナになって円安になり、弊社の公式サイトから予約してくれるお客さまの半分ぐらいが外国人ですので、需要が変わってきているというのが直近のトレンドです。
morich:先日、四半期決算の報告をされていて、非常に好業績でした。
福谷:拝見しました。
morich:世の中、本当にインバウンドだらけです。旅館も宿泊施設も対応をせざるを得ないということですよね。
宿泊業が「おもてなし」に集中できる環境を作る
morich:他のサービスでは、例えばどのようなものを計画中ですか?
高橋:直近で計画しているのは「tripla Link」というサービスで、サイトコントローラーのようなサービスの提供を準備しています。実際にじゃらんと接続したり、楽天トラベルと接続したりして、日本のホテルの空室在庫を管理できるようなサービスの提供を準備しているところです。
morich:ちょっとしたタイミングで、サイト上から申し込んだのに「部屋がありません」と出ることがあります。そのコントロールをしていくということですよね。
高橋:また、単純にホームページを提供していくというサービスも計画しています。最近はホテル業界が人手不足のため、部屋を販売するにあたってホテル側はたくさんのオンライントラベルエージェンシーとお付き合いして、管理画面に写真と情報を登録しなければいけません。
ホテルや旅館で働いている方は、それがやりたくて就職している人はほとんどいらっしゃらないと思います。
morich:サービスマインドがある方ですよね。だいたい3社から4社とお付き合いがありますものね。
高橋:そうですね。普通は宿泊されるお客さまに対して、しっかりとおもてなしをしたいという気持ちで就職されているのに、ずっとパソコンとにらめっこするというのは厳しいと思っています。そのような作業を弊社にアウトソーシングすることで、ホテルや旅館はお客さまのおもてなしに集中できるような環境を作っていけるサービスを提供しています。
福谷:すごいですね。
morich:特に地方は人手不足ですものね。
福谷:これまで苦労された経験があって、新しいアイデアや世の中のニーズの課題意識を見つけていけるような頭脳になっていて、それをビジネス展開されているなと勝手ながら思っており、感動しています。
高橋:ありがとうございます。
福谷:今回は生ライブ中で、公に出していいのかを心配しています。大丈夫ですか?
高橋:大丈夫です。
morich:これはIRでもおっしゃっていました。
福谷:よかったです。
morich:サービスを積み重ねていくということですよね。
高橋:そうですね。サービスを重層化するかたちで取り組んでいます。
海外事業の強化について
morich:もう1つが、海外事業の強化ですよね。それはエリアを増やしていくということですか?
高橋:そうですね。今はアジアを中心に展開を増やしています。
morich:アジアには同じようなサービスはありませんか?
高橋:非常にたくさんあります。
morich:そうなのですか。競合だらけですね。そこであえて?
高橋:あえてです。ただ、大手があまりいません。
morich:コモディティ化しているのですか?
高橋:非常に小さい会社がたくさんあります。
morich:日本以上ですか?
高橋:日本以上に大量にあります。
morich:ある意味、そこでも資本力で勝てるという感じですか?
高橋:そうですね。場合によってはM&Aをするなど、国によって作戦を変えながら進めています。
morich:国を決める時はどのような優先順位ですか?
高橋:やはり観光業が大きいか小さいかというのは大きいです。また、最初は日本との関係性が強い国を選ぶようにしていました。
morich:いずれはくまなくマッピングしていくかたちですか?
高橋:そうですね。最後は欧米にも行きたいのですが、今行ってしまうとやはり時差があるため、寝られなくなるという課題があります。
morich:確かにそれは課題ですね。先ほどの組織の多国籍化ということで言うと、場合によってはリモートワークをしながらということもありますか?
高橋:それが目標です。買収したBookandLink社の社長で、フランス人のフィリップ・ラーネットが弊社執行役員に今月から就任しました。経営層も多国籍化していければと思っています。
morich:すごいですね。そのフィリップさんは、日本語は話せるのですか?
高橋:まったく話せません。
morich:けっこう異色ですよね。日系企業で、日本語ができない多国籍の方の経営陣はあまり見かけません。
高橋:そうですね。四半期報告会を乗り切っていかないといけません。
morich:M&Aも強化されていくのですか?
高橋:直近で3社をM&Aしたため、今後はどんどん買っていくというよりも、今M&Aしたところと一緒にシナジーを出せるように、まずはPMIを強化して、ある一定のPMIが強化できた段階で次を考えたいと思っています。
社長就任はプロダクト作りと資金調達、それぞれの役割に集中するため
morich:もともと社長だった鳥生さんが、今は代表取締役CTOになっていらっしゃいます。どのタイミングで社長を交代というか、役割分担を変えていかれたのですか?
高橋:2人でいろいろと話し合って「やはりスタートアップというのはプロダクトだ」という結論になりました。鳥生さんはプロダクトに集中してもらって、スタートアップのドライバーであるサービスを作っていくところに注力してもらうことになりました。
当時はまだスタートアップだったため、資金調達という大きな課題に取り組んでいたら、鳥生さんはプロダクトを作る時間がなくなると思い、ここを2人でしっかり分けようと話して、今のかたちになったと思います。
morich:そうですか。鳥生さんも社長でいることにはこだわらなかったのですか?
高橋:そうですね。彼はまず、世の中に影響力のあるサービスを作りたいと考えていますので。
morich:少し下世話なのですが、株式はどうしたのですか?
高橋:そこは単純に、2人とも何もいじっていません。
morich:そうですか。それでも関係性はきちんと良好にいくわけですね。
高橋:最近はIPOもしていますし、2人の関係は非常に良好です。ここに来る前も2人で話していました。
morich:本当ですか? 経営メンバーの方々、特に創業メンバーの方々のいろいろな課題や問題が組織的にあるというお話はよく聞きます。何か工夫されていますか?
高橋:工夫はしていなくて、ナチュラルに喧嘩して、ナチュラルに仲直りするということを繰り返していました。
morich:けっこう喧嘩していますか?
高橋:そうですね。創業して9年経ちますので、2人ともどんどんおじさんになって、そこまで感情的なところはなくなり、大人になったということも大きいですね。
morich:アンガーマネジメントされているのですね。コミュニケーションは多いですか?
高橋:多いですね。週に1回ぐらいは会って話します。
morich:そうですか。だんだんやはり話さなくなるのは夫婦と一緒ですよね。「わかるよね」と。
福谷:暗黙の了解のような。
高橋:そのような意味では、彼とは仕事以外の会話もけっこうしています。プライベートの会話のほうがむしろ多いかもしれません。
morich:お互いにそれぞれの状況をすべてわかっているのですね。
高橋:そうですね。私も彼にも息子がいるのですが、うちの息子のほうが小さいため、学校の相談をすることもあります。
morich:やはり信頼関係を築けているのですね。
高橋:そうですね。彼もいろいろな学校を教えてくれたりして、その情報をもとに学校選びをするぐらい、仕事と関係ない会話をよくしています。
プライベートの至福の時間とは
morich:高橋さんは、プライベートではどのような時間の使い方をされていますか?
高橋:今、息子が5歳ですので、ほぼ子育てしています。
morich:一緒にスポーツをしたりしていますか?
高橋:そうですねサッカーを家の前でやったり、もうすぐ6歳なので、最近は自転車に乗れるようにするというのがけっこう課題です。
morich:車輪が付いていない自転車もあるじゃないですか?
高橋:ストライダーですよね。それは乗れるようになりました。そのような時間が多いですね。
morich:他に、高橋さんの至福の時というのはどのようなタイミングですか?
高橋:もともと私は趣味がゴルフだったのですが、起業する時に時間も無いですし、売上が68万円ではゴルフをしている場合ではないと思ってしばらく封印しました。その後、かなり事業が伸びてきたので、復活しようかという時にちょうど息子が生まれました。
子育てでゴルフができなかったのですが、2年前から息子をゴルフスクールに入れました。息子がゴルフスクールに行っている間、併設練習場で自分が練習するのが至福の時ですね。
morich:私の長男がずっとゴルフをしているのですが、みんな3歳、4歳ぐらいからゴルフを始めていますね。ぜんぜん違いますよね。
高橋:そうですよね。がんばります。
福谷:先日Facebookで拝見したのですが、ゴルフが非常に上手だという印象を受けました。プロなのではないかというスコアですし、先日ホールインワンされましたよね?
morich:おめでとうございます。
高橋:ありがとうございます。人生初のホールインワンです。
morich:どのような感じですか? 気持ちいいですか?
高橋:感極まりました。
morich:入ったところが見えたのですか?
高橋:老眼のため、遠くまでよく見えてしまいました。
morich:これはうれしいですよね。その後、大変ですけどね。
福谷:ホールインワン後に何かしなければいけないというのはあるのですか?
高橋:しましたね。私の名前を入れたボールを大量に作って配ったり、ホールインワンした時のメンバー全員でもう1回同じゴルフ場に行って、夜ご飯もみんなで飲みに行ったりして、すべて私が支払いました。もちろんすべて保険で賄えました。
morich:やはりホールインワン保険に入っておくべきですか?
高橋:入っておくべきです。
morich:ですよね。まぐれもありますからね。
高橋:ありますね。
福谷:ホールにホールインワンの方々の名前が載っていますが、やはり載ったのですか?
高橋:あれは会員でないと載らないため、私は載りませんでした。
morich:すばらしいですね。息子さんにも資質があるのではないですか? とても楽しみですね。
福谷:楽しみですね。プロゴルファーですか?
morich:プロゴルファーです。私の息子の同級生に中野麟太朗くんという子がいて、先日の東建ホームメイトカップで最少の61を打っているのですが、彼は何が強いかというと、やはりメンタルです。第1打で変なところに飛んでも絶対戻しますよね。
高橋:すばらしいですね。
福谷:morichさんもゴルフをされるのですよね?
morich:始めました。
福谷:始めたところですか。写真はどんぴしゃに決まっています。
morich:形から入りますので。ぜひ高橋さんと行きたいです。
高橋:お願いします。
未来に向けたビジョン
morich:公私ともに未来に向けてのビジョンはありますか?
高橋:まずビジネスとしては、世界展開をもう少し進めていくとともに、より多くのお客さまに楽しんでもらえるように、日本のサービスをもう少し充実させていきたいと考えています。
morich:3,000施設から、どれぐらい増やしますかね?
高橋:そこまで数にはこだわっていないため、どちらかと言うと満足度を上げてもらえるようなかたちでもう少し改良を加えていこうと考えています。数にこだわらないと、本当は怒られてしまうのですが。
morich:IR的には?
高橋:そうですね。いくつと言っても、また「次はいくつ?」という話になると思いますので、中身をもう少し考えないといけないと思います。
morich:いろいろな機能を追加しながら、満足度を上げていくということですね。プライベートとしてはどうですか?
高橋:プライベートの目標とは、普通はどのようなことをお話されますか?
morich:私は息子の成長ですかね。
高橋:でも、それは目標にはできなくないですか?
morich:そうですね。翻弄されていますけどね。
高橋:目標というよりも、楽しく家族で遊ぶ時間を作れたらと思います。
morich:旅行は好きですか?
高橋:旅行は好きで、みんなでよく行っています。直近だと、インドネシアのバリの会社をM&Aした記念に家族でバリに行ったのですが、全員が食あたりになりました。
morich:まさかの食あたり。それはつらいですね。
高橋:シェラトンに泊まっていたのですが、妻に至っては部屋に医者が来ました。
morich:それは重症ですね。
高橋:重症です。点滴していました。次に私がなって、商談もあったのですが、人に会っても誰と会ったか覚えていないぐらい朦朧としていました。2人がこのような状況になって、帰りの飛行機で息子が発症しました。
morich:それは一番厳しいパターンですね。
高橋:3人とも非常に大変でした。
morich:私はやはりコロナ禍を経てあらためて感じますが、旅行はとても大事な時間だと思っています。誰とどこに行くかですよね。
福谷:そうですよね。特別な時間ですよね。
morich:それをダイレクトに、自分が本当に行きたい場所を見つけにいく、楽しさみたいなものも提供していただいているのだと思って、楽しみにしています。
高橋:そうですね。やはり平和でないと旅行には行けないですからね。
morich:そうですね。平和の象徴ですね。
福谷:そろそろお時間が来てしまいました。今日はいろいろなお話ができたと思っています。我々のスタートアップ業界はこれからいろいろな苦労も待ち受けていると思いますので、上場されて今後も大活躍していく企業の社長から、今日はいろいろなお話をしていただき、勉強になりました。またお越しいただきたいと思っています。
高橋:よろしくお願いします。
morich:御社の飛躍と進化を楽しみにしています。
福谷:刺激をいただき、我々もがんばっていきたいと思っています。本日は、お越しいただきありがとうございました。
morich:どうもありがとうございました。
高橋:ありがとうございました。
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