シーボン、営業利益・経常利益が黒字化 「トリートメント マセ」を7月にリニューアル予定、商品認知度向上に意欲
目次
崎山一弘氏(以下、崎山):株式会社シーボン代表取締役社長の崎山です。本日は当社2024年3月期決算説明会にお越しいただきありがとうございます。
本日は、2024年3月期決算報告を管理本部責任者の松本から、3月期トピックスおよび中期経営計画の進捗については私からご説明します。
2024年3月期 連結決算のポイント
松本裕右氏:それでは、2024年3月期決算についてご報告します。まず、連結決算のポイントをご説明します。
売上高は、直営店舗は新規顧客の増加に加え、既存顧客の単価の上昇もあり、堅調に推移したものの、後ほどご説明しますが、収益認識に関する会計基準に伴う役務収益において、大きくマイナスとなったことが影響し、前年同期比0.3パーセント減の84億9,800万円となりました。
利益面は、2023年3月期に一時的に発生していた六本木本社ビル建替えに伴う減価償却費等の減額などにより、マイナスインパクトがありました。
当連結会計年度は、六本木本社ビル建替えに伴うインパクトの差や、販管費の節減もあり、営業利益2,900万円、経常利益4,300万円と黒字で着地しました。しかし、当期純利益は、子会社の一部製品の回収等の影響もあり、マイナス2,600万円での着地となりました。
2024年3月期 連結PL
2024年3月期における連結PLの内訳です。連結売上高では、前年同期に役務収益としてプラス200万円を計上したのに対し、当連結会計年度の役務収益はマイナス2億100万円を計上しています。
各段階利益に影響する費用面では、前年同期に計上した六本木本社ビル建替えに伴う影響や、費用の節減に伴い、販売管理費が前年同期比マイナス約1億1,000万円、特別損失が前年同期比マイナス約2億6,000万円となっています。
収益認識に関する会計基準による影響
役務収益の影響についてご説明します。前年同期においては、スライドのとおり年間のP/Lへの影響額はプラス200万円程度と大きな影響はありませんでした。当連結会計年度においては、第3四半期に大きくマイナスとなり、その結果、年間累計でマイナス2億100万円と、売上に対する大きな下押し要因となりました。
こちらに関しては、10月の会員規約変更によるビューティアップ・ポイント(BP)の価値変更に伴う一過性の処理の影響がありました。この会員規約の変更では、会員さまの累計購入金額に応じて付与しているビューティアップ・ポイントの付与率を10倍に変更しました。例えば、従来は購入金額1万円で1ポイントを付与していたのに対し、変更後は1,000円で1ポイント、1万円で10ポイントを付与しています。
これに伴い、10月の規約変更のタイミングで、9月末までの累計購入金額が9,000円だった場合、従来は1ポイントに満たないためポイントの付与はありませんでしたが、今回の規約変更後は9ポイントを自動的に付与しています。その分が契約負債の増加となり、役務収益がマイナスとなることで、売上高に影響しています。あくまでも一過性の処理であり、今後はポイントの交換品の充実化や施術メニューを増やすなど、ポイントの利便性を向上させていくことで、利用の促進につなげていきます。
営業利益差異分析(前期比)
前年との差異分析です。役務収益の影響を受け、売上高は減少したものの、売上原価の低減や、前年同期に一時的に発生した六本木本社ビル建替えに伴う減価償却費等の減少に加え、販管費の継続的な削減もあり、黒字での着地となりました。
貸借対照表
バランスシートです。六本木本社ビル建替えに伴い、流動資産と固定資産の入り繰りが発生していますが、それ以外で大きな変動はなく、自己資本比率も64.2パーセントとほぼ横ばいで推移しています。
なお、先ほどご説明した役務収益は契約負債となるため、流動負債に計上しています。
販売チャネル別 売上高
販売チャネル別の売上高についてご説明します。まず、主要チャネルである直営店舗の売上高は78億4,600万円、構成比92.3パーセントとなりました。
通信販売は2億8,600万円、国内代理店は1億4,700万円、海外代理店は4,600万円、子会社を含むその他は1億7,200万円という結果になりました。
主力事業である直営店舗の売上高は役務収益の影響を大きく受けたものの、新規顧客の来店数は増加傾向が続き、既存顧客の顧客単価も増加したため、わずかではありますが増収となりました。
新規来店数・既存顧客継続数の状況 – 直営店舗 -
直営店舗における新規来店者数と既存顧客の継続状況です。イベントでの集客活動が復調傾向にあることや、Web集客の効率化などを進めたため、新規来店数は、前年対比104.3パーセントと増加しています。
一方で、継続数は、会員規約の改正に伴い、主に購入金額の低かった顧客の一部離脱もあり、前年対比97.2パーセントとなりました。
月次売上高の推移 - 直営店舗(役務収益を除く)
役務収益の影響を除いた直営店舗の月別売上高推移です。キャンペーンや新製品が功を奏し、年間を通して前年を上回る実績で推移し、年間では前年同期に対してプラス2.9パーセントとなっています。9月は前年と大きく差異がありますが、10月の会員規約改正に伴う駆け込み需要によるものです。
規約改正については、購入金額に応じて付与しているビューティアップ・ポイントの利便性向上のため、ポイントでの施術メニューの増加やポイント交換品の充実化などを図っており、引き続き顧客から支持されるべく、顧客満足度の向上につなげていきたいと考えています。
続いて、2024年3月期のトピックスについて、崎山よりご説明します。
トピックス|リブランディングプロジェクト始動
崎山:ここからは、2024年3月期中期経営計画の進捗とともに、トピックスについてご報告します。
まず、2023年11月にリリースしたとおり、2026年の創業60周年に向けて、新たなPhilosophyを制定しました。それと同時に、製品やサービスの価値を多くの方に伝えていくためには、既存価値の新しい使い方が必要となるため、リブランディングプロジェクトを始動させました。
2024.3期-2026.3期 中期経営計画
中期経営計画で掲げている3つの事業戦略、製品戦略の「製品価値向上」、顧客戦略の「サロン価値向上」、販売チャネル戦略の「新しい価値の創造」について進捗をご報告します。
2024.3期 総括
製品戦略の「製品価値向上」、顧客戦略の「サロン価値向上」については、打つべき施策に対しての取り組みがしっかりと行われており、継続して推し進める状況にあります。
しかしながら、販売チャネル戦略の「新しい価値の創造」については、中国での販売が計画未達で推移しています。また、昨年より注力していた一般小売店への展開も現状は横ばいで推移しています。一方で、ヘア事業は既存店舗の出店に加え、新規事業の展開が進んでいます。
製品価値向上|研究開発10ヵ年計画
「製品価値向上」についての進捗をご報告します。研究開発10ヵ年計画の第1フェーズについては、研究部門が精力的に活動しており、成果が見えています。また、現在第2フェーズにも着手しており、計画どおりに進んでいます。
製品価値向上|Purpose driven R&D
10ヵ年計画の第1フェーズにあたる昨年の主な研究成果についてお話しします。早稲田大学との共同研究における、心因性ホルモンと肌との関連性についての研究成果を、第46回日本分子生物学会にて発表しました。
エクソソームが皮膚の細胞間の情報伝達を行っているという内容の研究です。こちらの学会発表の際には、多くの化粧品メーカーや原料メーカーからたくさんの質問が寄せられ、成果を上げられたと思っています。今後も引き続き、ストレス緩和と肌の関係に注力して、学会発表を継続していきたいと考えています。
製品価値向上|Purpose driven R&D
現在、当社主力製品である「トリートメント マセ」は、クレンジングマッサージクリームです。こちらと洗顔料のリニューアルを進めています。
サロン発想のスキンケアとして認知度向上を図っていくために、当社製品の中で、最大の差別化アイテムであると考え、こちらをリブランディングのはじめの柱としました。今後サロン内プロモーションでは、スタッフを中心にこの「トリートメント マセ」を使用した美容のロジックを、しっかりと再教育していきます。
また、サロン外プロモーションでは、SNSと一般市場への広告宣伝を強化していきます。同時にイベントの実施方法の工夫や、独自のマーケティング手法を考察していきたいと思っています。
製品価値向上|ブランディングスケジュール
スライドには、「トリートメント マセ」のブランディングロードマップを記載しています。昨年までに、ブランディングプランの策定やクリエイティブ・コンテンツの制作は順調に進んでいます。
リニューアルした「トリートメント マセ」のローンチを7月に行い、ファーストプロモーションを実施します。また、2025年に六本木に本店サロンがオープンする予定ですので、そのオープンに合わせてセカンドプロモーションを行い、2026年の創業60周年時には、サードプロモーションを実施します。市場での商品認知度向上に向けて、スケジュールを着々と進めていきます。
サロン価値向上|新規集客の動向(WEB集客)
「サロン価値向上」の進捗についてご報告します。「サロン価値向上」に向けては、主に新規開拓の強化と、ロイヤルカスタマーの醸成に注力して取り組んでいます。まず、新規開拓においては、リブランディングに伴い、ブランドサイトやブランド動画のリニューアルを行いました。
それに伴ってSNS広告の強化、「TVer」等でサロン集客広告の配信も行いました。市場での認知拡大とブランドイメージの定着を図るための施策を打ちました。
サロン価値向上|新規集客の動向(イベントでの集客)
新規開拓の強化に向けて、新規顧客との接点拡大を目的に、集客イベントでのブースイメージを刷新しました。リブランディングプロジェクトに合わせたイベントブースの空間演出や、イベント内容の工夫を重ねてきました。
スライドの画像は、先日東京ビッグサイトで行われた「ビューティーワールド ジャパン東京」に出展した際のものです。結果として、サロンでの集客活動のみにとどまらず、新規販売代理店の商談や、OEMの問い合わせも数多くいただき、新たな顧客との接点拡大を図ることができています。
サロン価値向上|新規顧客の来店数推移
新規開拓に対する施策を行った結果、2024年3月期の第2四半期以降、新規顧客の来店数は増加傾向が続いています。今後もイベントをはじめとしたSNSの活用をさらに強化し、当社のビジネスモデルを発信していく場として、ブランド価値が高まることを目的に取り組みを強化していきます。
サロン価値向上|会員数推移
スライドには、直近の会員数推移を記載しています。新規開拓の強化による来店数の増加も手伝い、コロナ禍以降、会員数の減少には歯止めがかかっています。会員数の推移は、2024年3月期には増加傾向に転じています。今後一層、新規開拓力の強化に注力していきます。
サロン価値向上|既存顧客層のイメージ
販売戦略の中で注力しているロイヤル会員の醸成についてご説明します。スライドには、現状の当社サロンの既存顧客層のイメージを記載しています。
「A」の層は、当社の製品やシステムを気に入り、顧客単価、来店頻度の高い顧客、いわゆるロイヤル会員を示しています。「C」の層は、入会から1年経たずに退会されるお客さまであり、常に20パーセントの割合で存在しています。
現在は、中間層の「B」に属する顧客を、いかにコアな顧客へと押し上げていくのか、またロイヤル会員の満足度をいかに高めていくのかに注力しています。
「C」のフローター層のお客さまには、入会後間もなく、プライマリー期間として設けています。その期間中にファン化させることができるように、細かい施策を打ちながら、継続顧客の醸成に向けて取り組んでいきます。
サロン価値向上|ロイヤル顧客の醸成
現在、都市型大型店やターミナル店では、ロイヤル顧客専用個室の設置を進めています。また、全店共通でロイヤルカスタマーサービスの充実も図っています。ロイヤルカスタマー専用窓口を本社に設置するなど、本社スタッフとのつながりも強化しています。
今後は高価格帯シリーズの開発・発売等も計画しています。さらなるロイヤリティ向上施策により、ロイヤル会員の比率を現状の20パーセントから25パーセントに引き上げることを目指しています。
サロン価値向上|店舗改装
スライドの写真は、リブランディングプロジェクトに伴い改装したロイヤル会員専用のロイヤルルームです。ロイヤル会員のみならず、顧客全体の体験価値向上に向けて、さらに居心地の良いサロン空間を提供できるように進めていきたいと思っています。
サロン価値向上|ロイヤル顧客向け工場見学会
スライドには、先日開催したロイヤル会員限定の工場見学会の写真を掲載しています。参加されたお客さまからは、「製品に対する信頼度が高まり、とても満足した」という声を多数いただいています。
今回の工場見学は、現場から届いたお客さまの声から実現した企画です。今後もお客さまの声を反映できる組織を目指していきたいと思っています。
サロン価値向上|ロイヤルカスタマーの動向
昨年来、ロイヤル顧客の醸成というテーマに注力して取り組んできた結果、スライドのグラフのとおり、ロイヤル顧客数は増加傾向にあります。今後もロイヤル顧客の比率向上に向けて、顧客目線での企画を数多く実施していきたいと思います。
サロン価値向上|店舗関連設備投資
店舗開発計画です。2024年3月期に行った改装・移設の9店舗が、改装・移設後の新規集客、アフター来店数ともに順調に伸びていることから、今期も引き続き、都市型ターミナル店舗を中心に12店舗の改装・移設を計画しています。
新しい価値の創造|小売り・海外事業の状況
「新しい価値の創造」について、進捗をご報告します。昨年発売した「LLL」は、バラエティーショップでの展開を進めていますが、残念ながら販売数は横ばいで推移しています。今後、一部量販店やドラッグストアでの展開を開始する予定です。引き続き、バラエティー商材に対するSNS広告等に一層力を注ぎ、販路・認知の拡大を進めていきたいと思います。
海外事業については、昨年来進めてきたパートナー企業との連携による販売が計画どおりに進んでいません。ALPS処理水の放出問題も今回はかなり大きく影響しました。今後も引き続き連携を進めつつ、中国以外の販路開拓やOEM受注の強化にも着手していきます。
新しい価値の創造|ヘア事業の状況
ヘア事業の状況です。既存ヘアサロンの六本木店、恵比寿店に加えて、2023年10月に蒲田店をオープンしました。従来のヘアサロンの出店形式とは異なり、当社のフェイシャルサロンに併設するかたちで出店しました。フェイシャルサロンの顧客とのシナジー効果も期待できることから、今後の出店の1つのかたちとして検討していきたいと思っています。
新しい価値の創造|ヘアトリートメントサロン
新規事業についてご報告します。ヘア事業部門からの展開として、ヘアトリートメント専門店の1号店を文京区春日にオープンしました。「365日いつもいい髪、美容室でのトリートメントをもっとお手軽に通いやすい価格で」をコンセプトにしたヘアトリートメント専門店です。
セルフレジやオートシャンプーによる徹底的な省人化により、1,500円(税抜き)という単価で美容室と変わらぬクオリティのトリートメントを提供しています。
新しい価値の創造|ヘアトリートメントサロン
2024年1月にオープンしたヘアトリートメント専門店の1号店が、おおむね計画どおりに推移しているため、5月に大田区大森に2号店をオープンしました。また、7月に横浜市伊勢佐木モールに3号店をオープンする予定です。
計数目標|業績予想
計数目標です。2025年3月期の業績予想です。売上高91億7,300万円、営業利益3億7,800万円、経常利益3億8,000万円の計画です。中期経営計画に掲げる重点課題を完遂し、計画達成に向けて取り組んでいきます。
計数目標|中期計画
中期経営計画に掲げる2026年3月期の売上高、営業利益・営業利益率の計画値です。まずは今期の計画をしっかりと完遂し、スライドに掲げているとおり、2026年3月期には売上高100億円、営業利益8億円の計画達成に向けて取り組んでいきます。
株主還元|配当
株主還元についてのご報告です。今期は、安定的な配当を実施するという基本方針のもと、中間配当10円、期末配当10円の年間20円を計画しています。
External/Internal
最後に、中期経営計画で掲げた「製品価値向上」「サロン価値向上」「新しい価値の創造」という3つの重点項目についてお話しします。
「製品価値向上」は「製品への自信」、「サロン価値向上」は「サロンへの自信」、「新たな価値の創造」は「新しいモチベーション(夢)を持つ」ことだと、全スタッフ共通の認識としてしっかり共有し、計画の完遂に向けて取り組んでいきたいと思います。以上でご報告を終わります。
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