【来週の注目材料】米雇用統計は前回同様に雇用の強さ示せるか

【来週の注目材料】米雇用統計は前回同様に雇用の強さ示せるか

　3日に4月の米雇用統計が発表されます。
前回3月の雇用統計がかなり強く出たことで、それまで多数派となっていた6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始見通しが後退。年内の利下げについても、3月のFOMCで示された3回よりも少なくなるという見通しが強まりました。

　前回の雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比30.3万人増と市場予想の21.2万人増を大きく上回りました。2月の数字は速報時の27.5万人増から27.0万人増に小幅下方修正されましたが、1月の数字が改定時の22.9万人増から25.6万人増に大きく上方修正されています。失業率は市場予想通りとはいえ、2月の3.9%から3.8%に改善しました。労働参加率が2月の62.5%から62.7%に改善したうえでの失業率低下(一般的には労働参加率上昇は失業率の悪化につながります)は、かなりの好結果です。

　非農業部門雇用者数の内訳を確認します。
まず財部門は4.2万人増と2月の1.7万人増から伸びが強まりました。製造業はゼロとなっており、増加のほとんどは建設業です。3月は比較的天候が良く、悪天候による就労不能労働者数が2月から4.9万人も減少しています。建設業は天候に影響されやすい部門なので、その影響もあったと見られます。
　サービス部門は19万人増と2月と同水準となりました。教育・医療サービス部門が8.8万人増と、前回の8.2万人増に続いて全体を支えています。特にヘルスケア部門の伸びが目立っていました。娯楽接客業も4.9万人増と2月の4.3万人増に続いて好結果となっています。同部門を支えるレストラン・バーなどの飲食店は2.83万人。強いですが、突出はしておらず、芸術・娯楽部門1.75万人増と好結果。社会に余裕があるときに伸びる部門だけに、好印象となりました。

　目立って弱いという部門もなく、米雇用市場の力強さを意識させる結果となっています。

　関連指標を確認しましょう。
　週ベースの指標である新規失業保険申請件数は、雇用統計の基準日である12日を含む週の数字で比較して、3月、4月ともに21.2万件となっています。

　その他主要関連指標はまだ発表されていません。
1日の4月ADP雇用者数が前月比18.0万人増で3月の18.4万人とほぼ同水準の見込み。
同日の3月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数は870万人で2月の875.6万人とこちらもほぼ同水準です。

　前回は予想を大きく上回ったISM製造業景気指数の4月分の市場予想は50.0と3月の50.3とほぼ同水準となりました。ただ、好悪判断の境となる50ぴったりの水準だけに、予想を少しでも下回ると厳しい印象を与える点には注意が必要です。また前回3月は47.4と2月の水準から改善を見せた雇用部門の数字にも要注意です。

　雇用統計が前回同様にしっかりとした結果を示すと、利下げを急ぐ必要はないという見通しにつながり、ドル高がさらに進む可能性があります。

MINKABU PRESS 山岡和雅