*13:31JST PCNET Research Memo(1):4期連続で過去最高売上高を更新
■要約
パシフィックネット<3021>は、IT機器の導入・運用管理・クラウド・セキュリティを「サブスクリプション」モデルで提供し、企業の情報システムを適正処分に至るまで包括的に支援するライフサイクル・マネジメントサービスを展開するオンリーワン企業である。使用済みIT機器の回収やリユースPC販売などのフロー収益に大きく依存するビジネスモデルから、IT機器やITサービスをサブスクリプションで提供するストック収益を柱としたビジネスモデルへ構造改革に果敢に取り組んだ結果、その成果が顕著に表れ、環境変化に強く持続的成長が可能な収益構造に転換している。
1. 2024年5月期第2四半期の連結業績
2024年5月期第2四半期(2023年6月~2023年11月)の連結業績は、売上高3,232百万円(前年同期比2.7%増)、営業利益260百万円(同57.5%増)、経常利益256百万円(同57.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は167百万円(同66.8%増)だった。前年同期にITサブスクリプション事業において資産売却による一時的な売上高の増加があったため、売上高は前年同期比微増に留まったものの、各事業別に見れば、ITAD事業が減収となったことを除いて他の事業は順調に推移した。なお売上高は5期連続の増収、4期連続での過去最高額を記録している。利益面では各利益とも5割を超える増益を達成している。主な要因は各事業でしっかり利益を稼ぐことができたことである。ITサブスクリプション事業によるストック収益の拡大や、ITAD事業においてPCなどのリユース販売で高い収益性を確保できたほか、各種サービスの受注が好調であったこと、及びコミュニケーション・デバイス事業においても好調な国内団体旅行などの影響を受けてイヤホンガイドの需要が伸びたことで、前年同期比大幅増益を計上した。
2. ITサブスクリプション事業
ITサブスクリプション事業は成長率が高く、市場規模も大きいほか、ストック収益化による持続的成長が可能である。法人向けPC市場ではサブスクリプション(中長期レンタル)・リース・購入といった保有形態があるが、サブスクリプション型の比率が年々拡大している。同社のサブスクリプションは故障対応などのPC管理といった保守サービスを含んでいるほか、中途解約は月単位で可能、経理処理はオフバランスで費用も平準化されるため、IT人材不足が深刻化している企業にとってメリットが大きく利用が拡大している。今後はPC更新拡大期に入ることから、成長率は一段と上昇する可能性が高いと弊社では考えている。
3. 2024年5月期の連結業績予想
2024年5月期の連結業績については、売上高7,100百万円(前期比10.9%増)、営業利益650百万円(同22.7%増)、経常利益620百万円(同19.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益395百万円(同17.5%増)を計画している。主力であるITサブスクリプション事業は、例年下期に受注が増加する傾向があるが、特に2024年5月期は2025年10月のWindows10のサポート終了を控えており、各企業や団体でのPC更新ニーズは非常に高くなることが予想される。同社としてもサブスクリプションビジネスの拡大に強い期待を持っており、非常に速い成長ペースを想定している。ITAD事業においては、企業などでのPC更新が進むことで使用済みPCの市場流入が増加し、特にサブスクリプション事業で使用していた高スペックPCが商材となることで売上、利益両面の増加が期待できるが、同社としてはその時期が2025年5月期以降にずれ込む可能性を考慮し、やや保守的に予想している。また2022年11月にサービスを開始した「排出管理BPOサービス」は、従来からのデータ消去などのサービスと共にITサブスクリプションやLCM(Life Cycle Management)サービス全般への取引規模拡大のツールとしても活用できるため、今後の同社のサービス収益拡大のエンジンとしての期待がかかる。コミュニケーション・デバイス事業については、国内団体旅行やインバウンド需要の盛り上がりをはじめ、新規に取り組む企業の工場見学やイベント会社の開拓などが成果に結びつくことが期待されている。
■Key Points
・手間のかかるPC管理業務の代行は、企業のIT人材不足の深刻化によりニーズが拡大
・ITサブスクリプション事業は、市場規模が大きく、ストック収益化による持続的成長が可能
・2024年からPC更新拡大期に入り、さらに重要な成長機会を迎えている
・観光業界を巡る急速な環境改善により、コミュニケーション・デバイス事業の回復が鮮明に
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<SO>
パシフィックネット<3021>は、IT機器の導入・運用管理・クラウド・セキュリティを「サブスクリプション」モデルで提供し、企業の情報システムを適正処分に至るまで包括的に支援するライフサイクル・マネジメントサービスを展開するオンリーワン企業である。使用済みIT機器の回収やリユースPC販売などのフロー収益に大きく依存するビジネスモデルから、IT機器やITサービスをサブスクリプションで提供するストック収益を柱としたビジネスモデルへ構造改革に果敢に取り組んだ結果、その成果が顕著に表れ、環境変化に強く持続的成長が可能な収益構造に転換している。
1. 2024年5月期第2四半期の連結業績
2024年5月期第2四半期(2023年6月~2023年11月)の連結業績は、売上高3,232百万円(前年同期比2.7%増)、営業利益260百万円(同57.5%増)、経常利益256百万円(同57.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は167百万円(同66.8%増)だった。前年同期にITサブスクリプション事業において資産売却による一時的な売上高の増加があったため、売上高は前年同期比微増に留まったものの、各事業別に見れば、ITAD事業が減収となったことを除いて他の事業は順調に推移した。なお売上高は5期連続の増収、4期連続での過去最高額を記録している。利益面では各利益とも5割を超える増益を達成している。主な要因は各事業でしっかり利益を稼ぐことができたことである。ITサブスクリプション事業によるストック収益の拡大や、ITAD事業においてPCなどのリユース販売で高い収益性を確保できたほか、各種サービスの受注が好調であったこと、及びコミュニケーション・デバイス事業においても好調な国内団体旅行などの影響を受けてイヤホンガイドの需要が伸びたことで、前年同期比大幅増益を計上した。
2. ITサブスクリプション事業
ITサブスクリプション事業は成長率が高く、市場規模も大きいほか、ストック収益化による持続的成長が可能である。法人向けPC市場ではサブスクリプション(中長期レンタル)・リース・購入といった保有形態があるが、サブスクリプション型の比率が年々拡大している。同社のサブスクリプションは故障対応などのPC管理といった保守サービスを含んでいるほか、中途解約は月単位で可能、経理処理はオフバランスで費用も平準化されるため、IT人材不足が深刻化している企業にとってメリットが大きく利用が拡大している。今後はPC更新拡大期に入ることから、成長率は一段と上昇する可能性が高いと弊社では考えている。
3. 2024年5月期の連結業績予想
2024年5月期の連結業績については、売上高7,100百万円(前期比10.9%増)、営業利益650百万円(同22.7%増)、経常利益620百万円(同19.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益395百万円(同17.5%増)を計画している。主力であるITサブスクリプション事業は、例年下期に受注が増加する傾向があるが、特に2024年5月期は2025年10月のWindows10のサポート終了を控えており、各企業や団体でのPC更新ニーズは非常に高くなることが予想される。同社としてもサブスクリプションビジネスの拡大に強い期待を持っており、非常に速い成長ペースを想定している。ITAD事業においては、企業などでのPC更新が進むことで使用済みPCの市場流入が増加し、特にサブスクリプション事業で使用していた高スペックPCが商材となることで売上、利益両面の増加が期待できるが、同社としてはその時期が2025年5月期以降にずれ込む可能性を考慮し、やや保守的に予想している。また2022年11月にサービスを開始した「排出管理BPOサービス」は、従来からのデータ消去などのサービスと共にITサブスクリプションやLCM(Life Cycle Management)サービス全般への取引規模拡大のツールとしても活用できるため、今後の同社のサービス収益拡大のエンジンとしての期待がかかる。コミュニケーション・デバイス事業については、国内団体旅行やインバウンド需要の盛り上がりをはじめ、新規に取り組む企業の工場見学やイベント会社の開拓などが成果に結びつくことが期待されている。
■Key Points
・手間のかかるPC管理業務の代行は、企業のIT人材不足の深刻化によりニーズが拡大
・ITサブスクリプション事業は、市場規模が大きく、ストック収益化による持続的成長が可能
・2024年からPC更新拡大期に入り、さらに重要な成長機会を迎えている
・観光業界を巡る急速な環境改善により、コミュニケーション・デバイス事業の回復が鮮明に
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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