*12:41JST ムサシ Research Memo(1):選挙関連機器のトップメーカー。商社とメーカーの両機能を併せ持つ
■要約
ムサシ<7521>は選挙関連機器や金融関連機器の総合メーカーである。また、文書のデジタル化事業やスキャナー、非破壊検査機材、業務用ろ過フィルターなどを取り扱う情報・産業システム機材、印刷システム機材、紙・紙加工品などの商社事業も行っている。特に選挙関連機器においては、投開票業務に必要な各種機器から投票箱等の用品・用具、開く投票用紙など幅広い商品をラインナップし、業界のトップシェアを誇る圧倒的な存在である。また、各種文書やマイクロフィルムのデジタル化を行う文書のデジタル化事業においても国内最大級のドキュメントイメージングセンターを展開し、次の収益柱への育成を図っている。商社機能とメーカー機能を併せ持っているのが特長だ。
1. 2024年3月期第2四半期業績
2024年3月期第2四半期の業績は、売上高16,779百万円(前年同期比8.8%減)、営業利益730百万円(同53.0%減)、経常利益751百万円(同52.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益498百万円(同53.0%減)となった。期間中に大型選挙がなかったことから、主力の選挙システム機材の売上高(単体ベース)が1,916百万円(同48.7%減)となったことが大幅減益の主要因だが、期初から予想されていたことであり、想定の範囲内と言える。一方で、注力している文書のデジタル化事業の売上高は2,405百万円(同4.3%減)となり、前年同期比では微減となったが高水準を維持した。全体の業績が低位に留まっていることから、第2四半期末の配当は15円とした。
2. 2024年3月期業績予想
2024年3月期の業績は、売上高35,432百万円(前期比4.4%減)、営業利益1,087百万円(同58.5%減)、経常利益1,122百万円(同58.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益676百万円(同61.6%減)と予想されている。衆議院や参議院などの大型国政選挙の予定がないため主力の選挙システムが減収減益となる見込みであることから、全体でも減益を予想している。ただし選挙システム機材は計画に対しては上回っており、大型選挙がない時期の底上げ傾向が見られる。一方で、文書のデジタル化事業など選挙システム機材以外の分野は引き続き高水準を維持する見込みだ。配当については、現時点では通期で普通配当30円(中間15円、期末15円)が予定されている(中間は実施済)が、今後の業績動向によっては上乗せされる可能性もある。今後の注目点は、期中に衆議院の解散・総選挙があるかだが、選挙が行われた場合には、選挙関連の売上高は25億円以上が上乗せされる見込みで、その場合には全体の業績や配当予想も上方修正されると思われる。
3. 中長期の成長戦略
現在、同社の収益の中心は選挙システム機材となっているが、この分野は安定成長しているものの国政選挙などの実施の有無によって需要にばらつきが出るため、ある意味でシクリカルな事業とも言える。そのため、文書のデジタル化事業や業務用ろ過フィルター事業等、選挙サイクルと無関係な分野を一段と強化し、収益基盤の安定化を図る計画だ。特にメディアコンバート事業については、世の中の「DX」の流れのなか、官公庁における文書のデジタル化需要だけでなく、民間においても新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響によるテレワークの浸透などで書類などのデジタル化は必須となっており、中長期ではさらなる成長が見込まれる。足元の受注も好調のようで、今後の動向が注目される。また現在、同社が取り組んでいるのは、選挙システムにおいても、大型選挙の有無に左右されない体質づくで、その一環として自治体情報システムの統一・標準化に準拠した「業務管理ソフト」(クラウド型)の開発を進めており、これにより選挙関連の売上高の平準化が可能となる。
■Key Points
・選挙機材システムのトップメーカー。印刷関連、紙関連等の販売も行う複合企業
・2024年3月期は大型の国政選挙がなく減益予想だが、想定の範囲内。全体は底上げ傾向
・「業務管理ソフト」(クラウド型)の開発により大型選挙の有無に左右されない体質作りを推進中
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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ムサシ<7521>は選挙関連機器や金融関連機器の総合メーカーである。また、文書のデジタル化事業やスキャナー、非破壊検査機材、業務用ろ過フィルターなどを取り扱う情報・産業システム機材、印刷システム機材、紙・紙加工品などの商社事業も行っている。特に選挙関連機器においては、投開票業務に必要な各種機器から投票箱等の用品・用具、開く投票用紙など幅広い商品をラインナップし、業界のトップシェアを誇る圧倒的な存在である。また、各種文書やマイクロフィルムのデジタル化を行う文書のデジタル化事業においても国内最大級のドキュメントイメージングセンターを展開し、次の収益柱への育成を図っている。商社機能とメーカー機能を併せ持っているのが特長だ。
1. 2024年3月期第2四半期業績
2024年3月期第2四半期の業績は、売上高16,779百万円(前年同期比8.8%減)、営業利益730百万円(同53.0%減)、経常利益751百万円(同52.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益498百万円(同53.0%減)となった。期間中に大型選挙がなかったことから、主力の選挙システム機材の売上高(単体ベース)が1,916百万円(同48.7%減)となったことが大幅減益の主要因だが、期初から予想されていたことであり、想定の範囲内と言える。一方で、注力している文書のデジタル化事業の売上高は2,405百万円(同4.3%減)となり、前年同期比では微減となったが高水準を維持した。全体の業績が低位に留まっていることから、第2四半期末の配当は15円とした。
2. 2024年3月期業績予想
2024年3月期の業績は、売上高35,432百万円(前期比4.4%減)、営業利益1,087百万円(同58.5%減)、経常利益1,122百万円(同58.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益676百万円(同61.6%減)と予想されている。衆議院や参議院などの大型国政選挙の予定がないため主力の選挙システムが減収減益となる見込みであることから、全体でも減益を予想している。ただし選挙システム機材は計画に対しては上回っており、大型選挙がない時期の底上げ傾向が見られる。一方で、文書のデジタル化事業など選挙システム機材以外の分野は引き続き高水準を維持する見込みだ。配当については、現時点では通期で普通配当30円(中間15円、期末15円)が予定されている(中間は実施済)が、今後の業績動向によっては上乗せされる可能性もある。今後の注目点は、期中に衆議院の解散・総選挙があるかだが、選挙が行われた場合には、選挙関連の売上高は25億円以上が上乗せされる見込みで、その場合には全体の業績や配当予想も上方修正されると思われる。
3. 中長期の成長戦略
現在、同社の収益の中心は選挙システム機材となっているが、この分野は安定成長しているものの国政選挙などの実施の有無によって需要にばらつきが出るため、ある意味でシクリカルな事業とも言える。そのため、文書のデジタル化事業や業務用ろ過フィルター事業等、選挙サイクルと無関係な分野を一段と強化し、収益基盤の安定化を図る計画だ。特にメディアコンバート事業については、世の中の「DX」の流れのなか、官公庁における文書のデジタル化需要だけでなく、民間においても新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響によるテレワークの浸透などで書類などのデジタル化は必須となっており、中長期ではさらなる成長が見込まれる。足元の受注も好調のようで、今後の動向が注目される。また現在、同社が取り組んでいるのは、選挙システムにおいても、大型選挙の有無に左右されない体質づくで、その一環として自治体情報システムの統一・標準化に準拠した「業務管理ソフト」(クラウド型)の開発を進めており、これにより選挙関連の売上高の平準化が可能となる。
■Key Points
・選挙機材システムのトップメーカー。印刷関連、紙関連等の販売も行う複合企業
・2024年3月期は大型の国政選挙がなく減益予想だが、想定の範囲内。全体は底上げ傾向
・「業務管理ソフト」(クラウド型)の開発により大型選挙の有無に左右されない体質作りを推進中
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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