JPMC、運用戸数が増加、リフォーム事業が成長を牽引し、売上高は過去最高を更新 JPMCシンエイの入居率が向上し、ストックの質が改善
2023年3Qの概況
武藤英明氏:おはようございます。私から、2023年12月期第3四半期決算の業績についてご説明します。当社は全社員が当社の株主であるため、3ヶ月に1回、株主としてみなさまにIRを行っています。
第3四半期でトップラインは過去最高を更新しました。運用戸数は前期末比で3,092戸増加の10万9,796戸ですが、通期計画の11万戸には未達となりました。
残り1ヶ月で、コンサルタント・アセットマネージャー・それを支えるPMの方々には、運用戸数とトップラインの増加が当社にとって一番重要であることをあらためて考えてほしいと思います。
リフォーム事業の売上高は、前年比24.6パーセント増となりました。ストック&フローの事業としてさらなる成長が期待される分野です。
営業利益は、通期業績に対して予定どおり推移しています。ステークホルダーのみなさまから減益の理由についてよくご質問をいただきますが、業績予想の中に織り込まれており、通期での増益予想に変更はありません。
また、M&Aで取得したJPMCシンエイの入居率が大きく改善し、9月末で88.8パーセントと90パーセントに近づいています。
我々のノウハウとJPMCシンエイの社員の努力ももちろんありますが、PMのみなさまには2年間の成果としてぜひ自信を持ってほしいと思います。最初に比べ、単価も含めるとさらに伸びていると思います。
連結決算ハイライト
決算ハイライトはスライドに記載のとおりです。今期の通期目標としては、売上高は575億円、経常利益は26億円です。ほぼ目標に近い進捗です。
売上区分別の状況
ストックとフローの状況です。ストック収入は前年比で1.1パーセント増加しています。
KPI(運用戸数・申込戸数)
運用戸数は伸び悩んでおり、ようやく11万戸を達成するというところです。申込戸数については営業ストックの回復途上となっています。
トピックス M&A JPMCシンエイの入居率の改善
JPMCシンエイについてです。現在、リフォームは予定より進んでいませんが、リフォーム物件の魅力度向上に加え、入居率向上の募集ノウハウにより、ストックの質が改善してきています。
もちろん、佐々木社長以下の真摯な取り組みによりこのようなすばらしい結果が生まれたと思っています。2年間でこれだけ改善することは他社ではあまりないことだと思いますが、それだけ我々のグループに力があることに、みなさまには自信を持ってほしいと思います。
トピックス M&Aによるシナジー
従前お伝えしていますが、まだリフォームしていない棟数がたくさんありますので、来年もJPMCワークス&サプライとJPMCシンエイのシナジーを創出していきます。
来年7月20日で、JPMCシンエイがグループインしてから3年を迎えます。これにあたり、1回目はホテル日航立川でご挨拶させていただきましたが、前々から企画しているとおり再度記念行事を行います。
約270名のオーナー・地主がいるため、この方々に向けてアピールをしていきたいと考えています。
高い配当利回り
当社が、不動産業でありながらも、我々に近いその他の会社に比べて株価を維持できている一番の源泉は配当利回りです。昨日時点で4.59パーセント(会社予想)だったと思いますが、これは東証プライム市場の不動産業の中でも高い水準です。
正直に言いますと、東証プライム上場企業の社長としてこの利回りはあまり誇るべき数字ではありません。しかし、新しいNISAで限度額が600万円から1,200万円に増額されると、配当利回りが良いことによって個人投資家の方に選んでいただける可能性が高まるため、これを株価浮上のきっかけにしたいと考えています。
今までの時価総額は最高で430億円でした。現状では半減しており、210億円から220億円の間を行き来しています。これを少なくとも前の段階にする、あるいは時価総額500億円を達成し、いわゆる年金ファンドを運用しているような海外のファンドが買ってくれるところに浮上させたいというのが我々の眼目です。
新NISAで当社株が評価される観点
新NISAで当社株が評価される観点です。個人的にはあまりうれしくないのですが、ファンドマネージャーから言われるとおり、当社株は現状では割安です。
また、前年を下回りにくい安定成長が見込めるビジネスモデルです。本当はバリュー株にしたくありませんが、安定成長による株価アップを続けていきたいと思います。
配当政策
我々の株価を支えている配当性向についてです。我々は、安定したアセットライトでキャッシュインが先行するビジネスモデルで、通期連続増配を狙っていこうと考えています。配当性向は通常40パーセントを超えていれば十分なところ、当社は昨年が53.2パーセント、今年は51.4パーセント(予定)と非常に高いです。
アジェンダ
みなさまにSDGsのバッジをつけていただいているように、我々としては社会課題と向き合った上で事業を伸ばしていく、業界を変えるビジネスモデルであり、ゲームチェンジャーです。
そして、アセットライトで外部環境に左右されにくいビジネスモデルでもあります。我々は外部環境に大きく左右されることがありません。デフレスパイラルでもインフレの局面でも常に安定的に成長を果たします。
その証拠に、我々はリーマン・ショックの時に一番社業を伸ばしました。コロナ禍の3年間も増収増益です。これをさらにアピールしていきます。
また、スマート仲介の時代が来ると、仲介という業態は賃貸の業界から消えていくと思います。それは、物元である我々にとって大きなチャンスです。
この3本の柱を外部の株主や投資家の方にもアピールしていきたいと思います。
マーケットの展望 入居者サイド(需要)
社会課題についてです。まず、マーケットの展望をご説明します。今後、日本では単身者・高齢者・外国人が増加していきます。そのため、高齢者・外国人・ペットと住みたい人など、どちらかというと今まで我々が入居をお断りしてきた層を積極的に取り込んでいくことで成長を果たそうと考えています。
こちらについてはチャレンジになるため、パラダイムを取り払い、木を見ずに森を見て仕事をしてほしいと思います。
マーケットの展望 オーナーサイド(供給)
我々の上位にあるサブリース会社は大東建託・レオパレス21・積水ハウス・東建コーポレーションとすべてメーカーであり、このような局面でも新築を建て続けています。
2022年の新築着工件数は34万5,080戸ですが、人口は3,000万人規模で確実に減っていきます。そのため、彼らもいつかは新築を建てることができなくなり、我々のコンペティターになる時が来るだろうと思っています。彼らがコンペティターになるまでの間に彼らが追いつけないところまで持っていくことが我々の目標です。
運用戸数ランキング
スライドは運用戸数ランキングです。いずれは25万戸を突破し、必ずベスト5に入っていきたいと考えています。
当社の強み① 全国で既存物件のサブリースが可能
全国的に見ても、1社単独で借り上げができる企業は当社のみです。我々は、北海道の北見から沖縄県の石垣島まで、47都道府県で物件のサブリースをしていない地域はゼロです。そのような意味で、地方の経済を支えるSDGsにかなった事業を展開しているといえます。
運用戸数
中堅および中小企業が多いことは日本の特徴の1つです。建設会社や不動産会社、介護会社とのネットワークを通じて、彼らとともに成長していくという意味でも、当社は日本の社会に貢献している企業だといえると思います。
当社の強み③ 金融機関との提携
銀行にも追随いただいています。当社とビジネスマッチングや提携ローンなどを組んでいただいている銀行は158行あります。
持続可能な賃貸経営をサポートするJPMC
今後は、今までどおり取り組んでいくだけでなく、新たな取り組みも行っていきます。フォースバレー・コンシェルジュやYOLO JAPANと組んで外国人入居を推進するほか、JPMCワークス&サプライあるいはリフォームパートナーと組んで「スーパーリユース」や物件再生を進めていきます。
また、みらい少額短期保険とJPMCファイナンスをセットにして、可能な限り月割や月払い商品に変えたり初期費用を下げたりすることで、多様な入居者に住んでいただいて入居率を上げていきます。
レオパレス21の良い点は、51万戸中18万戸が家具および家電付き法人事業であることです。我々は、JPMCエージェンシーを中心にこちらを積極的に取り込んでいきます。単に需要側から供給側を探すだけではなく、「コレスポンド」シリーズとして積極的に供給を果たしていく考えです。
JPMCグループのSDGsへの取組
現在、「スーパーリユース」に代表される我々のSDGsに対する取り組みは経済産業省の「先進的なリフォーム事業者表彰」も受賞するなど社会的にも一定の評価をいただいています。
JPMCグループのSDGsへの取組
機械化が進み、AIが完全に人々の生活をサポートしてくれるまでには時間がかかるため、労働力不足は目に見えているのです。このような状況ですので、主にアジア圏の方々に積極的に日本に来ていただく必要があります。特に、我々の事業は建設系や介護系で人材が不足しているため、どんどん採っていく必要があります。その一助となる事業展開も進めていこうとしています。
JPMCグループのSDGsへの取組
地方の自治体にはノウハウがなく、うまくいっていない公共の集合住宅は多くあります。そのような中で、我々は岡山県倉敷市にある倉敷ライフ・キャンパスの240戸を入札で買い取りました。
日本にはUR賃貸住宅がありますが、先日、視察のためにURの博物館へ行ったところ、当初の社会的役割は終わり、民間である我々ができることはたくさんあるだろうと感じました。
JPMCグループのSDGsへの取組
高齢者向け賃貸については、シニアハウス事業部にはさらにがんばっていただき、現在の運用チームのメンバーを増員して運用でお手伝いすることをベースに開発を強化していきます。
コンバージョンの典型例はグリーンドームですが、住居兼賃貸や住居兼オフィスをコンバージョンした例もあります。コンバージョンは手がかかるため小さな物件は難しいかと思いますが、大型案件を中心に戸数を稼げます。積極的に取り組んでいきたいです。
JPMCグループのSDGsへの取組
我々は全従業員を株主にしています。職位によって異なりますが、給与とは別に5パーセント・15パーセント・20パーセント・25パーセントと、全従業員に株式を配布しています。さらに、従業員持株会では拠出金額の50パーセントを奨励金として会社が負担しています。これは、東京証券取引所の中では最大級の奨励金です。
ダイバーシティ経営については女性従業員比率は47.4パーセントです。しかし、女性の管理職および役員はまだ少なく、現在は取締役が1名、執行役員が1名です。残念ながら管理職はいないため、ぜひ、当社の半分を占める女性社員にも積極的に管理職になってほしいです。
「住む論理」の追求で持続可能な社会を目指します
「建てる論理」で儲かればいいわけではなく、住み手がいるもの、住み手がほしがるもの、住み手が喜んでずっと住んでくれるもの、そしてオーナーが持続可能な賃貸経営を実現する社会のために、我々は「住む論理」を追求して収益を上げていこうとしています。
不動産業との違い サブスク型のビジネスモデル
我々はストックビジネスが中心です。通常、マンションデベロッパーは、100棟獲得した翌年はゼロ、200棟獲得した翌年はゼロ、50棟しか獲得できなかった翌年もゼロを繰り返すカウンター方式です。
一方で我々は、解約があるとはいえ、基本的に1万戸を獲得した翌年は1万1戸からスタート、さらに翌年は2万1戸からスタートするストックビジネスです。それゆえに23期連続増収で前年を下回ったことがないというすばらしいビジネスモデルに仕上がっています。
不動産業との違い サブスク型のビジネスモデル
こちらのスライドは笑いも出ないダジャレですが、サブリースクリプションだからサブスクであるということです。
不動産業との違い 景気動向に左右されないビジネスモデル
我々は、リーマン・ショック時にもっとも社業を伸ばしました。景気が不透明な状況である現在は運用戸数を伸ばす局面ですが、実際には伸びていないため、取り組み方を改善していかないといけないと思っています。
将来は大和リビングや積水ハウス、大東建託パートナーズが我々のコンペティターになります。そうなれば、彼らの戸数に比べて我々はまだ脆弱です。
戸数を取ることが我々の未来を確保することにつながるため、そのような意味でもぜひ戸数を確保してほしいと思っています。
不動産業との違い 景気動向に左右されないビジネスモデル
スライドのとおり、我々はコロナ禍でも増収増益です。
不動産業との違い 景気動向に左右されないビジネスモデル
家賃の変動をほかの物価の変動と比較するとかなり少ないです。
今は上がり局面のため、中核都市以上の都市圏にある一等地の物件は値上げできます。PMのみなさまは、オーナーのためにがんばって、パラダイムをなくして我々の収益アップになる賃料アップをしてほしいと思います。
厳しい物件もあり全部上げるのは難しいと思いますが、5年前や3年前とは違って今は賃料を上げられる局面だとご理解ください。
JPMCの成長加速計画
みなさまの現場では、さまざまなマルチタスクを要求されているかもしれませんが、我々のビジネスモデルは単純です。戸当たり収益を上げることと、今に関しては運用戸数を増やすことです。付加価値を上げたりスケールアップしたりするしかない単純なモデルです。
足下を見ながらいろいろ悩むよりは、ミクロではなくマクロで見て、この2つを向上させることが当社の収益アップやマーケットに貢献すると考えてほしいと思います。
賃貸住宅業界に訪れる劇的な変化
スマート仲介についてです。法律の整備の問題があり、何年でくるとは明言できませんが、法律が整備されると大きく変わります。今まで我々の業界にIT革命は起きたことがなく、正直なところ変わっていません。
スマホで探すものは、昔にリクルートが出していた「フォレント」だけです。不動産屋に行って、一緒に車に乗って物件を見に行き、戻ってきてカウンターで契約するという流れは昔からまったく変わっていません。しかし、変わるチャンスがきます。
賃貸住宅業界に訪れる劇的な変化
スマートキー、ITを使っての重要説明、「DocuSign(ドキュサイン)」で成り立つのがスマート仲介です。
また、これから社会に出てくる人たちは、コロナ禍で大学時代の半分以上をリモートの授業で過ごしたことで、人と人とのコミュニケーションではなくツールを通してのコミュニケーションに慣れています。DXでITツールが非常にもてはやされたというよりも、使わざるを得なかったのです。
それを経験した人たちが社会に出てきて、我々のお客さま、すなわち入居者になっていきます。これは大きな変革です。不動産をスマホで探し、「LINE」で連絡をとり、「Googleマップ」で現地に行ってスマートキーでセルフ内見し、自宅に戻ってITを使って重要事項説明を受け、「DocuSign」で契約が完了するというかたちになります。
そしてクレジットカードで初期費用を決済するという、このすべてのツールが我々にはそろっています。この時代でも十分に勝ち残っていけます。ぜひ、そのような時代がくることを念頭に置いて仕事に取り組んでほしいと思います。
スマートホームでより快適な住居の提供へ
先ほど家賃を上げられる局面だと言いましたが、ただ待つだけでなく積極的に上げていくことも考えなければなりません。その一手となるのがスマートホームです。
いろいろなメディアで見るかもしれませんが、スマートホームはここまで必要なのかというぐらいすごいのです。スマホでお風呂を沸かせ、朝起きたら好みの曲がかかってカーテンが開き、さらには材料だけ入れておくと調理してくれる家電もあります。そのような時代がきます。
スマホにかかる負荷が増えていくことは、ある意味で社会問題になると思いますが、スマホは超小型化されたパソコンであり、これであらゆることができるようになってきます。これを活かして賃貸のレベルアップをしていきます。
PropTechカンパニーを目指す理由 スマート仲介の時代到来
これから電子デバイスがすべてそろってくると、仲介は立ち行かないと思います。我々のような物元から直接借りれば、賃貸・仲介手数料もいらなくなり、入居者があらゆる恩恵を受けられます。我々が直接コントロールすることによって、オーナーにも安心していただけます。
仲介会社にとっては良くないことですが、物元がインチャージすることでしっかりと管理の比率が上がり、それによりパートナーとのリレーションも高めていきたいと思います。
JPMCはPropTechカンパニーを目指す 今後の成長にPropTechが不可欠なこれだけの理由
今、システム化に取り組んでいます。現在は一時的にコストアップの局面ですが、いずれはコストダウンできます。そのため、一定の人数で今以上に多くの物件を管理できれば、どんどん効率が上がっていきます。
今年の標語に「Efficiency is vital for us(効率は我々にとって極めて重要である)」と書いてありますが、我々の目指すところはエフィシェンシーです。効率が上がれば、コンペティターと比べて高い賃料をつけても我々に利益が残ります。負けても相手は赤字で、どちらにしても我々の勝ちです。
それを目指すためには、エフィシェンシーすなわちシステム化は避けては通れません。少しでも利用効率が上がることを発案されたら、積極的に意見やアイデアを出してほしいと思います。
PropTechカンパニーに向けて 新データベースプロジェクト始動
今、5億5,000万円をかけて、システム開発に取り組んでいます。人員的にもレベル的にもISチームを強化しているため、システムにチャレンジしたい希望者は社内公募の際にぜひ応募してほしいです。
ただし、単にシステムのことを知っているだけでは役に立たないので、特にPM出身者にはぜひチャレンジしてほしいと思います。
賃貸住宅業界に革命が起きる!
我々は2022年にJPMCへ社名変更しました。外見は不動産屋かもしれませんが、中身はIT企業を目指しています。これがPropTechカンパニーです。いつかは不動産というトレードから脱却して、違うステージに行こうと思っての第一歩です。みなさんの考えも、ぜひアナログからデジタルに切り替えていってほしいと思います。
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