*13:41JST ポエック Research Memo(1):グループ経営により最高益を更新、高利益成長かつ高配当
■要約
広島県福山市に本社を置くポエック<9264>は、1989年に水処理機器の販売会社として創業した。現在は、水・空気をテーマに「環境サステナビリティ」へ持続的に取り組む事業を展開している。業種は卸売業に分類されているが、連結子会社に環境関連機器の開発・製造・販売に従事するメーカーが含まれており、商社、メーカー、サービスの3つの機能を有する。有望市場においてグループ力を発揮する成長戦略を進めている。
1. 2023年8月期の業績概要と2024年8月期の業績見通し
2023年8月期の連結業績は、売上高で前期比21.5%増の7,052百万円、営業利益で同46.7%増の403百万円といずれも過去最高となった、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による半導体不足などが足かせとなったが、当期は経済活動の抑制要因が幾分解消された。製造子会社における生産性改善活動が奏功し、大幅な増益をもたらした。
2024年8月期の連結業績は、複数の事業で大型案件の受注を獲得していることから、売上高で前期比13.4%増の8,000百万円、営業利益で同48.8%増の600百万円と大幅な増収増益を見込んでいる。
2. M&Aによるグループ成長戦略
同社グループは、2017年11月に東京証券取引所JASDAQスタンダード市場に上場した。上場メリットを生かし、コロナ禍を乗り越え、2023年8月期において過去最高の売上高と営業利益を記録した。2023年8月期の連結業績は、売上高が上場前の2017年8月期比42.7%増、営業利益が同211.4%増、総資産が37.2%増、自己資本が349.3%増であった。自己資本比率は、上場直前期の12.4%から40.5%へ良化し、財務の安全性が格段に向上した。一方、収益性では、売上高営業利益率が2.6%から5.7%へ上昇した。ROEも8.0%を実現した。連単倍率は、売上高が2017年8月期の1.46倍が2023年8月期には1.87倍へ、営業利益では1.24倍から5.23倍へと拡大した。
積極的なM&A戦略が連結業績の拡大をもたらしている。同社グループは、技術を見つけ、育て、生かすM&Aにより業容を拡大することを志向している。個々の企業ではコロナ禍などの大きな外部環境の変化に対応することが困難な場合でも、グループ経営により企業が補い合い、リソースを再配分することで難局を乗り越え、成長市場への投資が継続できる。
3. 配当政策
配当性向の基準を50%以上とし、株主への還元を最優先に考え、安定配当を継続している。2022年8月期は特別損失の計上により当期純損失に陥ったが、営業利益段階では前期並みの水準を確保しており、1株当たり配当金を前期並みの38.0円とした。2023年8月期の1株当たり配当金は33.0円であったが、配当金総額は前期の89百万円から150百万円に増加した。発行済株式総数が、前期末の234万株から457万株に増加したためである。2023年7月26日を基準日とする同社株保有者に新株予約権の無償割当(ライツ・オファリング)を行った。新株予約権1個に当たり普通株1株を付与するもので、行使価格が500円であった。行使率が94%を超え、払込総額が1,106百万円に達し、新規事業を軌道に乗せるための財務的基盤を整えた。2023年8月期の配当金の行使価格に対する利回りは6.6%に相当した。2024年8月期は、親会社株主に帰属する当期純利益を前期比42.4%増と予想しており、配当性向51.9%として1株当たり配当金を43.0円で計画している。最高益更新、高利益成長、高配当利回り銘柄となる。
■Key Points
・円安、デリスキングなどによる製造業の国内回帰の恩恵を受ける
・2024年8月期は2期連続の大幅増による最高益更新を計画
・配当性向の基準を50%以上とし、安定した高配当を維持
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<SO>
広島県福山市に本社を置くポエック<9264>は、1989年に水処理機器の販売会社として創業した。現在は、水・空気をテーマに「環境サステナビリティ」へ持続的に取り組む事業を展開している。業種は卸売業に分類されているが、連結子会社に環境関連機器の開発・製造・販売に従事するメーカーが含まれており、商社、メーカー、サービスの3つの機能を有する。有望市場においてグループ力を発揮する成長戦略を進めている。
1. 2023年8月期の業績概要と2024年8月期の業績見通し
2023年8月期の連結業績は、売上高で前期比21.5%増の7,052百万円、営業利益で同46.7%増の403百万円といずれも過去最高となった、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による半導体不足などが足かせとなったが、当期は経済活動の抑制要因が幾分解消された。製造子会社における生産性改善活動が奏功し、大幅な増益をもたらした。
2024年8月期の連結業績は、複数の事業で大型案件の受注を獲得していることから、売上高で前期比13.4%増の8,000百万円、営業利益で同48.8%増の600百万円と大幅な増収増益を見込んでいる。
2. M&Aによるグループ成長戦略
同社グループは、2017年11月に東京証券取引所JASDAQスタンダード市場に上場した。上場メリットを生かし、コロナ禍を乗り越え、2023年8月期において過去最高の売上高と営業利益を記録した。2023年8月期の連結業績は、売上高が上場前の2017年8月期比42.7%増、営業利益が同211.4%増、総資産が37.2%増、自己資本が349.3%増であった。自己資本比率は、上場直前期の12.4%から40.5%へ良化し、財務の安全性が格段に向上した。一方、収益性では、売上高営業利益率が2.6%から5.7%へ上昇した。ROEも8.0%を実現した。連単倍率は、売上高が2017年8月期の1.46倍が2023年8月期には1.87倍へ、営業利益では1.24倍から5.23倍へと拡大した。
積極的なM&A戦略が連結業績の拡大をもたらしている。同社グループは、技術を見つけ、育て、生かすM&Aにより業容を拡大することを志向している。個々の企業ではコロナ禍などの大きな外部環境の変化に対応することが困難な場合でも、グループ経営により企業が補い合い、リソースを再配分することで難局を乗り越え、成長市場への投資が継続できる。
3. 配当政策
配当性向の基準を50%以上とし、株主への還元を最優先に考え、安定配当を継続している。2022年8月期は特別損失の計上により当期純損失に陥ったが、営業利益段階では前期並みの水準を確保しており、1株当たり配当金を前期並みの38.0円とした。2023年8月期の1株当たり配当金は33.0円であったが、配当金総額は前期の89百万円から150百万円に増加した。発行済株式総数が、前期末の234万株から457万株に増加したためである。2023年7月26日を基準日とする同社株保有者に新株予約権の無償割当(ライツ・オファリング)を行った。新株予約権1個に当たり普通株1株を付与するもので、行使価格が500円であった。行使率が94%を超え、払込総額が1,106百万円に達し、新規事業を軌道に乗せるための財務的基盤を整えた。2023年8月期の配当金の行使価格に対する利回りは6.6%に相当した。2024年8月期は、親会社株主に帰属する当期純利益を前期比42.4%増と予想しており、配当性向51.9%として1株当たり配当金を43.0円で計画している。最高益更新、高利益成長、高配当利回り銘柄となる。
■Key Points
・円安、デリスキングなどによる製造業の国内回帰の恩恵を受ける
・2024年8月期は2期連続の大幅増による最高益更新を計画
・配当性向の基準を50%以上とし、安定した高配当を維持
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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