レゾナックの共鳴戦略に期待

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最新投稿日時:2023/09/28 16:42 - 「レゾナックの共鳴戦略に期待」(みんかぶ株式コラム)

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レゾナックの共鳴戦略に期待

著者:鈴木 行生
投稿:2023/09/28 16:42

・今年3月、日経統合報告アワード2022でレゾナック・ホールディングス<4004>がグランプリを受賞した。レゾナックは、2023年1月から旧昭和電工と旧日立化成が統合し、新体制としてスタートした。改めて、統合報告書を読んでみた。会社を知るというだけでなく、投資対象として具体的に吟味したいと考えた。

・レゾナックは、世界トップクラスの機能性化学メーカーを目指す。そのためには、①グローバル水準の収益基盤の確立、②ポートフォリオの高度化、③イノベーションの推進が求められ、それらを強力に推進すると宣言する。

・半導体・電子材料、モビリティ、イノベーション材料、ケミカル、ライフサイエンスの領域で、化学の機能を独自に提供する。①考える化学、②作る化学、③混ぜる化学で、それを追求する。

・パーパス(存在意義)を「化学の力で社会を変える」ことにおくので、社名は、Resonate(共鳴する)とChemistry を組み合わせてRESONAC(レゾナック)と名付けた。ステークホルダーとの共鳴によって、新しい価値を創り、社会を変えることに貢献するという意味を込めている。

・高橋CEOは、統合を第2の創業として、世界で戦える機能性材料メーカーを目指す。売上の3割を占める半導体事業は、世界トップクラスの規模を有する。サステナビリティを経営の根幹にすえて、事業の戦略を遂行する。自社独自だけではない共創型化学会社を作り上げていく。

・2022年の統合報告は昨年7月に発行された。まだ、昭和電工としての統合報告であった。2023年1月から始まった第2の創業に向けた新組織体制について記載した。

・サステナビリティ推進上の重要課題(マテリアリティ)として、1)イノベーションと事業を通じた競争力の向上と社会的価値の創造、2)責任ある事業運営による信頼の醸成、3)自律的で創造的な人材の活躍と文化の醸成をあげ、KPIも設定している。

・高橋CEOはどのように選定されたか。尾崎指名諮問委員会委員長が語っている。統合という有事に求められるリーダーとして、論理的で説明力があり、視点がフェアである点が評価され、海外での実績も十分であった。

・2022年の統合報告書はレゾナックの決意表明ともいえるであった。2023年の統合報告はどうか。3月の株主総会で、東京エレクトロン<8035>の経営者(社長、会長)を務めた常石氏が社外取締役に選任された。この人事はガバナンスとして有力である。

・4月に旧両社の本社機能を1カ所に統合した。「出社したくなる本社」作りに励んでいる。7月には「健康経営アライアンス」(オムロン<6645>JMDC<4483>がリード役)に参画した。

・今年の統合報告者は、レゾナックとしての初の統合報告である。2.6万人の第二の創業、新たなスタートアップとして、これからの思いと課題を開示している。

・共創の舞台として、例えば、半導体のパッケージソリューションセンター(2019年開設)を一段と活用していく。今年1月からは「モヤモヤ会議」をスタートさせた。若手社員のモヤモヤをトップとともに議論して、策を練っていく。「協創型人材」の育成に力を入れる中で、一人ひとりの自律性も育み活かしていく。

・あずさ監査法人は、毎年統合報告に関する調査を公表している。2022年の調査報告では、1)マテリアリティの認識は高まっているが、その内容に関する重大なリスクと機会の監督についてまだ十分でない、2)統合報告やサステナビリティ報告の発行が有価証券報告書の発行から3か月以降と遅い、と指摘した。

・サステナビリティ情報と財務情報のつながり(コネクティビティ)を知りたいという観点から報告の早期化が望まれるが、レゾナックは、ここが優れている。

・企業のサステナビリティを支える要素は、通常ESGで語られるが、もう2つのEも重視したい。EducationとEntertainmentである。Sに働き方は含まれているが、社員の教育が一段と重要になろう。

・もう1つは、おもしろさである。仕事の面白さを実感できれば、きつくても頑張れるし、創造性も発揮されよう。このトリプルESGの視点で企業のサステナビリティを評価していきたい。

・レゾナックの高橋CEOは、人材の積分値を強調している。ワーク・ライフのチョイス(選択)を多様にして、タイミングを選んでほしいという。修羅場は誰にでもある。それを乗り越えて、働く人々の幸せの総和が大きくなるような経営に邁進すると語っている。
・また、企業としての差別化を、「計画をやり切る経営陣」に置くと宣言する。このコミットメントはおもしろい。今年の統合報告書には、さまざまや人々が登場してくる。筆者は、いろんな人が出てきて、自らの言葉で語りながら、そこに統一感が表れている内容を評価する。

・今2023年12月期の業績は半導体不況の影響で厳しい。2025年に向けて、どこまで回復していくか。会社計画では、2025年に売上高1兆円、EBITDAマージン20%を目指す。現在、PBRは0.82倍である。ROEで10%を目指すとすれば、純利益で600億円はほしい。

・PERで15倍を確保できれば、時価総額で9000億円(現在の2.0倍)が想定できる。PBRも1.5倍となろう。このくらいの収益力の回復が見込め、サステナビリティが確保できるならば、ぜひ投資したい。

・まずは少額の株主となって、今後をフォローしたい。実績とビジョンの進捗をみながら、ポートフォリオのウェートを見直していきたいと思う。レゾナックの今後に期待したい。

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

配信元: みんかぶ株式コラム

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