*12:28JST 極東貿易 Research Memo(8):中期経営計画の最大の目玉は、新規ビジネスの開発と育成。特に洋上風力に期待
■中期経営計画と成長戦略
2. 中期経営計画2期目の進捗
(1) サステナブルな社会を実現するための新分野における事業展開と投資実行
1) 営業組織の統合
極東貿易<8093>は2022年4月1日付で営業組織を統合した。基幹産業関連部門と電子・制御システム関連部門の5つの営業部を統合して、「産業インフラソリューショングループ」へ、産業素材関連部門の3つの営業部を統合して「マテリアルソリューショングループ」へと、2つの営業グループに統合した。もともと各営業組織は規模が小さく慢性的な人員不足であり、新たに戦略的な営業活動ができず機会損失も生じていた。
今回の営業組織の統合を行った狙いは3つある。第1に、事業特性や営業特性に適した事業戦略とその実行組織の再編である。2つの営業グループ(産業インフラソリューション、マテリアルソリューション)は、設備エンジニアリング系ビジネスと素材サプライヤー系ビジネスと定義され、売り方やビジネスのやり方が異なる。今後は、それぞれの営業組織で事業戦略と営業戦略を策定し実行する。第2に、将来的に顧客のニーズに応じてプロジェクトチームで動けるよう柔軟な営業体制を組めるようにする。第3に、顧客情報や専門的知見、ノウハウを組織で共有することで営業人材の育成強化につなげる。今回の営業組織改革は合理化や人員削減などの守りの組織改革ではなく、戦略的意味を持った攻めの組織改革であることを付け加えておく。
2) 事業ポートフォリオの再編と強化
同社では、営業組織改革を機に、事業セグメントの再編も同時に行った。2023年3月期より、「基幹産業関連部門」と「電子・制御システム関連部門」を統合して「産業設備関連部門」を新設し、従来の「産業素材関連部門」「機械部品関連部門」で3事業セグメント体制とした。
その背景には、カーボンニュートラル(脱炭素)の潮流を見据え、同社の火力発電所関連の事業から撤退すると決断したこと、電子・制御システム関連部門において主力事業であった「計装システム(火力発電所向け制御装置)」から撤退したことで事業規模が圧倒的に小さくなり、単独で事業セグメントを組む必要がなくなったことがある。そのため実質的には基幹産業関連部門に電子・制御システム関連部門を吸収した形となった。
2022年3月期からの会計基準変更により、売上高・売上総利益のトップは基幹産業関連部門セグメントから機械部品関連部門セグメントへ交代となった。中長期の事業ポートフォリオで見ると、機械部品関連部門(特にねじ関連事業)を将来のコア事業に育てるべく、集中的リソース配分を検討する時期に来ているのかもしれない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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2. 中期経営計画2期目の進捗
(1) サステナブルな社会を実現するための新分野における事業展開と投資実行
1) 営業組織の統合
極東貿易<8093>は2022年4月1日付で営業組織を統合した。基幹産業関連部門と電子・制御システム関連部門の5つの営業部を統合して、「産業インフラソリューショングループ」へ、産業素材関連部門の3つの営業部を統合して「マテリアルソリューショングループ」へと、2つの営業グループに統合した。もともと各営業組織は規模が小さく慢性的な人員不足であり、新たに戦略的な営業活動ができず機会損失も生じていた。
今回の営業組織の統合を行った狙いは3つある。第1に、事業特性や営業特性に適した事業戦略とその実行組織の再編である。2つの営業グループ(産業インフラソリューション、マテリアルソリューション)は、設備エンジニアリング系ビジネスと素材サプライヤー系ビジネスと定義され、売り方やビジネスのやり方が異なる。今後は、それぞれの営業組織で事業戦略と営業戦略を策定し実行する。第2に、将来的に顧客のニーズに応じてプロジェクトチームで動けるよう柔軟な営業体制を組めるようにする。第3に、顧客情報や専門的知見、ノウハウを組織で共有することで営業人材の育成強化につなげる。今回の営業組織改革は合理化や人員削減などの守りの組織改革ではなく、戦略的意味を持った攻めの組織改革であることを付け加えておく。
2) 事業ポートフォリオの再編と強化
同社では、営業組織改革を機に、事業セグメントの再編も同時に行った。2023年3月期より、「基幹産業関連部門」と「電子・制御システム関連部門」を統合して「産業設備関連部門」を新設し、従来の「産業素材関連部門」「機械部品関連部門」で3事業セグメント体制とした。
その背景には、カーボンニュートラル(脱炭素)の潮流を見据え、同社の火力発電所関連の事業から撤退すると決断したこと、電子・制御システム関連部門において主力事業であった「計装システム(火力発電所向け制御装置)」から撤退したことで事業規模が圧倒的に小さくなり、単独で事業セグメントを組む必要がなくなったことがある。そのため実質的には基幹産業関連部門に電子・制御システム関連部門を吸収した形となった。
2022年3月期からの会計基準変更により、売上高・売上総利益のトップは基幹産業関連部門セグメントから機械部品関連部門セグメントへ交代となった。中長期の事業ポートフォリオで見ると、機械部品関連部門(特にねじ関連事業)を将来のコア事業に育てるべく、集中的リソース配分を検討する時期に来ているのかもしれない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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