キンコウボクの花の香りには心をポジティブにする効果も確認
株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林 一俊)は、世界でも有数の規模を誇る植物研究機関である「中国科学院華南植物園(華南国家植物園)(※1)」(以下、本植物園)との共同研究(※2)により、肌のバリア機能を高めるキンコウボク花エキスを開発しました。また、キンコウボクの花の香りにはポジティブな気持ちを高める効果があることを見出しました(図1)。本研究成果の一部は、2022 年 3 月に開催された第 142 回日本薬学会(名古屋)、および2022年11月に開催された第66回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会(沖縄)にて発表しています。
(※1)中国科学院華南植物園(華南国家植物園)公式ページ http://english.scbg.ac.cn/
(※2)2018年6月29日発行リリース https://corp.kose.co.jp/ja/media/2018/06/20180629.pdf
◆研究の背景
当社は、植物に由来する成分の肌への効能を研究することで、その価値を化粧品に応用し続けてきました。その中で、希少な植物や100万点以上の植物標本を有する本植物園と2018年よりパートナーシップを結び、化粧品分野への植物資源の応用を目指した共同研究を開始しました。数ある植物の中でも注目したのが、キンコウボクです。その花は高貴な香りであることが知られていたものの、30メートルを超える高木に成長するため新鮮な花を得ることは難しく、含有成分や薬理作用は
ほとんど解明されていませんでした。
そこで、本植物園にてキンコウボクを低木の状態で栽培し、管理する体制を確立することで、新鮮な花を安定的に収穫できるようになり、含有成分やその作用に対する研究および化粧品原料としての開発を進めることが可能となりました。本研究を進めることで、開発したキンコウボク花エキスには肌バリア機能として重要な細胞間構造であるタイトジャンクションバリアの形成促進効果があることを発見しました。また、香りの化学分析やその心理的影響を評価したところ、その花の香りにはポジティブな気持ちを高める効果があることを見出し、キンコウボクは肌と心の両面で有用であることが分かりました。
◆キンコウボク花エキスに表皮タイトジャンクションバリア形成促進作用を発見
タイトジャンクションは肌内部の細胞と細胞の間を隙間なく塞ぐ肌のバリア構造です(図2)。肌内部からの水分蒸散を防ぐことで乾燥から肌を守り、花粉や細菌などの外部環境からの肌への異物侵入を防ぐ役割があります。加齢や日常的に受ける紫外線やストレスに影響を受けることも知られており、健やかな肌を保つために重要な構造です。
今回開発したキンコウボク花エキスをヒト表皮モデルに添加したところ、肌バリア能の指標である電気抵抗値が上昇し、さらにタイトジャンクションを可視化した蛍光観察像ではエキスを添加していない対象ではタイトジャンクションの形成が不十分な部分が散見されましたが、エキスを添加した対象では全体的に形成促進されている様子が観察されました(図3)。このことから、キンコウボク花エキスはタイトジャンクションバリアの形成促進作用を有し、肌バリア機能を向上させることが明らかになりました。
◆咲き始めのキンコウボクの花の香りにはポジティブな気持ちを高める効果があることを発見
高貴な香りとして知られていたキンコウボクの花の香りについても、開花段階ごとに詳細な研究を行いました。開花段階を4段階に分類して香気成分を採取し、成分の化学分析および香りの特徴評価を行ったところ、開花段階ごとに香気成分が異なることを確認しました(図4)。特に咲き始めの段階は、フレッシュなグリーンフローラル調なキンコウボクの香りの特徴が最もよく表れている、バランスの良い香りであることが分かりました。
次に各開花段階の香りを再現した香料を用いて、38名の実験参加者を対象に香りによる心理状態への影響を評価しました。香りの吸入前後で、総合的な感情(肯定的、否定的など)を測定する「一般感情尺度」に回答してもらったところ、咲き始めの香りを吸入したときの肯定的な感情(活気のある、楽しい、充実したなど)のスコアが有意に上昇することを確認しました(図5)。このことから、キンコウボクの花の咲き始めの香りには、ポジティブな気持ちを高める心理的効果があると考えられます。
◆今後の展望
本研究から、キンコウボク花エキスには肌のバリア機能として重要な表皮タイトジャンクションバリアの形成促進作用があり、その花の香りにはポジティブな気持ちを高める効果があることが明らかになりました。さらに当社では、キンコウボク花エキスが真皮の細胞に働きかけて幸せホルモンのひとつオキシトシンの受容体の発現を高めることも見出しており、キンコウボクは肌と心の両面から健やかな生活を支える有用な素材となります。本研究の知見は今後のスキンケアや香料商品の開発に応用していきます。
これからも当社では心身ともに健やかになれるウェルビーイング発想による研究を進め、お客さまのニーズに独自の価値で応える商品の提供に繋げてまいります。
株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林 一俊)は、世界でも有数の規模を誇る植物研究機関である「中国科学院華南植物園(華南国家植物園)(※1)」(以下、本植物園)との共同研究(※2)により、肌のバリア機能を高めるキンコウボク花エキスを開発しました。また、キンコウボクの花の香りにはポジティブな気持ちを高める効果があることを見出しました(図1)。本研究成果の一部は、2022 年 3 月に開催された第 142 回日本薬学会(名古屋)、および2022年11月に開催された第66回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会(沖縄)にて発表しています。
(※1)中国科学院華南植物園(華南国家植物園)公式ページ http://english.scbg.ac.cn/
(※2)2018年6月29日発行リリース https://corp.kose.co.jp/ja/media/2018/06/20180629.pdf
◆研究の背景
当社は、植物に由来する成分の肌への効能を研究することで、その価値を化粧品に応用し続けてきました。その中で、希少な植物や100万点以上の植物標本を有する本植物園と2018年よりパートナーシップを結び、化粧品分野への植物資源の応用を目指した共同研究を開始しました。数ある植物の中でも注目したのが、キンコウボクです。その花は高貴な香りであることが知られていたものの、30メートルを超える高木に成長するため新鮮な花を得ることは難しく、含有成分や薬理作用は
ほとんど解明されていませんでした。
そこで、本植物園にてキンコウボクを低木の状態で栽培し、管理する体制を確立することで、新鮮な花を安定的に収穫できるようになり、含有成分やその作用に対する研究および化粧品原料としての開発を進めることが可能となりました。本研究を進めることで、開発したキンコウボク花エキスには肌バリア機能として重要な細胞間構造であるタイトジャンクションバリアの形成促進効果があることを発見しました。また、香りの化学分析やその心理的影響を評価したところ、その花の香りにはポジティブな気持ちを高める効果があることを見出し、キンコウボクは肌と心の両面で有用であることが分かりました。
◆キンコウボク花エキスに表皮タイトジャンクションバリア形成促進作用を発見
タイトジャンクションは肌内部の細胞と細胞の間を隙間なく塞ぐ肌のバリア構造です(図2)。肌内部からの水分蒸散を防ぐことで乾燥から肌を守り、花粉や細菌などの外部環境からの肌への異物侵入を防ぐ役割があります。加齢や日常的に受ける紫外線やストレスに影響を受けることも知られており、健やかな肌を保つために重要な構造です。
今回開発したキンコウボク花エキスをヒト表皮モデルに添加したところ、肌バリア能の指標である電気抵抗値が上昇し、さらにタイトジャンクションを可視化した蛍光観察像ではエキスを添加していない対象ではタイトジャンクションの形成が不十分な部分が散見されましたが、エキスを添加した対象では全体的に形成促進されている様子が観察されました(図3)。このことから、キンコウボク花エキスはタイトジャンクションバリアの形成促進作用を有し、肌バリア機能を向上させることが明らかになりました。
◆咲き始めのキンコウボクの花の香りにはポジティブな気持ちを高める効果があることを発見
高貴な香りとして知られていたキンコウボクの花の香りについても、開花段階ごとに詳細な研究を行いました。開花段階を4段階に分類して香気成分を採取し、成分の化学分析および香りの特徴評価を行ったところ、開花段階ごとに香気成分が異なることを確認しました(図4)。特に咲き始めの段階は、フレッシュなグリーンフローラル調なキンコウボクの香りの特徴が最もよく表れている、バランスの良い香りであることが分かりました。
次に各開花段階の香りを再現した香料を用いて、38名の実験参加者を対象に香りによる心理状態への影響を評価しました。香りの吸入前後で、総合的な感情(肯定的、否定的など)を測定する「一般感情尺度」に回答してもらったところ、咲き始めの香りを吸入したときの肯定的な感情(活気のある、楽しい、充実したなど)のスコアが有意に上昇することを確認しました(図5)。このことから、キンコウボクの花の咲き始めの香りには、ポジティブな気持ちを高める心理的効果があると考えられます。
◆今後の展望
本研究から、キンコウボク花エキスには肌のバリア機能として重要な表皮タイトジャンクションバリアの形成促進作用があり、その花の香りにはポジティブな気持ちを高める効果があることが明らかになりました。さらに当社では、キンコウボク花エキスが真皮の細胞に働きかけて幸せホルモンのひとつオキシトシンの受容体の発現を高めることも見出しており、キンコウボクは肌と心の両面から健やかな生活を支える有用な素材となります。本研究の知見は今後のスキンケアや香料商品の開発に応用していきます。
これからも当社では心身ともに健やかになれるウェルビーイング発想による研究を進め、お客さまのニーズに独自の価値で応える商品の提供に繋げてまいります。
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