■テリロジーホールディングス<5133>の事業内容
1. 製品・サービス別に4部門で事業を展開
同社グループは、セグメント情報を開示していないが、製品・サービス別に「ネットワーク」「セキュリティ」「モニタリング」「ソリューションサービス」の4部門で事業活動を展開している。
2. ネットワーク部門
ネットワーク部門は主にテリロジーが展開している。2023年3月期第2四半期累計の売上高は640百万円と全社売上の25.9%を占めている。主な取扱プロダクト・サービスは、1)ネットワーク製品(ルータ、スイッチ、無線LAN、DNS/DHCP)、2)企業内情報通信システムやインフラの設計・構築、3)テレビ会議システム等、広範囲なネットワーク関連製品の販売及びプロフェッショナルサービスの提供であり、創業来30年超に及ぶ実績の積み重ねにより、顧客のニーズに最も適したソリューションの提供が可能だと自負している。また、同部門が提供するネットワーク及び付帯機器の保守業務に24時間365日体制で対応している。
「Radware」製品については、2021年3月期から販売を開始した前代理店からの顧客巻き取りが堅調に推移している。テリロジーが取り扱う「Radware」の主力プロダクトは、1)「サービス停止攻撃」とも呼ばれるDoS/DDoS攻撃を自律的に防御するDDoS対策機器・サービス、2)日本市場で多くの実績を誇るロードバランサー(サーバーへの負荷を分散し安定的に稼働させる製品)、3)回線負荷分散のデファクトスタンダードとされるマルチホーミング機器、4)業界最高のWebアプリケーションセキュリティを実現するクラウドWAFサービス、5)自動化された脅威(Bot)からWebアプリケーション、モバイルアプリケーション、APIといったすべてのチャネルを保護するBotマネージャー、6)クラウド資産を包括的に保護するCloud Workload Protectionサービスであり、2)と3)がネットワーク関連、残りがセキュリティ関連となる。
テリロジーは2020年3月のディストリビューター契約締結で日本における「Radware」製品の1次代理店となったわけだが、前代理店ではネットワーク関連の取り扱いが中心であったため、セキュリティ関連において既存プロダクトとの棲み分けが可能であるテリロジーにおいてはクロスセルやアップセルを通じて一回り大きな事業規模への発展が期待される。実際、2022年3月期における「Radware」関連の受注額は166百万円(2021年3月期は217百万円)、保守売上については278百万円(同55百万円)と順調に推移している。保守売上がストック型ビジネスであることを勘案すれば、2023年3月期においても増収に貢献する蓋然性は高いと判断する。
3. セキュリティ部門
セキュリティ部門は主にテリロジーワークス(以下、TWX)がCTI領域中心に展開している。2023年3月期第2四半期累計の売上高は1,009百万円と全社売上の40.8%を占める同社グループの大黒柱となっている。主な取扱プロダクト・サービスは、1)CTI(Cyber Threat Intelligence、サイバー脅威情報)サービス、2)ネットワークセキュリティ製品(ファイアウォール、侵入検知・防御、情報漏えい対策等)、3)セキュリティ認証基盤(ネットワーク上のサービス利用者を識別すること)、4)不正取引対策(ワンタイムパスワード製品)等のセキュリティシステムで、同部門が提供するセキュリティ機器及びソフトウェア製品の保守業務に24時間365日体制で対応している。
同社グループは、CTI領域において2021年に警察庁の大型案件を獲得した実績を持つが、防衛省向けの案件についてはパートナー経由で実績があるものの、コンサルティングサービスが中心であった。ただし、2022年3月にTWXが資本・業務提携によって第三者割当増資を引き受けた(株)日本サイバーディフェンスは、元自衛隊幹部をはじめ国家防衛分野に精通したメンバーが参画している企業であるため、両社の強みを生かした新しい付加価値の高い製品が提供できることで、案件の獲得に向けて大きな展開が期待できる。
4. モニタリング部門
モニタリング部門は主にテリロジーが展開している。2023年3月期第2四半期累計の売上高は126百万円と全社売上の5.1%だが、テリロジーブランド商材がメインに育っていることが特徴である。主な取扱プロダクト・サービスは、1)テリロジー開発製品(momentum)によるパケット分析、2)クラウド性能監視サービス(CloudTriage)、3)ネットワーク運用・管理・監視機器である。加えて、同部門が提供するテリロジー開発製品(momentum)、ネットワーク運用・管理・監視機器及びソフトウェア製品の保守業務に24時間365日体制で対応している。
テリロジーブランドとしては、モニタリング部門の核となる「momentum」(完全テリロジー開発のネットワークパケットキャプチャ製品)や、月額課金モデルを導入しサポート事業部門の一部を成す「CloudTriage」(テリロジーブランド運用のITシステム運用監視クラウドサービス)がある。「momentum」はネットワーク上でやり取りされたデータ(パケット)を記憶装置(ストレージ)に収集し、分析・可視化することで、サービス品質の検証と不具合場所の特定、対策の支援を行う、言わばネットワーク上のドライブレコーダーのようなソリューションであり、大手携帯通信事業者など重要顧客の獲得に成功してきた。現在はネットワーク監視やセキュリティ対策、トラブルシューティング対応など、新たな利用シーンの開拓に取り組んでいる。また「CloudTriage」はITシステムの運用状況をユーザー視点で測定し、リモートアクセスの遅延といったパフォーマンス低下が発生した場合、その原因を特定するソリューションであり、月額課金のクラウドサービスとすることで安価に提供している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<SI>
1. 製品・サービス別に4部門で事業を展開
同社グループは、セグメント情報を開示していないが、製品・サービス別に「ネットワーク」「セキュリティ」「モニタリング」「ソリューションサービス」の4部門で事業活動を展開している。
2. ネットワーク部門
ネットワーク部門は主にテリロジーが展開している。2023年3月期第2四半期累計の売上高は640百万円と全社売上の25.9%を占めている。主な取扱プロダクト・サービスは、1)ネットワーク製品(ルータ、スイッチ、無線LAN、DNS/DHCP)、2)企業内情報通信システムやインフラの設計・構築、3)テレビ会議システム等、広範囲なネットワーク関連製品の販売及びプロフェッショナルサービスの提供であり、創業来30年超に及ぶ実績の積み重ねにより、顧客のニーズに最も適したソリューションの提供が可能だと自負している。また、同部門が提供するネットワーク及び付帯機器の保守業務に24時間365日体制で対応している。
「Radware」製品については、2021年3月期から販売を開始した前代理店からの顧客巻き取りが堅調に推移している。テリロジーが取り扱う「Radware」の主力プロダクトは、1)「サービス停止攻撃」とも呼ばれるDoS/DDoS攻撃を自律的に防御するDDoS対策機器・サービス、2)日本市場で多くの実績を誇るロードバランサー(サーバーへの負荷を分散し安定的に稼働させる製品)、3)回線負荷分散のデファクトスタンダードとされるマルチホーミング機器、4)業界最高のWebアプリケーションセキュリティを実現するクラウドWAFサービス、5)自動化された脅威(Bot)からWebアプリケーション、モバイルアプリケーション、APIといったすべてのチャネルを保護するBotマネージャー、6)クラウド資産を包括的に保護するCloud Workload Protectionサービスであり、2)と3)がネットワーク関連、残りがセキュリティ関連となる。
テリロジーは2020年3月のディストリビューター契約締結で日本における「Radware」製品の1次代理店となったわけだが、前代理店ではネットワーク関連の取り扱いが中心であったため、セキュリティ関連において既存プロダクトとの棲み分けが可能であるテリロジーにおいてはクロスセルやアップセルを通じて一回り大きな事業規模への発展が期待される。実際、2022年3月期における「Radware」関連の受注額は166百万円(2021年3月期は217百万円)、保守売上については278百万円(同55百万円)と順調に推移している。保守売上がストック型ビジネスであることを勘案すれば、2023年3月期においても増収に貢献する蓋然性は高いと判断する。
3. セキュリティ部門
セキュリティ部門は主にテリロジーワークス(以下、TWX)がCTI領域中心に展開している。2023年3月期第2四半期累計の売上高は1,009百万円と全社売上の40.8%を占める同社グループの大黒柱となっている。主な取扱プロダクト・サービスは、1)CTI(Cyber Threat Intelligence、サイバー脅威情報)サービス、2)ネットワークセキュリティ製品(ファイアウォール、侵入検知・防御、情報漏えい対策等)、3)セキュリティ認証基盤(ネットワーク上のサービス利用者を識別すること)、4)不正取引対策(ワンタイムパスワード製品)等のセキュリティシステムで、同部門が提供するセキュリティ機器及びソフトウェア製品の保守業務に24時間365日体制で対応している。
同社グループは、CTI領域において2021年に警察庁の大型案件を獲得した実績を持つが、防衛省向けの案件についてはパートナー経由で実績があるものの、コンサルティングサービスが中心であった。ただし、2022年3月にTWXが資本・業務提携によって第三者割当増資を引き受けた(株)日本サイバーディフェンスは、元自衛隊幹部をはじめ国家防衛分野に精通したメンバーが参画している企業であるため、両社の強みを生かした新しい付加価値の高い製品が提供できることで、案件の獲得に向けて大きな展開が期待できる。
4. モニタリング部門
モニタリング部門は主にテリロジーが展開している。2023年3月期第2四半期累計の売上高は126百万円と全社売上の5.1%だが、テリロジーブランド商材がメインに育っていることが特徴である。主な取扱プロダクト・サービスは、1)テリロジー開発製品(momentum)によるパケット分析、2)クラウド性能監視サービス(CloudTriage)、3)ネットワーク運用・管理・監視機器である。加えて、同部門が提供するテリロジー開発製品(momentum)、ネットワーク運用・管理・監視機器及びソフトウェア製品の保守業務に24時間365日体制で対応している。
テリロジーブランドとしては、モニタリング部門の核となる「momentum」(完全テリロジー開発のネットワークパケットキャプチャ製品)や、月額課金モデルを導入しサポート事業部門の一部を成す「CloudTriage」(テリロジーブランド運用のITシステム運用監視クラウドサービス)がある。「momentum」はネットワーク上でやり取りされたデータ(パケット)を記憶装置(ストレージ)に収集し、分析・可視化することで、サービス品質の検証と不具合場所の特定、対策の支援を行う、言わばネットワーク上のドライブレコーダーのようなソリューションであり、大手携帯通信事業者など重要顧客の獲得に成功してきた。現在はネットワーク監視やセキュリティ対策、トラブルシューティング対応など、新たな利用シーンの開拓に取り組んでいる。また「CloudTriage」はITシステムの運用状況をユーザー視点で測定し、リモートアクセスの遅延といったパフォーマンス低下が発生した場合、その原因を特定するソリューションであり、月額課金のクラウドサービスとすることで安価に提供している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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