■業績の動向
4. 2023年3月期の業績見通し
クオールホールディングス<3034>の2023年3月期の業績は売上高で前期比8.3%増の180,000百万円、営業利益で同21.8%増の12,000百万円、経常利益で同18.9%増の12,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同18.4%増の6,500百万円と期初計画を据え置いた。第2四半期までの進捗率は売上高で45.8%、営業利益で33.5%と低い進捗となっており、計画達成のハードルは高くなってはいるものの、下期は薬局でのオペレーション見直しによる生産性向上が期待できるほか、新規出店並びにM&Aによる店舗数の増加が見込まれること、新たに新型コロナウイルス感染症の抗原検査キットの販売開始を見込むなどプラス要素があるほか、今シーズンはインフルエンザが流行するとの見方が出ており、そうなれば処方箋応需枚数が一段と増加する可能性もある。会社計画を達成できるかどうかはこれらの動向次第ではあるものの、少なくとも過去最高業績を連続で更新する可能性は十分にあると弊社では見ている。
(1) 保険薬局事業
保険薬局事業の業績は増収増益を見込んでいる。2023年3月期の業績前提となる新規出店については、自力出店で10~20店舗程度、M&Aで30~70店舗を見込んでいる。自力出店のうち5店舗は異業種連携や駅ナカ店舗で計画している。2022年10月以降、11月15日までの実績としては自力出店で6店舗、M&Aで8店舗を新たに獲得し※、合計店舗数は前期末比22店舗増の851店舗となった。2022年4月以降では自力出店が14店舗とほぼ計画通りに進捗している一方、M&Aによる獲得は9店舗にとどまっている。ただ、調剤薬局市場は薬価改定等により経営状況が厳しくなっているなか小企業が増えていることもあり、今後M&Aによる店舗獲得ペースが加速する可能性もある。
※大阪、兵庫、奈良等で8店舗を運営する北摂調剤(株)の全株式を2022年11月7日付で取得した。
処方箋応需枚数については既存店で前期比5%強の増加を想定しており、処方箋単価は薬価改定の影響と長期処方の減少により薬剤料単価が低下すると見ている一方で、調剤技術料単価については横ばい水準となり、合計では若干の低下を想定している。このため既存店の調剤報酬売上については前期比5%程度の増収となり、これに新規出店・M&A効果と、EC販売やコンビニエンスストアの物販、並びにOTC医薬品の売上増を見込んでいる。なお、在宅調剤売上については大手介護施設向けが伸びるほか、個人宅向けの取り組みも強化していく方針となっている。
営業利益の増益要因としては、薬剤料収入の増加に伴う売上総利益の増加に加えて、処方箋応需枚数の増加による技術料収入の拡大が寄与することになる。また、第2四半期累計では薬剤師の感染者数が増加した影響で人件費が想定以上に増加したが、下期はドミナントを形成する薬局間の連携を高め、店舗スタッフで感染者が出た場合の勤務シフトなどを効率的に対応できるような体制にすることで、人件費をコントロールしていくことにしている。また、業務の生産性向上を目的に処方箋の自動読み取り装置の導入を繁忙店で開始した。なお、2023年春の薬剤師の新卒採用者数は2022年並みの200名程度となる見通しだ。
(2) 医療関連事業
医療関連事業の業績は2ケタ増収増益を見込んでいる。CSO事業や医療系人材紹介派遣事業については下期も順調に収益が拡大するほか、医薬品製造販売事業についても現在、販売承認申請中となっている新型コロナウイルス感染症抗原検査キットの販売開始によって通期では増収増益となる可能性がある。抗原検査キットは、2022年12月より販売が開始され、売上規模としては数億円規模が見込まれている。
なお、CMRについては前期末の約600人から2023年3月期末は700~800人まで増員を目指し、採用・育成を積極的に進めていくことにしている。特に、需要の強いスペシャリティ薬等の専門領域のMRやITリテラシーの高いMRの採用・育成を積極化していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NS>
4. 2023年3月期の業績見通し
クオールホールディングス<3034>の2023年3月期の業績は売上高で前期比8.3%増の180,000百万円、営業利益で同21.8%増の12,000百万円、経常利益で同18.9%増の12,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同18.4%増の6,500百万円と期初計画を据え置いた。第2四半期までの進捗率は売上高で45.8%、営業利益で33.5%と低い進捗となっており、計画達成のハードルは高くなってはいるものの、下期は薬局でのオペレーション見直しによる生産性向上が期待できるほか、新規出店並びにM&Aによる店舗数の増加が見込まれること、新たに新型コロナウイルス感染症の抗原検査キットの販売開始を見込むなどプラス要素があるほか、今シーズンはインフルエンザが流行するとの見方が出ており、そうなれば処方箋応需枚数が一段と増加する可能性もある。会社計画を達成できるかどうかはこれらの動向次第ではあるものの、少なくとも過去最高業績を連続で更新する可能性は十分にあると弊社では見ている。
(1) 保険薬局事業
保険薬局事業の業績は増収増益を見込んでいる。2023年3月期の業績前提となる新規出店については、自力出店で10~20店舗程度、M&Aで30~70店舗を見込んでいる。自力出店のうち5店舗は異業種連携や駅ナカ店舗で計画している。2022年10月以降、11月15日までの実績としては自力出店で6店舗、M&Aで8店舗を新たに獲得し※、合計店舗数は前期末比22店舗増の851店舗となった。2022年4月以降では自力出店が14店舗とほぼ計画通りに進捗している一方、M&Aによる獲得は9店舗にとどまっている。ただ、調剤薬局市場は薬価改定等により経営状況が厳しくなっているなか小企業が増えていることもあり、今後M&Aによる店舗獲得ペースが加速する可能性もある。
※大阪、兵庫、奈良等で8店舗を運営する北摂調剤(株)の全株式を2022年11月7日付で取得した。
処方箋応需枚数については既存店で前期比5%強の増加を想定しており、処方箋単価は薬価改定の影響と長期処方の減少により薬剤料単価が低下すると見ている一方で、調剤技術料単価については横ばい水準となり、合計では若干の低下を想定している。このため既存店の調剤報酬売上については前期比5%程度の増収となり、これに新規出店・M&A効果と、EC販売やコンビニエンスストアの物販、並びにOTC医薬品の売上増を見込んでいる。なお、在宅調剤売上については大手介護施設向けが伸びるほか、個人宅向けの取り組みも強化していく方針となっている。
営業利益の増益要因としては、薬剤料収入の増加に伴う売上総利益の増加に加えて、処方箋応需枚数の増加による技術料収入の拡大が寄与することになる。また、第2四半期累計では薬剤師の感染者数が増加した影響で人件費が想定以上に増加したが、下期はドミナントを形成する薬局間の連携を高め、店舗スタッフで感染者が出た場合の勤務シフトなどを効率的に対応できるような体制にすることで、人件費をコントロールしていくことにしている。また、業務の生産性向上を目的に処方箋の自動読み取り装置の導入を繁忙店で開始した。なお、2023年春の薬剤師の新卒採用者数は2022年並みの200名程度となる見通しだ。
(2) 医療関連事業
医療関連事業の業績は2ケタ増収増益を見込んでいる。CSO事業や医療系人材紹介派遣事業については下期も順調に収益が拡大するほか、医薬品製造販売事業についても現在、販売承認申請中となっている新型コロナウイルス感染症抗原検査キットの販売開始によって通期では増収増益となる可能性がある。抗原検査キットは、2022年12月より販売が開始され、売上規模としては数億円規模が見込まれている。
なお、CMRについては前期末の約600人から2023年3月期末は700~800人まで増員を目指し、採用・育成を積極的に進めていくことにしている。特に、需要の強いスペシャリティ薬等の専門領域のMRやITリテラシーの高いMRの採用・育成を積極化していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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