■要約
AIAIグループ(株)<6557>(旧(株)global bridge HOLDINGSが2022年1月1日付で商号変更)は、日本の人口問題を福祉事業によって解決する「福祉の総合企業」を目指し、未就学期の子どもに関する事業として東京・千葉・大阪を中心に保育・療育・教育を一体的に提供する「AIAI三育圏」を展開している。
1. チャイルドケア事業(多機能型施設AIAI PLUSと認可保育園AIAI NURSERY)が主力
事業区分(2022年3月期から組替・名称変更)は、チャイルドケア事業(児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能型施設AIAI PLUS、認可保育園AIAI NURSERY、小規模保育施設AIAI MINI)、ライフケア事業(サービス付高齢者向け住宅AIAI MAISON、住宅型有料老人ホームAIAI HOUSE、手作りおもちゃ工房AIAI FACTORY)、テック事業(保育の個別最適化を目指す自社開発のChild Care System(チャイルドケアシステム、以下CCS)等の販売)としている。売上高の9割超を占めるチャイルドケア事業が主力である。認可保育園AIAI NURSERYは特に千葉県において圧倒的なシェアを誇り、特色のある独自の園児向け教育プログラムが高い評価を得ている。
2. 認可保育園AIAI NURSERYは開設後3~4年目から収益化
認可保育園AIAI NURSERYの収益特性として、新規施設開設時は初期費用や採用費用などの立ち上げ費用が先行し、開設後数年間は高年齢クラス(3歳~5歳)が定員を満たさないため、低在籍数・低在籍率で赤字となる傾向にある。しかし開設後の年数経過とともに低年齢クラス(0歳~2歳)の児童が進級を重ねることにより、高年齢クラスの在籍数が増加し、在籍率も上昇して売上高、売上総利益も増加する。一般的には、開設後3~4年目以降になると在籍数増加・在籍率上昇によって収益化(黒字化)すると言われている。多機能型施設AIAI PLUSの収益特性としては、認可保育園AIAI NURSERYに比べて投資額を抑えられるという特徴がある。認可保育園AIAI NURSERYとの併設によるシナジー効果で、集客力や採用力の強化、戦略的な人員配置などにつながるメリットもある。
3. 2023年3月期第2四半期累計は実質的に営業赤字縮小、第2四半期は営業黒字に転換
2023年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結業績は売上高が5,286百万円、営業利益が286百万円の赤字、経常利益が354百万円の赤字、親会社株主に帰属する四半期純利益が836百万円の赤字だった。新規施設開設関連費用の発生で営業赤字だった。新規施設開設は合計10施設で、期末施設数は合計104施設となった。営業外収益では前期計上の補助金収入が剥落の形となり、特別損失には減損損失を計上した。なお2022年3月期第2四半期累計(決算期変更のため対象期間は2021年1~6月)との単純比較はできないが、既存施設の収益化進展などで実質的に営業赤字が縮小した形である。また営業利益を四半期別に見ると、第1四半期(4~6月)は319百万円の赤字、第2四半期(7~9月)は33百万円の黒字だった。第1四半期は新規施設開設関連費用が先行して営業赤字だが、第2四半期は在籍数増加・在籍率上昇に伴って経費率が低下するとともに、一時的費用の剥落も寄与して営業黒字に転換した。
4. 2023年3月期通期は営業利益予想を下方修正だが改善基調に変化なし
2023年3月期通期連結業績予想(2022年11月2日付で修正)は売上高が10,600百万円、営業利益が0百万円、経常利益が300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が350百万円の赤字としている。前回予想に対して売上高を据え置き、営業利益を100百万円下方修正、経常利益を100百万円上方修正、親会社株主に帰属する当期純利益を470百万円下方修正した。売上面は新規施設開設や在籍人数増加で順調だが、営業利益は施設人件費が想定を上回る見込みとなったため下方修正、経常利益は開設補助金が上回る見込みとなったため上方修正、親会社株主に帰属する当期純利益は減損損失計上と繰延税金資産取崩を踏まえて下方修正した。なお、15ヶ月決算の2022年3月期実績との単純比較はできないが、既存施設の収益化進展や効率化などにより営業損益改善基調に変化はなく、下期のさらなる既存施設稼働率上昇や生産性向上効果などで、会社予想に上振れ余地があるだろうと弊社では見ている。
5. 中期経営計画で2025年3月期は営業利益3億円~5億円が目標
同社は中長期的に目指す姿として、待機児童が解消に向かうなか、近年増加傾向にある障がい児への適切なケアを通じて子どもの能力開発をサポートするとともに、2030年代にピークを迎える高齢化に向けた事業基盤整備を進め、人口問題を総合的に解決するビジネス展開を目指すとしている。そして「AIAIグループ中期経営計画2022~2024」では、数値目標として2025年3月期売上高120億円~130億円程度、営業利益3億円~5億円程度を掲げている。待機児童が減少傾向の一方で障がい児が増加傾向という市場環境の変化に対応し、認可保育園AIAI NURSERYによる安定的な収益基盤を維持しつつ、成長分野である多機能型施設AIAI PLUSの展開に段階的にシフトする方針だ。
6. 保育・療育・教育を一体的に提供する「AIAI三育圏」で成長加速
同社は収益基盤構築に向けて認可保育園AIAI NURSERYの新規施設開設を加速してきたため、先行投資で営業損失が継続していたが、開設から3~4年を経過した既存施設の割合が上昇して2023年3月期第2四半期(7~9月)にはチャイルドケア事業として黒字転換した。さらに事業環境の変化に対応して保育・療育・教育を一体的に提供する「AIAI三育圏」を目指す方針だ。認可保育園AIAI NURSERYが安定収益ステージに移行し、障がい児ケアの多機能型施設AIAI PLUSの展開が本格化することで、成長加速が期待できると弊社では評価している。
■Key Points
・ 日本の人口問題を保育園中心の福祉事業によって解決する「福祉の総合企業」
・ 2023年3月期第2四半期累計は営業赤字縮小、第2四半期は営業黒字転換
・ 2023年3月期通期は営業利益予想を下方修正だが上振れ余地
・ 保育・療育・教育を一体的に提供する「AIAI三育圏」を目指して成長加速
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<NS>
AIAIグループ(株)<6557>(旧(株)global bridge HOLDINGSが2022年1月1日付で商号変更)は、日本の人口問題を福祉事業によって解決する「福祉の総合企業」を目指し、未就学期の子どもに関する事業として東京・千葉・大阪を中心に保育・療育・教育を一体的に提供する「AIAI三育圏」を展開している。
1. チャイルドケア事業(多機能型施設AIAI PLUSと認可保育園AIAI NURSERY)が主力
事業区分(2022年3月期から組替・名称変更)は、チャイルドケア事業(児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能型施設AIAI PLUS、認可保育園AIAI NURSERY、小規模保育施設AIAI MINI)、ライフケア事業(サービス付高齢者向け住宅AIAI MAISON、住宅型有料老人ホームAIAI HOUSE、手作りおもちゃ工房AIAI FACTORY)、テック事業(保育の個別最適化を目指す自社開発のChild Care System(チャイルドケアシステム、以下CCS)等の販売)としている。売上高の9割超を占めるチャイルドケア事業が主力である。認可保育園AIAI NURSERYは特に千葉県において圧倒的なシェアを誇り、特色のある独自の園児向け教育プログラムが高い評価を得ている。
2. 認可保育園AIAI NURSERYは開設後3~4年目から収益化
認可保育園AIAI NURSERYの収益特性として、新規施設開設時は初期費用や採用費用などの立ち上げ費用が先行し、開設後数年間は高年齢クラス(3歳~5歳)が定員を満たさないため、低在籍数・低在籍率で赤字となる傾向にある。しかし開設後の年数経過とともに低年齢クラス(0歳~2歳)の児童が進級を重ねることにより、高年齢クラスの在籍数が増加し、在籍率も上昇して売上高、売上総利益も増加する。一般的には、開設後3~4年目以降になると在籍数増加・在籍率上昇によって収益化(黒字化)すると言われている。多機能型施設AIAI PLUSの収益特性としては、認可保育園AIAI NURSERYに比べて投資額を抑えられるという特徴がある。認可保育園AIAI NURSERYとの併設によるシナジー効果で、集客力や採用力の強化、戦略的な人員配置などにつながるメリットもある。
3. 2023年3月期第2四半期累計は実質的に営業赤字縮小、第2四半期は営業黒字に転換
2023年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結業績は売上高が5,286百万円、営業利益が286百万円の赤字、経常利益が354百万円の赤字、親会社株主に帰属する四半期純利益が836百万円の赤字だった。新規施設開設関連費用の発生で営業赤字だった。新規施設開設は合計10施設で、期末施設数は合計104施設となった。営業外収益では前期計上の補助金収入が剥落の形となり、特別損失には減損損失を計上した。なお2022年3月期第2四半期累計(決算期変更のため対象期間は2021年1~6月)との単純比較はできないが、既存施設の収益化進展などで実質的に営業赤字が縮小した形である。また営業利益を四半期別に見ると、第1四半期(4~6月)は319百万円の赤字、第2四半期(7~9月)は33百万円の黒字だった。第1四半期は新規施設開設関連費用が先行して営業赤字だが、第2四半期は在籍数増加・在籍率上昇に伴って経費率が低下するとともに、一時的費用の剥落も寄与して営業黒字に転換した。
4. 2023年3月期通期は営業利益予想を下方修正だが改善基調に変化なし
2023年3月期通期連結業績予想(2022年11月2日付で修正)は売上高が10,600百万円、営業利益が0百万円、経常利益が300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が350百万円の赤字としている。前回予想に対して売上高を据え置き、営業利益を100百万円下方修正、経常利益を100百万円上方修正、親会社株主に帰属する当期純利益を470百万円下方修正した。売上面は新規施設開設や在籍人数増加で順調だが、営業利益は施設人件費が想定を上回る見込みとなったため下方修正、経常利益は開設補助金が上回る見込みとなったため上方修正、親会社株主に帰属する当期純利益は減損損失計上と繰延税金資産取崩を踏まえて下方修正した。なお、15ヶ月決算の2022年3月期実績との単純比較はできないが、既存施設の収益化進展や効率化などにより営業損益改善基調に変化はなく、下期のさらなる既存施設稼働率上昇や生産性向上効果などで、会社予想に上振れ余地があるだろうと弊社では見ている。
5. 中期経営計画で2025年3月期は営業利益3億円~5億円が目標
同社は中長期的に目指す姿として、待機児童が解消に向かうなか、近年増加傾向にある障がい児への適切なケアを通じて子どもの能力開発をサポートするとともに、2030年代にピークを迎える高齢化に向けた事業基盤整備を進め、人口問題を総合的に解決するビジネス展開を目指すとしている。そして「AIAIグループ中期経営計画2022~2024」では、数値目標として2025年3月期売上高120億円~130億円程度、営業利益3億円~5億円程度を掲げている。待機児童が減少傾向の一方で障がい児が増加傾向という市場環境の変化に対応し、認可保育園AIAI NURSERYによる安定的な収益基盤を維持しつつ、成長分野である多機能型施設AIAI PLUSの展開に段階的にシフトする方針だ。
6. 保育・療育・教育を一体的に提供する「AIAI三育圏」で成長加速
同社は収益基盤構築に向けて認可保育園AIAI NURSERYの新規施設開設を加速してきたため、先行投資で営業損失が継続していたが、開設から3~4年を経過した既存施設の割合が上昇して2023年3月期第2四半期(7~9月)にはチャイルドケア事業として黒字転換した。さらに事業環境の変化に対応して保育・療育・教育を一体的に提供する「AIAI三育圏」を目指す方針だ。認可保育園AIAI NURSERYが安定収益ステージに移行し、障がい児ケアの多機能型施設AIAI PLUSの展開が本格化することで、成長加速が期待できると弊社では評価している。
■Key Points
・ 日本の人口問題を保育園中心の福祉事業によって解決する「福祉の総合企業」
・ 2023年3月期第2四半期累計は営業赤字縮小、第2四半期は営業黒字転換
・ 2023年3月期通期は営業利益予想を下方修正だが上振れ余地
・ 保育・療育・教育を一体的に提供する「AIAI三育圏」を目指して成長加速
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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