■会社概要
2. 事業概要
(1) 事業ドメインと事業ポートフォリオ
1) コア事業領域…おうち事業※
住宅会社が新築住宅を住宅オーナーへ引き渡してから、日本リビング保証<7320>のおうち事業が始まる。まず、長期保証サービスを付与、メンテナンス(点検・補修)をマネジメントし、最後はリフォーム、建替へと繋げる。すなわち、「お家のケア等の“住宅の一生”を面倒みる」ことが顧客(住宅オーナー)に提供する価値である。BtoCビジネスでは「顧客生涯価値(ゆりかごから墓場まで)」というビジネス用語があるが、その住宅版“生涯価値”と言っていいだろう。
住宅はメガ市場で付随するすそ野も広く、アフターメンテナンス市場もその中の一つである。現在、同社のおうち事業は業界トップクラスの市場ポジションをキープし、高成長・高収益を確保している。しかし、メガ市場の中、同社がまだカバーできていない保証サービスやおうち情報もあり、今後も同社のコア事業として一層の拡大強化を図っていく。
2) 成長事業領域…BPO事業※
長期的視点でみると、住宅だけでは、“一本足打法”となり、事業成長と事業リスク上、大きな壁に突き当ってしまう。同社の経営幹部は、常に住宅に次ぐ「次の柱」を視野に入れて事業推進や新規事業探索を行っている。BPO事業は、再生可能エネルギー向け補助金(太陽光発電の普及政策)を絡めて、ここ5年の間で急激に伸びてきた。BPO事業は、「住宅設備の保証」ノウハウをベースに“電気的・機械的機器(蓄電システム機器やタブレット等)への保証・保険&ファイナンスのソリューション”と定義できる。言い換えると、「メーカー保証制度の立上げ代行」となる。具体的には、製造メーカーや販売会社と損害保険会社との間に立ち、保証業務をアレンジメントし保証業務代行を行う。現在、BPO事業は損害保険会社からの顧客紹介が圧倒的に多く、蓄電システム機器保証サービスの受注は計画を大きく上回っている状況で、ここ数年はこの状態が続くものと思われる。
※「おうち事業」と「BPO事業」は、それぞれ「HomeworthTech事業」と「ExtendTech事業」に改称(2022年8月)
3) 新領域への挑戦
●デジタルツール(アプリ)の提供
同社の商品サービス(保証書等)を紙ベースからデジタル化するために、携帯やタブレットで駆動する閲覧・手続きができるアプリを開発した。住宅会社と住宅オーナー間の接点・コミュニケーションツールとして提供しており、ポイント状況等もアプリで確認できるようなっている。
住宅会社のカスタマーサクセスの一貫としてツールを提供しており、アプリで稼ぐつもりはなく、同社の各種サービス(保証サービス、ポイント等)の利用拡大を誘導する役割を担えればよいという認識である。
●海外展開(特に東南アジア市場)
過去に「海外進出」の可能性を検討し、海外市場調査や東南アジアへ海外視察をしていたが、新型コロナウイルス感染症拡大により、現在ペンディング状態となっている。「保証」という日本人の国民性に好まれやすいビジネスを、「故障をしたらそのときに修理をする」ことがより一般的な海外において、そのマインドチェンジを如何に促すかが、海外ビジネスの成功の鍵となる。
●“両利き”の経営を実践
閉塞感が漂う大企業を中心に“両利きの経営”が今注目されている。現在の主力事業以外にも積極的に新規事業を考えようという経営論で、言い換えると、既存事業の「深掘り」と新規事業の「探索」の“二兎を追う”経営である。同社では主力事業である住宅分野の保証サービス事業を「深掘り」しつつ、BPO事業や海外進出等非住宅分野での新規事業の「探索」にも力を入れており、創業14期目の若い会社が“両利き経営”を実践している希有な存在である。
(2) ビジネスモデル
同社は創業と同時に、業界初の住宅設備の延長保証サービス「住設あんしんサポート」の提供を開始した。保証サービスの特徴は会計処理上、設備保証の売上・原価は保証期間に応じて前受収益・前払費用として按分計上される。設備保証料は一括キャッシュインされ潤沢な手元資金として留保され、成長投資や資産運用の原資となる。従って、収入からキャッシュ循環で成長投資を賄うため借入金は不要、極めて財務健全性に優れたビジネスモデルと言える。同社ではこのビジネスモデルを“ストック型ビジネス”と呼んでいる。
一方、2013年ごろからスタートしたBPO事業(メーカー保証制度の立上げ代行)は、当初は国の補助金関連として、再生可能エネルギー関連(太陽光パネル、発電システム)が、最近では、蓄電システム機器やGIGAスクール向けタブレットが対象となっている。2022年6月期では、蓄電システム機器とタブレットが大きく収益に貢献している。これは、“フロー型ビジネス”で、最初に「メーカー保証制度の構築」の一括受注となり、会計処理上は大半が当期一括計上となる。原価がほとんどかからないため、売上が増えた分だけ利益も増える仕組み(一般には、リカーリングビジネスとも言う)である。同社はストック型ビジネス(おうち事業)とフロー型ビジネス(BPO事業)を最適な組み合わせとすることで、財務健全性と持続的安定収益基盤を確立している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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2. 事業概要
(1) 事業ドメインと事業ポートフォリオ
1) コア事業領域…おうち事業※
住宅会社が新築住宅を住宅オーナーへ引き渡してから、日本リビング保証<7320>のおうち事業が始まる。まず、長期保証サービスを付与、メンテナンス(点検・補修)をマネジメントし、最後はリフォーム、建替へと繋げる。すなわち、「お家のケア等の“住宅の一生”を面倒みる」ことが顧客(住宅オーナー)に提供する価値である。BtoCビジネスでは「顧客生涯価値(ゆりかごから墓場まで)」というビジネス用語があるが、その住宅版“生涯価値”と言っていいだろう。
住宅はメガ市場で付随するすそ野も広く、アフターメンテナンス市場もその中の一つである。現在、同社のおうち事業は業界トップクラスの市場ポジションをキープし、高成長・高収益を確保している。しかし、メガ市場の中、同社がまだカバーできていない保証サービスやおうち情報もあり、今後も同社のコア事業として一層の拡大強化を図っていく。
2) 成長事業領域…BPO事業※
長期的視点でみると、住宅だけでは、“一本足打法”となり、事業成長と事業リスク上、大きな壁に突き当ってしまう。同社の経営幹部は、常に住宅に次ぐ「次の柱」を視野に入れて事業推進や新規事業探索を行っている。BPO事業は、再生可能エネルギー向け補助金(太陽光発電の普及政策)を絡めて、ここ5年の間で急激に伸びてきた。BPO事業は、「住宅設備の保証」ノウハウをベースに“電気的・機械的機器(蓄電システム機器やタブレット等)への保証・保険&ファイナンスのソリューション”と定義できる。言い換えると、「メーカー保証制度の立上げ代行」となる。具体的には、製造メーカーや販売会社と損害保険会社との間に立ち、保証業務をアレンジメントし保証業務代行を行う。現在、BPO事業は損害保険会社からの顧客紹介が圧倒的に多く、蓄電システム機器保証サービスの受注は計画を大きく上回っている状況で、ここ数年はこの状態が続くものと思われる。
※「おうち事業」と「BPO事業」は、それぞれ「HomeworthTech事業」と「ExtendTech事業」に改称(2022年8月)
3) 新領域への挑戦
●デジタルツール(アプリ)の提供
同社の商品サービス(保証書等)を紙ベースからデジタル化するために、携帯やタブレットで駆動する閲覧・手続きができるアプリを開発した。住宅会社と住宅オーナー間の接点・コミュニケーションツールとして提供しており、ポイント状況等もアプリで確認できるようなっている。
住宅会社のカスタマーサクセスの一貫としてツールを提供しており、アプリで稼ぐつもりはなく、同社の各種サービス(保証サービス、ポイント等)の利用拡大を誘導する役割を担えればよいという認識である。
●海外展開(特に東南アジア市場)
過去に「海外進出」の可能性を検討し、海外市場調査や東南アジアへ海外視察をしていたが、新型コロナウイルス感染症拡大により、現在ペンディング状態となっている。「保証」という日本人の国民性に好まれやすいビジネスを、「故障をしたらそのときに修理をする」ことがより一般的な海外において、そのマインドチェンジを如何に促すかが、海外ビジネスの成功の鍵となる。
●“両利き”の経営を実践
閉塞感が漂う大企業を中心に“両利きの経営”が今注目されている。現在の主力事業以外にも積極的に新規事業を考えようという経営論で、言い換えると、既存事業の「深掘り」と新規事業の「探索」の“二兎を追う”経営である。同社では主力事業である住宅分野の保証サービス事業を「深掘り」しつつ、BPO事業や海外進出等非住宅分野での新規事業の「探索」にも力を入れており、創業14期目の若い会社が“両利き経営”を実践している希有な存在である。
(2) ビジネスモデル
同社は創業と同時に、業界初の住宅設備の延長保証サービス「住設あんしんサポート」の提供を開始した。保証サービスの特徴は会計処理上、設備保証の売上・原価は保証期間に応じて前受収益・前払費用として按分計上される。設備保証料は一括キャッシュインされ潤沢な手元資金として留保され、成長投資や資産運用の原資となる。従って、収入からキャッシュ循環で成長投資を賄うため借入金は不要、極めて財務健全性に優れたビジネスモデルと言える。同社ではこのビジネスモデルを“ストック型ビジネス”と呼んでいる。
一方、2013年ごろからスタートしたBPO事業(メーカー保証制度の立上げ代行)は、当初は国の補助金関連として、再生可能エネルギー関連(太陽光パネル、発電システム)が、最近では、蓄電システム機器やGIGAスクール向けタブレットが対象となっている。2022年6月期では、蓄電システム機器とタブレットが大きく収益に貢献している。これは、“フロー型ビジネス”で、最初に「メーカー保証制度の構築」の一括受注となり、会計処理上は大半が当期一括計上となる。原価がほとんどかからないため、売上が増えた分だけ利益も増える仕組み(一般には、リカーリングビジネスとも言う)である。同社はストック型ビジネス(おうち事業)とフロー型ビジネス(BPO事業)を最適な組み合わせとすることで、財務健全性と持続的安定収益基盤を確立している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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