■要約
兵機海運<9362>は独立系海運会社である。神戸に本社を構え、神戸港・姫路港・大阪港をベースに、内航・外航の海上輸送、倉庫、通関・国際輸送の各物流サービスを提供している。鉄鋼メーカーが生産する鋼材の海陸一貫輸送が強みである。創業は1942年12月であり、2022年12月には創業80周年を迎える。2022年4月には、東京証券取引所の東証スタンダード市場へ移行した。
1. 2022年3月期の業績概要
2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比23.7%増の16,087百万円、営業利益で同162.3%増の488百万円、経常利益で同149.5%増の523百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同10.7%増の358百万円となり、期初計画ならびに期中に上方修正した会社計画を上回った。全事業で主要貨物の取扱量が増加したことが大きい。主力の内航事業では鉄鋼、外航事業ではタイヤ・建機の輸送需要が増加した。港運事業では輸入食品、倉庫事業では、危険物の取扱量が増加した。
2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績見通しは、売上高で前期比6.8%減の15,000百万円、営業利益で同2.4%増の500百万円、経常利益で同4.4%減の500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同2.4%減の350百万円となっている。売上高の減少は外航事業の主航路である極東ロシア航路の当面の見合わせ等が考慮されている。営業利益はサービスの付加価値化等で増益見込みだが、経常利益は為替差益や受取出向料等の営業外収益の減少による減益が見込まれている。
3. 中長期の成長戦略
同社の強みであるバランスの良い事業ポートフォリオと機動的な全方位営業により、弊社では業績が堅実に拡大していくと考える。同社は、内航事業、外航事業、港運事業、倉庫事業の4事業で総合的な物流サービスを展開しており、バランスの良い事業ポートフォリオを構築している。この4つの事業を並行して手掛けていることで、会社全体としてリスクの分散が図れている。また、独立系海運会社であることも同社の特長となっている。海運業界には、荷主である企業系列の海運会社が多く存在している。企業系列の海運会社は荷主との取引関係が硬直的になりがちである。同社はどこの系列にも属していないため、機動的に全方位で営業活動が可能となっている。収益機会と見れば一気に経営資源を投入し、一方で危険を察知した場合はいったん立ち止まることができる。このように機動的な事業運営で稼ぐ力を高めていく戦略で、弊社では同社が中長期に成長していくと考える。
■Key Points
・2022年3月期は期中に上方修正した会社計画も達成、主力の鉄鋼の輸送量が増加
・2023年3月期は極東ロシア航路の影響で減収も、サービスの高付加価値化等で営業増益を想定
・バランスの良い事業ポートフォリオと全方位営業で、堅実な成長を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
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兵機海運<9362>は独立系海運会社である。神戸に本社を構え、神戸港・姫路港・大阪港をベースに、内航・外航の海上輸送、倉庫、通関・国際輸送の各物流サービスを提供している。鉄鋼メーカーが生産する鋼材の海陸一貫輸送が強みである。創業は1942年12月であり、2022年12月には創業80周年を迎える。2022年4月には、東京証券取引所の東証スタンダード市場へ移行した。
1. 2022年3月期の業績概要
2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比23.7%増の16,087百万円、営業利益で同162.3%増の488百万円、経常利益で同149.5%増の523百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同10.7%増の358百万円となり、期初計画ならびに期中に上方修正した会社計画を上回った。全事業で主要貨物の取扱量が増加したことが大きい。主力の内航事業では鉄鋼、外航事業ではタイヤ・建機の輸送需要が増加した。港運事業では輸入食品、倉庫事業では、危険物の取扱量が増加した。
2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績見通しは、売上高で前期比6.8%減の15,000百万円、営業利益で同2.4%増の500百万円、経常利益で同4.4%減の500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同2.4%減の350百万円となっている。売上高の減少は外航事業の主航路である極東ロシア航路の当面の見合わせ等が考慮されている。営業利益はサービスの付加価値化等で増益見込みだが、経常利益は為替差益や受取出向料等の営業外収益の減少による減益が見込まれている。
3. 中長期の成長戦略
同社の強みであるバランスの良い事業ポートフォリオと機動的な全方位営業により、弊社では業績が堅実に拡大していくと考える。同社は、内航事業、外航事業、港運事業、倉庫事業の4事業で総合的な物流サービスを展開しており、バランスの良い事業ポートフォリオを構築している。この4つの事業を並行して手掛けていることで、会社全体としてリスクの分散が図れている。また、独立系海運会社であることも同社の特長となっている。海運業界には、荷主である企業系列の海運会社が多く存在している。企業系列の海運会社は荷主との取引関係が硬直的になりがちである。同社はどこの系列にも属していないため、機動的に全方位で営業活動が可能となっている。収益機会と見れば一気に経営資源を投入し、一方で危険を察知した場合はいったん立ち止まることができる。このように機動的な事業運営で稼ぐ力を高めていく戦略で、弊社では同社が中長期に成長していくと考える。
■Key Points
・2022年3月期は期中に上方修正した会社計画も達成、主力の鉄鋼の輸送量が増加
・2023年3月期は極東ロシア航路の影響で減収も、サービスの高付加価値化等で営業増益を想定
・バランスの良い事業ポートフォリオと全方位営業で、堅実な成長を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
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