■システムインテグレータ<3826>の今後の見通し
2. 事業セグメント別見通し
(1) Object Browser事業
Object Browser事業は売上高で前期比13.7%増の770百万円、営業利益で同20.8%増の183百万円と増収増益を見込む。「Object Browser」シリーズについては前期比横ばい水準を想定し、増収分の大半は「OBPM Neo」の新規顧客獲得と解約件数の低減に取り組むことで達成する見通しとなっている。新規顧客の獲得件数としては30件を目標としている。
顧客獲得施策としては、IT業界だけでなく製造業やエンジニアリング業界などに顧客ターゲットを拡げるほか、短期間で顧客が導入・活用できるシステムを導入することで営業の生産性向上を図る。製造業では新製品開発、エンジニアリング会社では設計・施工管理等で「OBPM Neo」の活用機会があると見られ、セミナーの開催等で新規リードを獲得していく方針だ。また、解約件数そのものは少ないが、顧客要望の強い機能の改善、強化を図ることで解約件数をさらに抑制する。
「OBDZ」については顧客からの要望が多かった追加機能の開発を行っており、2023年2月期中のリリースを目指している。本格的な営業活動はこの後に行う予定としている。なお、今回の機能拡充により顧客数が拡大しなければ、撤退の可能性も経営判断として出てくるものと思われる。
(2) E-Commerce事業
E-Commerce事業は売上高で前期比3.2%減の1,170百万円、営業利益で同33.3%減の275百万円と減収減益に転じる見通し。前期に受注した10億円超の大型リプレイス案件の開発が顧客事情により中断することとなった影響が大きい。同案件は前期に上流工程(要件定義)からスタートして2億円強の売上を計上し、2023年2月期以降は複数回に分けて納品する予定となっていた。顧客事情については明らかにされていないが、EC事業の戦略変更などがあったものと推察される。今後プロジェクトが再開される可能性もあるが、2023年2月期の売上計画には織り込んでいない。また、利益率が前期の34.1%から23.5%に低下する見込みだが、採算の良かった同案件の売上がなくなる影響が大きい。
新たな取り組みとしては、中堅規模以上のBtoBのEC事業者の顧客開拓を進めていく。今まではBtoCの大規模EC事業者をターゲットにしていたが、BtoBのEC市場もここ数年で急成長しており、カスタムニーズの強い顧客に対しては同社の開発力が活かせるものと判断した。他社ソリューションとの連携も図りながらプロモーション活動を展開していく予定になっている。BtoB市場領域での開拓に成功すれば、売上成長ポテンシャルもさらに高まるものと期待される。
(3) ERP・AI事業
ERP・AI事業は売上高で前期比3.1%増の2,975百万円、営業利益で同83.9%増の228百万円となる見通し。このうち、ERP事業は売上高で同1.1%増の2,900百万円、営業利益で同17.9%増の262百万円を見込む。需要は引き続き旺盛なものの、開発リソース不足のため売上高は微増にとどまる見通しだ。利益面では、生産性の向上が増益要因となる。なお、2022年4~5月にスタートする案件が多く、売上検収時期が下期に集中することから、上期は減収減益を見込んでいる。
ERP事業では、前期に業種特化型クラウドERPサービス「GRANDIT SaaS」IT企業モデルの提供開始を皮切りに、今後も製造業、工事・エンジニアリング業など対象業種モデルを順次リリースすることで、中小企業も含めて顧客ターゲットを拡大していく予定となっている。
一方、AI事業については売上高で前期比295.1%増の75百万円、営業損失で34百万円(前期は98百万円の損失)を見込む。「AISI∀-AD」の製造ライン向けシステムが2022年5月に初めて導入されたことで上期の売上高が39百万円となり、下期も1件の導入を計画している。また、10件程度のPoC案件が同時並行で進んでおり、これらも増収要因となる。
実用化第1号案件はフィルムメーカーの製造ライン向けとなり、高速ライン上でのフィルムの傷や汚れ等をカメラとAI、エッジコンピュータなどを使って高精度に自動検査するシステムとなる。同システムの導入により検査工程の大幅な省力化が見込まれている。同社は、同案件を成功事例としてフィルム業界での横展開を進めていくほか、その他の製造業界向けにも導入提案を進めていく方針となっている。ただ、AIによる異常検知システムは顧客によって要求する精度が異なるほか、導入効果も当初の期待値に達していないことから、今後製造ラインへの導入が順調に拡大していくかどうかは不透明な状況と言える。このため、収益化の時期についても3年後の2025年2月期と、従来から1年先送りしている。
(4) その他
その他事業の売上高は前期比90.6%増の85百万円、営業損失は86百万円(前期は100百万円の損失)となる見通し。売上高の内訳は「TOPSIC」で約60百万円、「VOICE TICKETS」「IDEA GARDEN」で各10百万円程度となる。また、開発費は前期並みの50百万円の計画だ。
「TOPSIC」については、引き続き企業のエンジニア採用及び教育研修用ツールとして拡販に取り組んでいく。また、「VOICE TICKETS」については、SaaS事業者を対象にアウトバウンドセールスを展開していく。「VOICE TICKETS」の導入によってサービス品質の向上による解約率低減の効果が確認されれば、導入する事業者も増えていくものと予想される。一方、「IDEA GARDEN」についてはターゲット顧客が幅広いため、セミナー開催や会社ホームページのコンテンツを拡充して、見込み顧客を獲得していく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別見通し
(1) Object Browser事業
Object Browser事業は売上高で前期比13.7%増の770百万円、営業利益で同20.8%増の183百万円と増収増益を見込む。「Object Browser」シリーズについては前期比横ばい水準を想定し、増収分の大半は「OBPM Neo」の新規顧客獲得と解約件数の低減に取り組むことで達成する見通しとなっている。新規顧客の獲得件数としては30件を目標としている。
顧客獲得施策としては、IT業界だけでなく製造業やエンジニアリング業界などに顧客ターゲットを拡げるほか、短期間で顧客が導入・活用できるシステムを導入することで営業の生産性向上を図る。製造業では新製品開発、エンジニアリング会社では設計・施工管理等で「OBPM Neo」の活用機会があると見られ、セミナーの開催等で新規リードを獲得していく方針だ。また、解約件数そのものは少ないが、顧客要望の強い機能の改善、強化を図ることで解約件数をさらに抑制する。
「OBDZ」については顧客からの要望が多かった追加機能の開発を行っており、2023年2月期中のリリースを目指している。本格的な営業活動はこの後に行う予定としている。なお、今回の機能拡充により顧客数が拡大しなければ、撤退の可能性も経営判断として出てくるものと思われる。
(2) E-Commerce事業
E-Commerce事業は売上高で前期比3.2%減の1,170百万円、営業利益で同33.3%減の275百万円と減収減益に転じる見通し。前期に受注した10億円超の大型リプレイス案件の開発が顧客事情により中断することとなった影響が大きい。同案件は前期に上流工程(要件定義)からスタートして2億円強の売上を計上し、2023年2月期以降は複数回に分けて納品する予定となっていた。顧客事情については明らかにされていないが、EC事業の戦略変更などがあったものと推察される。今後プロジェクトが再開される可能性もあるが、2023年2月期の売上計画には織り込んでいない。また、利益率が前期の34.1%から23.5%に低下する見込みだが、採算の良かった同案件の売上がなくなる影響が大きい。
新たな取り組みとしては、中堅規模以上のBtoBのEC事業者の顧客開拓を進めていく。今まではBtoCの大規模EC事業者をターゲットにしていたが、BtoBのEC市場もここ数年で急成長しており、カスタムニーズの強い顧客に対しては同社の開発力が活かせるものと判断した。他社ソリューションとの連携も図りながらプロモーション活動を展開していく予定になっている。BtoB市場領域での開拓に成功すれば、売上成長ポテンシャルもさらに高まるものと期待される。
(3) ERP・AI事業
ERP・AI事業は売上高で前期比3.1%増の2,975百万円、営業利益で同83.9%増の228百万円となる見通し。このうち、ERP事業は売上高で同1.1%増の2,900百万円、営業利益で同17.9%増の262百万円を見込む。需要は引き続き旺盛なものの、開発リソース不足のため売上高は微増にとどまる見通しだ。利益面では、生産性の向上が増益要因となる。なお、2022年4~5月にスタートする案件が多く、売上検収時期が下期に集中することから、上期は減収減益を見込んでいる。
ERP事業では、前期に業種特化型クラウドERPサービス「GRANDIT SaaS」IT企業モデルの提供開始を皮切りに、今後も製造業、工事・エンジニアリング業など対象業種モデルを順次リリースすることで、中小企業も含めて顧客ターゲットを拡大していく予定となっている。
一方、AI事業については売上高で前期比295.1%増の75百万円、営業損失で34百万円(前期は98百万円の損失)を見込む。「AISI∀-AD」の製造ライン向けシステムが2022年5月に初めて導入されたことで上期の売上高が39百万円となり、下期も1件の導入を計画している。また、10件程度のPoC案件が同時並行で進んでおり、これらも増収要因となる。
実用化第1号案件はフィルムメーカーの製造ライン向けとなり、高速ライン上でのフィルムの傷や汚れ等をカメラとAI、エッジコンピュータなどを使って高精度に自動検査するシステムとなる。同システムの導入により検査工程の大幅な省力化が見込まれている。同社は、同案件を成功事例としてフィルム業界での横展開を進めていくほか、その他の製造業界向けにも導入提案を進めていく方針となっている。ただ、AIによる異常検知システムは顧客によって要求する精度が異なるほか、導入効果も当初の期待値に達していないことから、今後製造ラインへの導入が順調に拡大していくかどうかは不透明な状況と言える。このため、収益化の時期についても3年後の2025年2月期と、従来から1年先送りしている。
(4) その他
その他事業の売上高は前期比90.6%増の85百万円、営業損失は86百万円(前期は100百万円の損失)となる見通し。売上高の内訳は「TOPSIC」で約60百万円、「VOICE TICKETS」「IDEA GARDEN」で各10百万円程度となる。また、開発費は前期並みの50百万円の計画だ。
「TOPSIC」については、引き続き企業のエンジニア採用及び教育研修用ツールとして拡販に取り組んでいく。また、「VOICE TICKETS」については、SaaS事業者を対象にアウトバウンドセールスを展開していく。「VOICE TICKETS」の導入によってサービス品質の向上による解約率低減の効果が確認されれば、導入する事業者も増えていくものと予想される。一方、「IDEA GARDEN」についてはターゲット顧客が幅広いため、セミナー開催や会社ホームページのコンテンツを拡充して、見込み顧客を獲得していく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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