■中長期の成長戦略・トピック
1. 数値計画
ジェイリース<7187>は、3年後の2024年3月期を目標年度とする3ヶ年計画を公表していたが、好調な実績を背景に2021年11月に上方修正、さらに2022年5月に2回目の上方修正を発表した。上方修正後の数値計画としては、2024年3月期に売上高11,900百万円、売上高の年間成長率14.0%を掲げているが、過去5年間の年平均成長率が17.3%であることから最低限のコミットメントラインと考えられる。これまでの成長ドライバーは東日本への進出と浸透であったが、今後も年2~4店舗を新規出店し、さらなる地域密着の促進と全国ネットワークの完成を急ぐ。なお、近年の出店は旗艦店ではなく軽装備のサテライト店舗が多く、その投資対効果は実証済みである。また、成長分野として注力する事業用賃料保証が近年成長ドライバーとなっており、今後も事業用賃料保証が同社の成長に大きな役割を果たすであろう。一方、利益面では2024年3月期に営業利益2,520百万円、営業利益率21.2%を目指す。また、利益成長により、自己資本比率の向上や配当性向に応じた配当の増額も達成したい考えだ。
2.事業別の戦略
同社は、主力の住居用賃料保証、成長分野である事業用賃料保証、新事業分野である医療費保証等の3分野で、顧客ニーズに合わせた保証商品を拡大し、ノウハウによる差別化を図る戦略を掲げている。住居用賃料保証では、業界トップクラスの与信審査ノウハウを武器に収益力を維持・向上させ、不動産業界などの関連業界とのアライアンス等により利便性を向上させることで、シェア拡大を図る。事業用賃料保証では、商品優位性、提案力、与信審査ノウハウなどでの優位性をさらに強化・差別化し、これまで以上にマーケティングを強化することで、成長市場における業界No.1を目指す。医療費保証分野は、市場がまだ黎明期である。専門部門による営業強化、医療機関に対する「入院費等未収金保証サービス」を中心としたプロダクト強化、異業種とのアライアンスによる営業チャネル強化などにより、新事業を軌道に乗せる方針だ。
3.成長基盤構築の施策
同社は、成長基盤の構築・強化のために「人」「データ」「DX」の3つの施策を実行していく方針だ。
(1) 人
「人」に関する施策としては、出店強化及び人材活躍の推進を挙げている。成長に向けて年2~4店舗を出店するほか、戦略的な組織改変を行い、営業・債権管理のさらなる強化を図る。また、人材採用も継続して行う。教育研修の実施やスキルアップ支援などにより人材育成を強化するほか、社員主導のプロジェクトによる人事制度の見直し、平均賃金の引き上げも進めていく。
(2) データ
「データ」に関する施策としては、DWH(高度なデータ分析を行うためのデータベース)の構築や、各種データの更なる充実化、データ分析の高度化を図り、与信審査精度の向上のほか、業務効率化や新規事業開発・アライアンス強化などにより、収益性の向上を目指す。
(3) DX
「DX」に関する施策としては、不動産取引に関する手続きのオンライン化を促進していく。社内外の業務効率化のほか、各種データ分析の高度化を図ることで、1人当たりの労働生産性の向上を目指す。現在取り組みが加速しているものとして「申込のDX化」がある。不動産業界では、申込みの段階で入居者や不動産会社が手書きで情報を記入し、FAXでやりとりを行う方法が慣例として残っている。保証会社でもFAXで受け取った情報を手入力したうえで審査などの後工程を行うため、非効率の要因となっていた。これに対し同社では、大手不動産会社やシステム会社などを巻き込んで業界全体でのオンライン入居申込サービス(API連携)を推進している。2020年3月期に開始以降、申込全体に占めるAPI申込数は2022年3月期第2四半期時点で9.4%、2022年通期では12.3%まで拡大している。一方、2021年5月にはデジタル改革関連法案が成立し、重要事項説明書(25条書面)及び契約書(37条書面)の電子化が解禁となった。同社では、自社システムへの実装だけでなく、業界をリードするプラットフォームであるイタンジ(株)の「電子契約くん」やGMOグローバルサイン・ホールディングス<3788>の「GMOサイン」など、有力プラットフォーマーとの連携を拡大することで、「契約のDX化」を推進している。これらのDX化を推進することで、2024年3月期の1人当たり売上高30百万円(2021年3月期は22百万円)を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. 数値計画
ジェイリース<7187>は、3年後の2024年3月期を目標年度とする3ヶ年計画を公表していたが、好調な実績を背景に2021年11月に上方修正、さらに2022年5月に2回目の上方修正を発表した。上方修正後の数値計画としては、2024年3月期に売上高11,900百万円、売上高の年間成長率14.0%を掲げているが、過去5年間の年平均成長率が17.3%であることから最低限のコミットメントラインと考えられる。これまでの成長ドライバーは東日本への進出と浸透であったが、今後も年2~4店舗を新規出店し、さらなる地域密着の促進と全国ネットワークの完成を急ぐ。なお、近年の出店は旗艦店ではなく軽装備のサテライト店舗が多く、その投資対効果は実証済みである。また、成長分野として注力する事業用賃料保証が近年成長ドライバーとなっており、今後も事業用賃料保証が同社の成長に大きな役割を果たすであろう。一方、利益面では2024年3月期に営業利益2,520百万円、営業利益率21.2%を目指す。また、利益成長により、自己資本比率の向上や配当性向に応じた配当の増額も達成したい考えだ。
2.事業別の戦略
同社は、主力の住居用賃料保証、成長分野である事業用賃料保証、新事業分野である医療費保証等の3分野で、顧客ニーズに合わせた保証商品を拡大し、ノウハウによる差別化を図る戦略を掲げている。住居用賃料保証では、業界トップクラスの与信審査ノウハウを武器に収益力を維持・向上させ、不動産業界などの関連業界とのアライアンス等により利便性を向上させることで、シェア拡大を図る。事業用賃料保証では、商品優位性、提案力、与信審査ノウハウなどでの優位性をさらに強化・差別化し、これまで以上にマーケティングを強化することで、成長市場における業界No.1を目指す。医療費保証分野は、市場がまだ黎明期である。専門部門による営業強化、医療機関に対する「入院費等未収金保証サービス」を中心としたプロダクト強化、異業種とのアライアンスによる営業チャネル強化などにより、新事業を軌道に乗せる方針だ。
3.成長基盤構築の施策
同社は、成長基盤の構築・強化のために「人」「データ」「DX」の3つの施策を実行していく方針だ。
(1) 人
「人」に関する施策としては、出店強化及び人材活躍の推進を挙げている。成長に向けて年2~4店舗を出店するほか、戦略的な組織改変を行い、営業・債権管理のさらなる強化を図る。また、人材採用も継続して行う。教育研修の実施やスキルアップ支援などにより人材育成を強化するほか、社員主導のプロジェクトによる人事制度の見直し、平均賃金の引き上げも進めていく。
(2) データ
「データ」に関する施策としては、DWH(高度なデータ分析を行うためのデータベース)の構築や、各種データの更なる充実化、データ分析の高度化を図り、与信審査精度の向上のほか、業務効率化や新規事業開発・アライアンス強化などにより、収益性の向上を目指す。
(3) DX
「DX」に関する施策としては、不動産取引に関する手続きのオンライン化を促進していく。社内外の業務効率化のほか、各種データ分析の高度化を図ることで、1人当たりの労働生産性の向上を目指す。現在取り組みが加速しているものとして「申込のDX化」がある。不動産業界では、申込みの段階で入居者や不動産会社が手書きで情報を記入し、FAXでやりとりを行う方法が慣例として残っている。保証会社でもFAXで受け取った情報を手入力したうえで審査などの後工程を行うため、非効率の要因となっていた。これに対し同社では、大手不動産会社やシステム会社などを巻き込んで業界全体でのオンライン入居申込サービス(API連携)を推進している。2020年3月期に開始以降、申込全体に占めるAPI申込数は2022年3月期第2四半期時点で9.4%、2022年通期では12.3%まで拡大している。一方、2021年5月にはデジタル改革関連法案が成立し、重要事項説明書(25条書面)及び契約書(37条書面)の電子化が解禁となった。同社では、自社システムへの実装だけでなく、業界をリードするプラットフォームであるイタンジ(株)の「電子契約くん」やGMOグローバルサイン・ホールディングス<3788>の「GMOサイン」など、有力プラットフォーマーとの連携を拡大することで、「契約のDX化」を推進している。これらのDX化を推進することで、2024年3月期の1人当たり売上高30百万円(2021年3月期は22百万円)を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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