■今後の見通し
1. 2022年3月期業績の見通し
2022年3月期については、第4四半期偏重型のため、売上収益の各領域の内訳は変動が想定されるものの、2021年11月に上方修正した連結業績予想を据え置いた。売上収益は7,000~7,500百万円(前期比48.8%増~59.4%増)、EBITDAは700~900百万円、営業利益は550~700百万円、税引前利益が550~700百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が400~500百万円としている。なお、2022年3月期業績予想についてポート<7047>は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響による不確実性のある状況を鑑み、レンジでの予想としている。利益については、売上収益の前提に加え、既存事業におけるオーガニック成長のための投資費用を盛り込んでおり、経営判断による当該費用のコントロールによってレンジの範囲以内で変動するとしている。
売上収益の進捗率は58.9〜63.1%と、例年と比較して悪くはない※ものの、カードローン領域を利益率重視に切り替えた結果、既存領域での70億円達成は厳しくなる可能性が出てきた。一方で、就職領域での大幅な成長及びINEの連結寄与により、レンジ達成は現実的と言える。
※2020年3月期第3四半期進捗率は67.9%、2021年3月期第3四半期進捗率は65.5%であった。
EBITDAの進捗率は45.2〜58.1%と、投資活動が継続している影響でビハインド傾向にあるものの、第3四半期累計実績にコロナ禍前である2020年3月期第4四半期実績を加えた場合、下限予想である700百万円水準となる。これに加え、既存事業の成長及びINEの連結寄与が見込まれることから、レンジ内での達成は現実的と言える。なお、M&A関連費用は2022年3月期に一括計上されることから、INEの業績によるプラス効果は2023年3月期からと同社では予想している。
同社は2021年11月にINEを子会社化を発表し、エネルギー領域へ本格参入した。INEの2021年3月期実績は売上高が前期比38.0%増の3,299百万円、営業利益が592百万円、当期純利益が402百万円、EBITDAが593百万円である。同社では、INEの子会社化による業績インパクトについて、2022年3月期の業績予想にINEの2021年3月期の実績を単純合算した実力値イメージとして、売上収益が44~47%増の10,290~10,790百万円、EBITDAが65~84%増の1,290~1,490百万円、営業利益が84~107%増の1,140~1,290百万円、EPSは41~51%の増加を想定している。売上収益は中期経営計画目標値の「2023年3月期に100億円」を突破、EBITDAは2023年3月期の成長により「2023年3月期に20億円以上」の達成を目指す。なお、INEの連結対象については、2022年3月期第4四半期からを予定している。
2. 領域別の戦術
(1) 就職領域
2022年3月期の売上収益は2,516~2,572百万円(前期比71.0~74.8%増)を目標としている。人材会社のイベントや求人企業の説明会などへの送客については会員を十分獲得できているため、送客では、送客予算獲得と予算消化率※アップが重点ポイントとなり、人材紹介では、紹介先の拡充や組織規模の拡大が重要な戦術となる。なお、既述のとおり就活生の7割以上となる会員数を基盤に送客・紹介とも順調に推移しており、新規事業の撤退による影響が一部あるものの、第3四半期に関しても高い成長率を維持していることから、繁忙期である第4四半期も大きな成長の実現が期待できる。
※同社では消化率を「獲得した企業の予算枠に対して、送客(予算消化)できた割合」としている。
(2) リフォーム領域
2022年3月期の売上収益は1,446~1,621百万円(前期比43.0~60.3%増※)、成約契約数は同41~56%増を目標としている。売上収益は、会員を顧客(加盟店)に紹介した際に発生する送客売上と施工完了後の成約売上に分解される。売上総和を高めるうえで重要なのは送客売上であり、そのためには1会員当たりに紹介できる施工会社数の増加(送客先加盟店の獲得)、成約率の向上が重要ポイントとなる。なお、期初計画に対して業績は軟調に推移していることから、売上目標の達成は厳しくなっている。しかしながら、第2四半期からアライアンスの推進や成約業務のDX推進等の施策を積極的に進めることで成長トレンドとなり、第3四半期から効果が出始めていることから、増収増益基調に回復していると言える。
※前期売上収益を通期分(1,011百万円)として計算。
(3) カードローン領域
2022年3月期の売上収益は2,323~2,500百万円(前期比33.3~43.4%増)を目標としている。第2四半期からカードローン市場全体が大幅な予算縮小となり、第3四半期からはさらにこの影響を大きく受け、成長率は鈍化している。当初計画よりビハインド傾向にあることから、売上目標の達成は厳しくなっている。しかしながら、効率性を重視した運営を推進することで利益水準は過去最高を記録しているほか、業界内シェア率にも変動はない。
(4) エネルギー領域
2022年3月期の具体的な数値目標は公表されていないものの、2022年3月期第4四半期からINEが連結化される予定であることなどから、主要領域として成長していくことが期待できる。電力事業者のJEPX価格の上昇による仕入コストの増加要因で、同社への販促コストの減少等の影響は受けているものの、集客・セールス活動の効率化、取次件数の最大化を通じて大きな成長を目指す。
(5) 新規・その他領域
2022年3月期の売上収益は700~825百万円(前期比12.6%減~3.0%増)を目標としている。フリーランス支援サービスを中心に順調に推移しており、計画どおりの進捗となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
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1. 2022年3月期業績の見通し
2022年3月期については、第4四半期偏重型のため、売上収益の各領域の内訳は変動が想定されるものの、2021年11月に上方修正した連結業績予想を据え置いた。売上収益は7,000~7,500百万円(前期比48.8%増~59.4%増)、EBITDAは700~900百万円、営業利益は550~700百万円、税引前利益が550~700百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が400~500百万円としている。なお、2022年3月期業績予想についてポート<7047>は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響による不確実性のある状況を鑑み、レンジでの予想としている。利益については、売上収益の前提に加え、既存事業におけるオーガニック成長のための投資費用を盛り込んでおり、経営判断による当該費用のコントロールによってレンジの範囲以内で変動するとしている。
売上収益の進捗率は58.9〜63.1%と、例年と比較して悪くはない※ものの、カードローン領域を利益率重視に切り替えた結果、既存領域での70億円達成は厳しくなる可能性が出てきた。一方で、就職領域での大幅な成長及びINEの連結寄与により、レンジ達成は現実的と言える。
※2020年3月期第3四半期進捗率は67.9%、2021年3月期第3四半期進捗率は65.5%であった。
EBITDAの進捗率は45.2〜58.1%と、投資活動が継続している影響でビハインド傾向にあるものの、第3四半期累計実績にコロナ禍前である2020年3月期第4四半期実績を加えた場合、下限予想である700百万円水準となる。これに加え、既存事業の成長及びINEの連結寄与が見込まれることから、レンジ内での達成は現実的と言える。なお、M&A関連費用は2022年3月期に一括計上されることから、INEの業績によるプラス効果は2023年3月期からと同社では予想している。
同社は2021年11月にINEを子会社化を発表し、エネルギー領域へ本格参入した。INEの2021年3月期実績は売上高が前期比38.0%増の3,299百万円、営業利益が592百万円、当期純利益が402百万円、EBITDAが593百万円である。同社では、INEの子会社化による業績インパクトについて、2022年3月期の業績予想にINEの2021年3月期の実績を単純合算した実力値イメージとして、売上収益が44~47%増の10,290~10,790百万円、EBITDAが65~84%増の1,290~1,490百万円、営業利益が84~107%増の1,140~1,290百万円、EPSは41~51%の増加を想定している。売上収益は中期経営計画目標値の「2023年3月期に100億円」を突破、EBITDAは2023年3月期の成長により「2023年3月期に20億円以上」の達成を目指す。なお、INEの連結対象については、2022年3月期第4四半期からを予定している。
2. 領域別の戦術
(1) 就職領域
2022年3月期の売上収益は2,516~2,572百万円(前期比71.0~74.8%増)を目標としている。人材会社のイベントや求人企業の説明会などへの送客については会員を十分獲得できているため、送客では、送客予算獲得と予算消化率※アップが重点ポイントとなり、人材紹介では、紹介先の拡充や組織規模の拡大が重要な戦術となる。なお、既述のとおり就活生の7割以上となる会員数を基盤に送客・紹介とも順調に推移しており、新規事業の撤退による影響が一部あるものの、第3四半期に関しても高い成長率を維持していることから、繁忙期である第4四半期も大きな成長の実現が期待できる。
※同社では消化率を「獲得した企業の予算枠に対して、送客(予算消化)できた割合」としている。
(2) リフォーム領域
2022年3月期の売上収益は1,446~1,621百万円(前期比43.0~60.3%増※)、成約契約数は同41~56%増を目標としている。売上収益は、会員を顧客(加盟店)に紹介した際に発生する送客売上と施工完了後の成約売上に分解される。売上総和を高めるうえで重要なのは送客売上であり、そのためには1会員当たりに紹介できる施工会社数の増加(送客先加盟店の獲得)、成約率の向上が重要ポイントとなる。なお、期初計画に対して業績は軟調に推移していることから、売上目標の達成は厳しくなっている。しかしながら、第2四半期からアライアンスの推進や成約業務のDX推進等の施策を積極的に進めることで成長トレンドとなり、第3四半期から効果が出始めていることから、増収増益基調に回復していると言える。
※前期売上収益を通期分(1,011百万円)として計算。
(3) カードローン領域
2022年3月期の売上収益は2,323~2,500百万円(前期比33.3~43.4%増)を目標としている。第2四半期からカードローン市場全体が大幅な予算縮小となり、第3四半期からはさらにこの影響を大きく受け、成長率は鈍化している。当初計画よりビハインド傾向にあることから、売上目標の達成は厳しくなっている。しかしながら、効率性を重視した運営を推進することで利益水準は過去最高を記録しているほか、業界内シェア率にも変動はない。
(4) エネルギー領域
2022年3月期の具体的な数値目標は公表されていないものの、2022年3月期第4四半期からINEが連結化される予定であることなどから、主要領域として成長していくことが期待できる。電力事業者のJEPX価格の上昇による仕入コストの増加要因で、同社への販促コストの減少等の影響は受けているものの、集客・セールス活動の効率化、取次件数の最大化を通じて大きな成長を目指す。
(5) 新規・その他領域
2022年3月期の売上収益は700~825百万円(前期比12.6%減~3.0%増)を目標としている。フリーランス支援サービスを中心に順調に推移しており、計画どおりの進捗となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
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