今週のポイント
トルコリラ/円は26日に20年11月初め以来の安値を更新しました。米国とトルコの関係悪化やTCMB(トルコ中銀)の政策をめぐる懸念(後述)から、トルコリラには下押し圧力が加わりやすい地合いとなっており、この状況は当面続く可能性があります。
4月前半のCPI(消費者物価指数)の強い結果を受け、BOM(メキシコ中銀)が追加利下げする可能性はいったん低下したとみられます。30日発表の1-3月期GDP速報値が良好な結果になれば、追加利下げの可能性は一段と低下しそうです。
豪州の1-3月期のCPIが28日に発表されますが、その結果を受けてRBA(豪中銀)が金融政策を変更することはなさそうです。そのため、CPIの結果に豪ドルが反応したとしても、その反応は長続きしないかもしれません。豪ドルやNZドルは、米国の長期金利(10年物国債利回り)や主要国の株価の動きに影響を受けやすい地合いになりそうです。
今週の注目通貨ペア①:<トルコリラ/円 予想レンジ:12.000円~13.500円>
米国とトルコの関係悪化やTCMB(トルコ中銀)の政策をめぐる懸念から、トルコリラには下押し圧力が加わりやすいとみられます。
<米国とトルコの関係悪化への懸念>
バイデン米大統領は24日、オスマン帝国が第一次世界大戦中に行ったとされるアルメニア人殺害を「ジェノサイド(大量虐殺)」と認定。トルコは以前からジェノサイドを否定しており、認定に強く反発しています。
<TCMBの政策をめぐる懸念>
カブジュオールTCMB総裁は23日、「インフレ率が5%へと低下するまで引き締め的な金融政策を維持する」としつつも、「すでに19%の政策金利を一段と引き上げることが可能だと言うことは、実体経済に悪いメッセージを送ることになる」と発言。「高金利を誰が喜ぶのか」と語りました。
カブジュオール総裁はまた、アーバル前総裁が就任する(2020/11)前まで行われていた外貨の売却について、「為替レートへの攻撃に対抗するため、外貨の売却が必要だった」と述べ、「外貨を売却した結果、経済は2020年のパンデミック危機を克服した」と語りました。為替介入(この場合は、外貨売り/トルコリラ買い)の結果、トルコの外貨準備は大幅に減少しており、4月16日時点の外貨準備高はネットで106億ドル。スワップによるものとみられる短期借入分を除けばマイナスになっているとの見方もあります。外貨の売却が再開された場合、すでに乏しい外貨準備は一段と減少するおそれがあります。
トルコリラにはマイナス材料が目立つ状況であり、トルコリラ/円は11.998円(2020年11月に記録した過去最安値)割れを試すかもしれません。
今週の注目通貨ペア➁:<メキシコペソ/円 予想レンジ:5.300円~5.500円>
メキシコの4月前半のCPI(消費者物価指数)が22日に発表されました。結果は前年比6.05%と、上昇率は前月の4.12%から加速。月前半のCPIとしては、2017年12月以来、3年4カ月ぶりの強い伸びを記録。BOM(メキシコ中銀)のインフレ目標(3%)の許容レンジ上限である4%を大きく上回りました。
BOMは3月25日の前回会合で政策金利を4.00%に据え置いたものの、追加利下げの可能性を残しました。ただ、4月前半のCPIの結果を受け、利下げの可能性はいったん低下したとみられます。
メキシコの1-3月期GDP(国内総生産)速報値が4月30日に発表されます。本稿執筆時点で市場予想は前期比0.3%、前年比マイナス3.5%。市場予想よりの良好な結果になれば、BOMが利下げする可能性は一段と低下すると考えられ、メキシコペソの支援材料となりそうです。
一方で米国の長期金利(10年物国債利回り)や主要国株価の動向にも目を向ける必要がありそうです。米長期金利の上昇や主要国株価の下落は、メキシコペソの上値を抑える要因になり得ます。
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