ソフトブレーン Research Memo(8):新製品拡販と顧客基点によるサービス強化で2021年以降売上成長の見通し

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最新投稿日時:2020/05/11 15:08 - 「ソフトブレーン Research Memo(8):新製品拡販と顧客基点によるサービス強化で2021年以降売上成長の見通し」(フィスコ)

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ソフトブレーン Research Memo(8):新製品拡販と顧客基点によるサービス強化で2021年以降売上成長の見通し

配信元:フィスコ
投稿:2020/05/11 15:08
■今後の見通し

2. 事業別成長戦略と進捗状況
(1) 営業イノベーション事業
営業イノベーション事業における市場環境は、引き続き追い風が続く見通しだ。国内の生産年齢人口が減少傾向をたどるなかで、企業にとっては「生産性向上」と「売上拡大」が経営の重要課題となっており、それを解決するソリューションとして、ソフトブレーン<4779>の「eセールスマネージャー」(仕組みづくり)や営業コンサルティング、トレーニングサービス(型づくり)の需要も拡大すると見られるためだ。

直近では新型コロナウイルス感染拡大により、対面型の商談が減少し、Web商談の機会が増えるなど営業プロセスが変化している。こうしたなかで商談の成功事例を可視化し、迅速に社内で共有化することができる営業支援ソフト(SFA)の重要性が増してくるものと予想される。特に、中小企業については営業部門におけるIT化が大企業よりも遅れており潜在需要も大きい。もちろん、企業収益の悪化に伴い、短期的にはIT投資が冷え込むリスクもあるが、市場環境の変化を好機と捉え顧客開拓につなげていく考えだ。

SFAの対象市場は、日本の全企業(約410万社)、総営業員数260万人のうち、IT投資余力のある「大企業」と「黒字の中堅・中小企業」となり、社数で見れば約22万社、営業人員で160万人がターゲットとなる。同社の推計によれば、SFAの導入比率はターゲットとする約22万社のうち14%程度とまだ低く、また、導入してもアクティブにその機能を使いこなせている企業は全体の3.5%にしか過ぎないと見ている。アクティブ率に関しては、同社が営業活動を行うなかで他社製品を利用している企業の利用状況などから推計している。こうした状況を見ても、SFAの今後の成長ポテンシャルは大きいと言えるだろう。

なかでも注目されるのが、中小企業(営業人員20名以下)をターゲットとした「eセールスマネージャーRemix MS」だ。2017年末にリリースして以降は、製品としての完成度を上げるための試験導入期間と位置付け、インサイドセールス(電話、メール等)で顧客ニーズを収集し、機能の見直しを進めてきた。同サービスはセルフサーブ型で、顧客自身がオンラインで導入、各種設定、契約まですべてを完結できるサービスとなるため、IT人材がいない企業でも容易に導入・活用し、その効果を確認できることが特長となっている。ユーザーインターフェースの変更等も含めてより簡便に導入できる仕組みづくりや、要望の多い機能の追加実装、活用支援サイトのリニューアル等を実施し、2020年夏頃にほぼ完成形となるバージョン2.0のリリースを予定している。状況を見ながらではあるが、プロモーション展開も本格的に進めていく意向で、2021年以降の収益拡大に貢献するものと予想される。なお、同社のセルフサーブ型の仕組み(アンケートをもとに自動的に業務にフィットしたシステム環境を用意するプログラム)は、2018年にビジネス特許を取得しており、今後の差別化要因となる可能性がある。

また、顧客拡大戦略として、金融や不動産など「特定業種」向けのSFAツールを業界大手の協力を仰ぎながら開発し、業界内で横展開していく計画であったが、既存サービスの強化と「eセールスマネージャーRemix MS」の育成にリソースを集中していく方針とし、「特定業種」向けの開発については先送りする格好となっている。

そのほかの取り組みとしては、カスタマーサクセス実現(SFA導入効果の実現)を支援するための顧客基点に立ったサービスを強化していく。具体的には、オンサイトでの顧客アドバイザーサービス※の体制を強化するほか、集合型ユーザー研修やWebによる活用支援サイトの拡充などに取り組む。カスタマーサクセスを実現することで、定着率のさらなる向上と口コミ紹介による新規顧客の開拓につなげていく考えだ。

※従来の活用支援サービスを強化し、訪問型でのフォローに加えて、Web会議や電話会議などで活用のためのアドバイスを実施する。


中期経営計画での業績目標は、2020年12月期に売上高65億円、営業利益で12億円、営業利益率18%を掲げていたが、2019年12月期の実績が売上高で5,159百万円、営業利益で812百万円と当初の計画を下回っていることや、直近の市場環境などから目標値は下振れする可能性がある。市場環境が悪化するなかではあるものの、使い勝手やパフォーマンスの向上を目的とした開発を進め、製品力及びサービスの強化を図ることで、2021年以降は年率20~30%の売上成長を目指していく方針だ。

(2) フィールドマーケティング事業
フィールドマーケティング事業を取り巻く市場環境は、少子高齢化の進展や企業の働き方改革への取り組み、アウトソーシングの活用などによって中期的に追い風が続くと予想される。特に、女性活躍推進法など女性労働力の活用を促進する法整備が進んでいることもあり、新たな労働力として主婦層の活用が進むと見られる。

同社の推計によれば、消費財メーカーの店舗ラウンダーの市場規模は1,000億円程度(潜在需要含む)と見られ、このうち同社の売上げは2019年12月期で約40億円と4%程度のシェアとなっている。消費財メーカーのラウンダー業務は今後もアウトソーシング化が進むと見られ、同市場だけでも売上げの成長余地は大きいが、同社は更なる成長を目指すため、フィールド(営業)市場のアウトソーシング需要の取り込みにも注力し始めている。

例えば、全国に約8千の事業所を持つ運送会社に対して、定期的な車両部品交換と併せてクライアントへの満足度調査や関連商品の販促活動などの営業活動業務を車両部品メーカーから受注しているほか、宿泊予約サイトの運営会社から登録施設(ホテル・旅館)に関する自社予約サイト及び他社サイトの利用状況調査、キャンペーンプランや宿泊プランの登録促進などの業務を受注している。今後も特定スキルが不要な分野で積極的にフィールドマーケティングの提案を推進し、受注獲得につなげていく方針となっている。ラウンダー市場も含めたフィールド市場は2兆円規模(アウトソーシング率10%と仮定)で、その大部分はまだアウトソースされていない潜在需要であることから、今後の成長ポテンシャルは大きいと見ている。

そのほか、新サービスとして取り組んでいる「Point of Buy®」サービスについても注目される。現在は消費者購買データ量の拡充を進めるための先行投資段階だが、データ収集体制が構築できれば現在展開している店頭ラウンダー業務で収集する情報と合わせることで、より付加価値の高いサービスの提供が実現できることから、将来的に収益柱に育つ可能性がある。同社の計画では購買理由付きデータの収集体制を2020年12月期内には月間300万枚まで拡大することを目指している。月間300万枚の購買理由付きデータを収集することができれば日本で最大級のデータ量となり、既存のPOSデータを使った購買データと信頼性の面でほぼ遜色がなくなり、また、購買理由といった付加価値データが加わるため、企業のマーケティング戦略上、有効なデータとして活用される可能性が高い。現在の課題は、データ収集体制を300万枚に拡大する体制づくりにある。現在は、セゾンカードやPontaカード会員との提携によりデータ量も徐々に増加しているが、300万枚体制を構築するには、多くの会員数を保有する企業との更なる提携が不可欠で、現在、進めている提携交渉の早期実現が期待される。

なお、フィールドマーケティング事業における中期経営計画での業績目標は、2020年12月期に売上高39億円、営業利益で3.4億円、営業利益率9%を掲げていたが、2019年12月期において売上高4,089百万円、営業利益351百万円と既に1年前倒しで目標を達成しており、更なる上積みが見込まれる。また、2021年以降はフィールド市場に事業領域を拡大していくことや、「Point of Buy®」サービスが立ち上がることによって、売上成長率も年率10~20%と加速していく見通しだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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