今週の米ドル/円予想 パウエル議長の議会証言に注目(7/8週)
【先週のドル/円の動向と今週の主要イベント】
先週の米ドル/円は反発。大阪サミット明け、米中の貿易戦争懸念が後退で、週初108.325と高寄りした米ドル/円は、米中問題の実質的な問題解決を見いだせない中、長期金利が低下したことで107.525まで下落。その後は米国の独立記念日もあり107円台後半での推移となるも、5日に発表された米6月雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比22.4万人増(予想:同16.0万人増)と強い結果だったことで過度な利下げ期待が後退し、米朝金金利が上昇。米ドル/円は108円台半ばまで値を戻しました。なお、米6月雇用統計の非農業部門雇用者数において前月分は同7.5万人増から同7.2万人増に下方修正され、失業率は3.7%(予想:3.6%)、平均時給は前月比が+0.2%(予想: +0.3%)、前年比が3.1%(予想:3.2%)となりました。終値は108.485。
今週の主な経済指標は図のとおりですが、最大の注目材料は10日と11日のパウエル議長の半期議会証言です。
市場は7月末のFOMCでの利下げを100%織り込んでおり、この議会証言で7月の利下げを否定するような発言がなければ、FEDはほぼこれを容認したものと受け止められます。ただし、先週末の雇用統計を経ても、マーケットの一部においては7月末のFOMCでの50bpの利下げを予想する向きもあること、また、11日には前回のFOMCの議事録公表や米6月消費者物価指数の発表もあることなどを踏まえると、今週の議会証言では、7月末の金融政策についてどのような発言内容になったとしてもマーケットが過剰に反応する可能性が高く、パウエルFRB議長の議会証言では、マーケットが期待するほど7月末FOMCへの手掛かりは得られないかもしれません。
【米ドル/円(TFX)週足 チャート】
米ドル/円の週足チャートです。
移動平均線は上から順に52週MA(110.913)、26週MA(109.994)、13週MA(109.535)となっており、価格がその下側に位置しているため、中長期的には今後も上値の重い展開が続きそうです。
ストキャスティクスは、売られすぎ水準から上向きとなっておりますが、相場自体は下降トレンドとなっているため、引き続きスピード調整と考えておくべきでしょう。
当面は先週お伝えしたサポート108円前後とレジスタンス109円前後の間でのレンジ相場を予想していますが、トレンドは下向きとなっているためレンジの下方ブレイクを想定しています。
【米ドル/円(TFX)日足 チャート】
米ドル/円の日足チャートです。
先週も、以前からお伝えしていた白い直線で示したレクタングル(上値108.70、下値107.80で囲まれる四角形)の間で相場は推移いたしました。
ただし、107.80側はサポートとしてそれほど機能しておらず、先週は転換線がサポートなっています。
米ドル/円のトレンドは中短期の日足ベースでも200日移動平均線と一目の雲が価格の上側に位置し下向きとなっていることから、下降トレンド継続と見ています。
日足チャートにおける当面のレジスタンスは、引き続きレクタングルの上限となる108.70、サポートも107.80で戻り売りを考えたいところです。
このコメントは弊社チーフテクニカルアナリスト山口の個人的な見解で、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
フジトミ証券株式会社 チーフ・テクニカルアナリスト
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