今週の米ドル/円予想 米中の通商懸念再び(5/6週)
【先週のドル/円の動向と今週の主要イベント】
先週の米ドル/円は小幅安。週初111.610で寄り付いた米ドル/円は111.905まで上昇するもその後は、概ね111.50を中心に上下50pipsの保ち合い相場での推移となりました。終値は111.105。なお、コアレンジは111.30から111.70まで。
注目されていた、米国の経済指標はISM製造業景気指数が市場予想の55.0より弱い52.8、FOMC後のパウエルFRB議長の記者会見は、マーケットにはタカ派的に捉えられるものでした。4月の雇用統計は失業率が3.6%と市場予想の3.8%、NFPが前月比26.3万人増と強かったものの、平均時給(前月比)が+0.2%(予想 +0.3%)、平均時給(前年同月比)が+3.2%(予想 +3.3%)予想より弱く、その後発表されたISM非製造業景気指数も55.5(予想57.0)と弱い結果となりました。
なお、今週の主要経済指標は図のとおりですが、5/6時点においては、トランプ米大統領がツイッターで対中国関税(2000億ドル相当)を10日に現在の10%から25%へと引き上げるとつぶやいたことに加え、中国側が8日に予定されていた米中閣僚級貿易協議をキャンセルする意向を示したことで、リスクオフの円買いとなっており、6日111円を下回って110.710で寄り付いた米ドル/円は一時110.280まで下落する局面もありました。現在は110.600前後まで戻していますが、マーケットは米中の通商動向についてセンシティブになっており、今週はリスクオフに傾きやすいと考えます。
【米ドル/円(TFX)週足 チャート】
米ドル/円の週足チャートです。
先週、相場は終値ベースで各移動平均線を下回って引け、今週は大きく窓を開けて寄り付いています。
一方でストキャスティクスは80%を割れて下向きで推移しており、短期的には弱い展開が予想されますが、俯瞰的に見ればドル円は概ね110円から112円でのレンジ相場での推移となっていることから、この水準内での推移が今後も継続するものと思われます。
なお、レジスタンスは26MAの位置する111.065、13MAの位置する111.181、52MAの位置する111.246がそれぞれチャートポイントとして意識されるため、これらの水準をバックに戻り売りを考えたいところです。
【米ドル/円(TFX)日足 チャート】
米ドル/円の日足チャートです。
先週の米ドル/円は111.512に位置する200日移動平均線を下回り、111円の手前で引けましたが、今週に入り一目の雲の上限を下回って、110円台前半での推移となっています。
ストキャスティクスも下降基調で20%割れの水準となっており、一目の雲の上限となる110.809をレジスタンスに当面は戻り売りを考えたいところです。
なお、雲の下限が110.320となるため、この水準が目先のサポートとして意識されます。
このコメントは弊社チーフテクニカルアナリスト山口の個人的な見解で、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
フジトミ証券株式会社 チーフ・テクニカルアナリスト
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