目先の追い風
もし、そこまで強気の展開が実現しなかったとしても、21000円近辺は買い場だろう。一旦は大型株の戻りがパフォーマンス的に優位だが、その後の展開まで考えるなら、中小型株へのウェイトを高めるべき局面だ。10連休前のポジション調整が来るまでは、今のところ、株式市場には楽観的な見方ができる。
米中通商摩擦と英国ブレグジット、中国の景気減速、という問題に対して、それぞれ楽観的な見通しが生じたことは、大型株・国際優良株の上昇に寄与するだろう。しかし、いずれ3月決算銘柄の来期予想が保守的に出るだろうことを考えれば、業績重視の相場へ移行することが想像できる。そうなると、中型株、小型株への資金シフトが起こる可能性が高くなる。今、目の前にある問題が解決しそうだとしても、企業は慎重な行動をするからだ。米中摩擦やブレグジット問題は、世の中から消滅したわけではなく、企業の設備投資や採用人員の増加は慎重になり、業績見通しは保守的とならざるを得ない。
■目先の追い風
短期的な見通しに目線を戻してみると、先週は、株式市場にとって二つの追い風が吹いた。
一つは、米中通商摩擦妥結への期待感が大きくなったこと。もう一つは英国のEU離脱について、延期決議が行われたことだ。
前者についてはすでに楽観的な見込みが、全人代の様子やトランプ発言を通じて多数派となっていたが、改めて新華社がそれを追認する報道を行ったことが、株式市場にはプラスの材料ととらえられた。しかし、より材料として重視されたのは、後者のほうだ。ただでさえ危うい欧州経済の動向の中で、英国の無秩序なEU離脱、いわゆるハードブレグジットが実現すれば、欧州初の株式急落があっても不思議ではなかった。しかし、メイ首相の提案により、欧州議会へ、英国のEU離脱期限を延期するよう申請する動議が議会を通過したことは、株式市場にとって、大きな安ど感を生んでいる。
また、中国の景気動向について、一時ほどの悲観論は影を潜めつつある。全人代を通して、中国が徹底した経済管理を行う姿勢を示し、6%~6.5%と、実質GDP成長率の目標を手堅い水準に置いたからだ。ひと頃のバブル崩壊懸念やシャドーバンキングの問題について、一定のメドが立っていることが、近時の動向からは読み取ることができる。あるいは、もし成長率の実態がより低かったとしても、習近平氏の態度からは、それを出すことはしないだろう、という「裏読み」が、市場を強気にさせている一因かもしれない。