移動平均50日線が再接近
■先週のFOMC議事録では、年内の追加利上げをしっかりと確認できたものの、やはり懸念されていた貿易問題にも目を向けていたことが判明しました。
また、週末の雇用統計では予想以上の強さであったものの、やはり平均時給が上ブレしていないことから、ドル売り優勢の展開となりました。
■今週は、やはり貿易問題の行方がメインになりそうです。
週末予定されていた対中制裁関税が行われ、それに対して中国も報復関税も仕掛ける展開です。この展開までは事前に予定されていたので相場には既に織り込み済みで反応薄でした。
しかし、今後は第二段、第三弾と複数の制裁関税が予定されているだけにトランプ大統領のコメントに注目したいです。
また、中国もそれに負けじと人民元安誘導を仕掛けているので、これまでの米国の制裁関税は全く動じずの構えです。
この米中貿易戦争は長期化する可能性もあり、その影響は少なからず世界経済にも波及する恐れがあるので警戒したいです。
■そんな中、後数回は追加利上げを行う米国の裏側の新興国経済は、資金流失に歯止めが利かず、更に利上げをせざるを得ない環境になっています。
この高金利になった米ドルの一人勝ちは、今や世界経済の「癌」にもみえます。
やはり、グローバリゼーションがこれまでも世界経済を支えていただけに、この枠組みが崩れることで大きな痛みや歪みが弱い経済に出始めています。
いずれ新興国経済ショック、もしく98年のアジア通貨危機を招く恐れすらあることをそろそろ警戒したいです。
また、貿易問題の長期化はマイナスであることは明白、更に追加関税でも効果が無いと見れば、米国は伝家の宝刀である「ドル安誘導」に・・
そして(あくまでも最悪のシナリオでの想定ですが)、中国が保有する米国債売却が起きたときに、本当の意味での「リスクオフ」そしてスタグフレーションが世界経済を直撃することになると思います。少々乱暴な書き方をしていますが、そのときのドル円相場は大きな転換期になるのではないかとみています。
■そんな悪い流れがドル円の週間足には現れています。
2015年の125.86円を頂点にレジスタンスラインを引くと、いかに111円台が重いのか良くお分かりいただけると思います。
更に、月間足ベースでは今年1月から3月までのロウソク足が3ヶ月連続の陰線になっています。その安値は104.56円とこの安値はいずれ遅かれ早かれ下抜いてくるので、要注意です。
米国の追加利上げが予定されているにも関わらず、一向にリスク選好に向いていないことを逆手に相場を考える必要もありそうです・・・。
最後に、移動平均50日線(6日現在:109.98円)が再接近してきています。この強力なサポートラインには要注意しましょう。