資源国通貨売りには注意
しかし、具体的なものが示されなかったことで市場は失望にも感じていますが、相場的には地政学リスク後退という点では上昇機運が高まりそうです。
そんな上昇機運と裏腹に、各中央銀行のスタンスは先週、完全に乖離するものとなりました。
まず、ECBは、来年の夏まで利上げを行わないというガイダンスでユーロに対する失望売りが先行し、直近安値に再接近する展開となりました。
更にFRBは予定通り追加利上げを行い、年内あと2回を示唆したことで、ドル買いに拍車がかかった格好です。日銀においてはあいかわらず何の変化もない状況でした。
これで先進国の中で一番金利が高い米ドルになりました。
金利だけでみれば米ドル買いが更に強まる可能性は高い状況です。この金融瀬策の乖離という点では、米ドルの下支え要因になりそうです・・
■しかし、先週ついに米中貿易戦争の扉が開かれました。
米中通商協議が3回に及んだものの結局、合意に至らなかったことで米国は中国輸入関税を発動しました。
この影響はおそらく日本にも影響が出るのではないかとみています。
というのも以前から貿易黒字額に関しては指摘を受けています。少なくても今年だけで2兆円以上の黒字は見逃すはずも無く、更に日本円においても円安であることを指摘しているだけに警戒感が高まる恐れがあるとみています。
その意味では、トランプ大統領も今秋の中間選挙を意識していることもあり、この貿易問題も更に色濃くでる可能性があり、上値を抑制する可能性があるのではないかとみています。今後の日米通商協議の動向にも注意をはらいたいです。
■そんな大型イベントを無事通過したようにもみえる中、今後の世界経済を占う動きもみえてきました。
それは先週のNY原油価格の動向です。
先週末、大きく反落し直近安値に再接近しました。この動きはOPECの増産の可能性もありますが、世界経済の後退を示唆しているのではないかとみています。緩やかな上昇トレンドであった原油市場がブレイクするようであればリスクオフに発展し、産油国をはじめ資源国通貨売りにも拍車が掛かるので注意が必要です。
■ドル円のテクニカル分析です。
チャートをみると200日移動平均線を上抜け上目線に期待が掛かるものの、結果的には上値も重い展開となっています。
今週は、レンジの狭い展開を予想しています。
上値は直近高値(5月21日:111.41円)が意識され、下値は110円の節目と移動平均50日線の動きを注目しておきたいです。
いずれにしても、トレンドが出ずらい展開になるのではないかとみています。