弁護士ドットコム 元榮太一郎社長インタビュー

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最新投稿日時:2015/12/17 17:06 - 「弁護士ドットコム 元榮太一郎社長インタビュー」(みんかぶ株式コラム)

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弁護士ドットコム 元榮太一郎社長インタビュー

投稿:2015/12/17 17:06

「専門家をもっと身近に」

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元榮太一郎(もとえ・たいちろう)
弁護士ドットコム 代表取締役社長兼CEO

1975年12月 米国イリノイ州生まれ
  98年 3月 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
  99年10月 司法試験合格
2001年10月 アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所
  05年 1月 独立開業し、法律事務所オーセンス設立。
  05年 7月 「弁護士ドットコム」設立。代表取締役社長兼CEO就任

 昨年12月に東証マザーズに新規上場した弁護士ドットコム(6027)。同社は「専門家をもっと身近に」という理念の下、急速な成長を遂げている。その弁護士ドットコムの成長を促すものとは何か。弁護士として初めて株式上場した元榮太一郎社長兼CEOに、同社の成長の要因と今後の目指す方向を聞いた。
 

自身の経験を原点に起業

――弁護士ドットコムの事業内容を教えてください。

 「主に3つのサービスがあります。ひとつは『弁護士ドットコム』という日本最大級の法律相談ポータルサイトの運営です。弁護士ドットコムは、弁護士検索や法律相談を無料で利用できるオンリーワンのサービスで、月間のサイト訪問者数は850万人超。日本の弁護士約3万6000人のうち4人に1人に当たる9000人超が登録をしています」

 「もうひとつは、昨年6月にサービスをリニューアルした姉妹版の『税理士ドットコム』。残りのひとつは10月にリリースした日本初のWeb完結型クラウド契約サービス『クラウドサイン』です。法律とIT(情報技術)を結ぶリーガルテックは世界的な潮流であり、サービス開始から3週間で500を超える会社から導入していただきました」

――弁護士業界で起業した理由は。

 「大手法律事務所に在籍していた際に上場ネットベンチャー企業のM&Aに携わりました。ベンチャー企業がアグレッシブに成長を追及していく様子に大きな刺激を受けたのですが、たまたまある日、引越しサービスの比較サイトを見ていたところ、同じサービス業である弁護士業界でも活用できるサービスだということに気づきました」

 「それまで、起業はまったく意識していませんでした。しかし、ビジネスアイデアを想像していると、自分が弁護士を頼った際の経験がフラッシュバックしたのです。大学2年の時に買ったばかりの中古車自動車で物損事故を起こしたのですが、その時に弁護士に助けてもらったことが、この業界を志す原点となりました。しかし、実際に弁護士に出会うまでにはすごく時間がかかったのです」

 「あのときの自分のような人はいまもいる。弁護士をネットで比較検討できたり、無料で法律相談できたりする場所があったら素晴らしいはずだ。一人でも多くの法律で困っている人の力になりたいという思いで起業を決意しました」

前人未踏の道を行く

――大手法律事務所を飛び出すことに、ためらいはなかったのですか。

 「弁護士が起業するというのは前代未聞でしたが、一度限りの人生。選択と集中をしなければならないという意識がありました。その基準として『日本一・日本初』あるいは『世界一・世界初』ということにこだわることで、自分の価値の最大化につながると考えたのです」

「弁護士なのに起業したからこそ注目してもらえたという点はあると思います。前人未踏の道を進む。そんな新たな道を作ることが好きだとも言えます。実際、弁護士ドットコムが上場してから、若い優秀な弁護士が自分も上場を目指そうと起業にチャレンジするという動きも高まっています」

――時代の潮流の変化も追い風だったのでは。

「規制緩和で弁護士の兼業が容易になり、それまで弁護士会の許可が必要だった会社の役員になりやすくなったという点はあると思います。さらにインターネットが普及した意味も大きいでしょう。ネットにより弁護士と困っている人のつながりが劇的に変わりました。誰にも知られたくないから、こっそり相談したいという人は多いのです」

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潜在マーケットは5兆円規模、相続財産の大移動期に突入

――弁護士業界を取り巻く現在の状況を教えてください。

 「市場規模は、2000年から10年にかけ約6450億円から約9500億円へ1.5倍に拡大しています。弁護士業界は日本における数少ない”隠れた成長マーケット”と言えます。さらに、『2割司法』という言葉があるように、本来は弁護士がサポートするべき人の2割しか、実際には依頼していないということで、つまり5倍の潜在需要があり、5兆円マーケットが存在しているとも言えるのです」

 「さらにいまは、年間に123万人の方が亡くなっていますが、2040年のピーク時には年167万人が亡くなるとも予想されています。ここに相続財産の大移動が起こるのは必然的です。日本は一国に一度訪れる”人口オーナス(減少)期”と弁護士と税理士の専門領域である”相続需要増大期”に、いままさに突入しています」

――そこに弁護士業界の改革も加わった。

 「2000年代に3つの規制緩和・改革が行われました。ひとつは、弁護士事務所の広告が解禁されたこと。もうひとつは弁護士報酬が自由化されたこと。さらに新司法試験制度導入により弁護士の数が増えたことです。ルールは競争抑制から、競争促進へと変わりました。いま弁護士業界は100年に1度の大変革期にあり、昔からの弁護士のイメージは劇的に変わっています」

 「日本の弁護士人口は3万6000人程度ですが、このうち5人以下の事務所に在籍しているのが2万3000人強。相当数の弁護士は広告などのマーケティングが課題になっているというのが実態です」

「一方、法律面での悩みを抱えている人は、ネットに回答を求め、弁護士を探しています。ここにオンリーワンの当社のサイトが存在しており、インターネットを通じて相談者と弁護士が、劇的につながりやすくなりました」

問題意識を背に国政にも挑戦

――最後に、来年の参院選挙に立候補する理由は。

 「専門家を身近にするという理念のためには、制度設計面から見直す必要があるとも考えています。弁護士ドットコムには、多くのユーザーからの生の悩みが寄せられていますが、人々が悩まなくて良いように法律を変えた方が良いのではないかと思うこともあります。あるいは、起業家が政治の世界に出て、世界的な競争にキャッチアップし、イノベーションを起こすために法律を進化させるという考え方もあると思います。上場企業の経営者として高い成長性を維持することと、政治家の仕事の両立にチャレンジすることで新しいロールモデルを実現できれば良いと考えています」

●弁護士ドットコム
日本最大級の法律相談ポータルサイト。2005年7月設立。14年12月に弁護士としては初の東証マザーズに上場。「専門家をもっと身近に」を理念に、パソコン、スマートフォン、タブレットなどあらゆるデバイスから人々と専門家をつないでいる。弁護士ドットコムニュースも高い人気を誇る。「税理士ドットコム」なども展開。弁護士による登録料や一般ユーザーからの有料会員収入、広告収入などが主な収益源となっている。

配信元: みんかぶ株式コラム

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