中長期テクニカルチャート分析における日経平均の現状

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最新投稿日時:2014/08/21 11:11 - 「中長期テクニカルチャート分析における日経平均の現状」(みんかぶ株式コラム)

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中長期テクニカルチャート分析における日経平均の現状

投稿:2014/08/21 11:11

 投資経験を重ねるに連れて、各種主要指標(ex.日経225)のチャートを投資運用の風見鶏として利用する事が多くなると思われます。日本においては、「中長期投資におけるテクニカル分析」がメジャーではないので、あまりそのスキルは発達しておらず、日本市場での中長期投資運用、は「ライバルがいない市場」として海外投資家から穴場として見られています。

 実際に情報サービスとしてもニーズが少ない為か、投資家の皆さんも「中長期投資のテクニカル」の情報を見る機会が少ないと思われますので、実際に海外の投資家がどのような形にて、中長期投資におけるテクニカル分析を行っているのか、例に上げてご紹介できればと思います。

 今回は3つのチャートを用意しました。
 いずれも日経平均株価のチャートですが、皆さんがよく目にするチャートと比べてどうでしょうか?

①2011年1月~2014年現在
②2013年11月~2014年現在
③2000年~1月~2014年現在

 これらのチャートは、短期チャートばかりを見ている人にとっては少し新鮮な形をしていると思います。
 各種指標に関しての分析は個々に行いますが、〝今現在〟を正確に分析するには「比較対照」や「過去の情報」が必要となります。

 また、単独指標における判断ではなく、このように並べてそれぞれの指標を見ると、新たな発見や、分析結果が正しいかどうかを検証する事ができます。
 勿論、このような指標それぞれについてテクニカル分析を行うとすると、多大な時間労力を費やしますので、短期トレード(デイトレ)に活かす事は難しいでしょう。

 大事な事は、中長期投資においての指標の使い方があるという事を、頭の隅に置いておくだけでも、今後数年数十年と投資運用を行っていく中で、充実した「投資生活」を送れるようになるという事なのです。

 日経平均株価は現在、「ボラティリティの高い世界市場」の後を追っています。ですが単に「世界市場と同じ様になる」と安易に判断するのは危険です。追っかける側にも様々なストーリーがあるので、「同様」にはならない為です。
 まずは、一歩下がり、中期や長期スパンなど大局的にチャートを見ていきましょう。

 では、早速「①2011年1月~2014年現在」のチャートを見ていきましょう。

画像1

 中期スパン(3年~5年)で見る日経平均株価は、赤で示された2本のトレンドラインを上回っていることから、状態は良好だと言えます。
 極めて重要なモメンタムインディケーターも良好に交差していることが分かるでしょう。これは市場が強気であることを意味します。
 日経平均がこの2本線を上回ったところに位置している限り、良い状態は続くと予想されます。

 「①2011年1月~2014年現在」の中期テクニカル分析においては、日経平均は良好な状態である事が分かりました。
次に他の市場と比較してみましょう。


 下記の「②2013年11月~2014年現在」を見てみて下さい。

画像2

 日経平均と全世界株式指数(米国除く)とを比較したチャートとなっています。
 全世界株式指数は、アメリカを除いた先進国と新興国の株式市場から整時価総額重量方式で算出された株式指数です。

 このように上下に指標を並べると「同じ形」をしている事に気づきます。
 つまりは、「ボラティリティの高い世界市場」の追っかけをしている事に気づきます。
 しかし、「同じ形である事」だけで終わるとこの比較作業は実に惜しい事になります。

 もう少しだけ踏み込んでみましょう。
 上下の幅の大きさが違う事に気づくでしょう。
 
 7月の高値以降、大部分の世界市場は調整を始めており、その内のいくつかの市場、はっきり言えばヨーロッパの市場においては他と比較するとさらに悪い事態となっています。

 直近の高値から全世界株式指数は、日経平均と同じくらい下落していることが分かります。チャート図に示している通り、日経平均は「5.7%の下落」、そして全世界株式指数は「6%の下落」となっています。
 日経平均は値下りしたにも関わらず、その後赤線のサポートレベル(A)を上回ったところまで戻ってきています。
 一方で全世界株式指数はどうでしょうか?
 赤線サポートレベル(A)から大きく下に離れたところに位置していますね。
 これはテクニカル的に見ると、現在の日経平均は良い状態にあると言えるでしょう。
 また日経平均は、他の世界市場と相対的な強さを比較しても、上回っていることを示し続けています。

 この2つの比較チャートにより、日経平均は世界市場の追っかけをしているにも関わらず、極めて良好な状態を保っている事が分かります。
 単に海外市場が悪いから日経平均も悪くなるという相関性は、チャートの形だけ見ればあると言えますが、内容から紐解くと他の市場とは異なっている状態だと判断できます。


 最後に15年という長期的なテクニカルチャートを見てみましょう。
 下記の「③2000年~1月~2014年現在」の日経チャートを見て下さい。

画像3

 日本において、あまり見る機会の少ないチャートかもしれません。
(※日本の無料サービスでは15年というスパンでのチャート提供は少ないです。)
 「①2011年1月~2014年現在」「②2013年11月~2014年現在」のテクニカルチャート分析では良い事づくしでした。
 「株式投資をするなら今!」と意気込んでしまいそうですが、最後のチャートではテクニカル分析が、いかに都合が悪い情報でも正確に提供してくれるのか教えてくれます。

 15年という長期的な目で見る日経は、弱気傾向にあることが分かります。
 2012年下旬の底以降、循環的な上昇トレンド内で動き続けていますが、まだ長期的なトレンドライン(青線)を下回ったところに位置しています。
 直近のA)ウェッジパターン (※ゴルフクラブのウェッジの様な形) と、その前の2006年から2007年に形成されたウェッジパターン(A)は、非常によく似ています。
 また、チャート図下のモメンタムインディケーターにも注目してください。
 2つのウェッジパターンが形成されている時、モメンタムも同じようにピークを迎えていることが分かります。
 特定の市場(ここでは日経)で形成されるパターンは、取引の際に予測可能な形でテンプレートとしても使うことができます。
 直近のウェッジパターンに注目し、投資家及びトレーダーの皆さんは2007年に起きたような状況に再度直面する可能性があります。
 このパターンが崩れるかどうかが今の日経平均の状態となります。
 今回3つのチャートを並べて個別に分析を行いましたが、まとめると次のような事が言えます。
・今現在の日経平均株価は非常に良い状態。
・世界市場はボラティリティの高い市場へとシフトしているが、日本市場においては影響は限定的で他の市場よりも状態が良い。逆に相関性を当てにすると読み違える可能性が高い。
・長期的に見ると下落のパターンに突入する可能性があるが、今の日経平均株価はそのパターンが崩れるかどうかの分岐点にある。

 
 明日からの投資でこの情報は劇的にあなたのポートフォリオを潤す事はできないかもしれません。
 しかしながら、このような正直な分析情報は、「投資運用センスの指標」を持たせ、各種の情報サービスやアナリストの展望に対しての正確な判断を可能とします。

 単に情報を鵜呑みにするだけでは、他人に自分のお金を預けてお金を払うようなものです。今日取り上げた様な「テクニカル指標チャート分析」を取りいれ、個人においての投資運用リテラシーの向上に繋げて貰えれば幸いです。

 今の日経平均は「状態良好」ながらも、重要な段階に入っております。
 状態を見極めて、更なる投資利益を生み出しましょう。
 

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配信元: みんかぶ株式コラム

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