【報道概要】
2014年7月9日、老舗オーディア機器メーカーとして知られる山水電気が、東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。負債は3億5000万円。
一時は、売上500億円を計上するほどのオーディオメーカーとして名を馳せたが、オーディオブームの衰退やデジタル化の波に遅れ、業績不振となった。
スポンサーとして香港のグランデ・グループを得たが、そのスポンサー企業も破綻して、2012年には民事再生法申請するも、資金不足に悩まされ、ついには破産することとなった。
—- アラーム管理システムの分析情報 —-
【会社概要】
社 名 山水電気株式会社
市 場 東証1部(2012年5月3日まで)
証券コード 6793
業 種 電気機器
従業員数 5人(連結)
所在地 東京都大田区蒲田5-29-3 酒巻ビル7F
【OX理論】
OX格付 B 【11】(2010年12月連結決算)
【分析表1・7】
http://alox.jp/wp-content/uploads/2014/07/sansui_2010ren.pdf
ALOXALOXALOXALOXALOXALOXALOXALOXALOXALOX
<アラーム管理システムとは>
2期分以上の財務諸表(BS、PL、脚注)から、企業を100点満点で評価。
40点以下を「資金繰りの破綻リスクが高い」と評価する。
詳細については、下記URLをご参照ください。
http://alox.jp/sevices/alarm/
ALOXALOXALOXALOXALOXALOXALOXALOXALOXALOX
—- 終了 —-
【2度の倒産】
山水電気は、2012年4月2日に民事再生法申請し、2014年7月9日に破産手続き開始となった。
ただし、著名な「SANSUI」ブランドは、2012年の民事再生法申請後、東証1部の株式会社ドウシシャが日本国内ライセンスを取得しており、新生SANSUIとしてデジタルオーディオ製品が展開されている。
つまり、日本に限って言えば、今回破産手続き開始となった山水電気は、「SANSUI」ブランドとは関係のない会社である。
【「投資その他資産」と「純資産」のみの貸借対照表】
山水電気にとって、最後となる有価証券報告書に記載された貸借対照表は、滅多にお目にかかることがない代物である。
<貸借対照表グラフと詳細>
http://alox.jp/wp-content/uploads/2014/07/sansui_2010renBS.pdf
なんと、貸借対照表の借方の99%は「投資その他資産」であり、貸借対照表の貸方の99%は「純資産」である。
ほぼ流動資産や負債がないため、営業活動が停止であることは分かる。
一方で「純資産」が「投資その他資産」へ“変貌”していることも認知できる。
【「長期預け金」と「長期未収入金」は親会社と役員の会社】
「投資その他資産」を深掘りすると“非常に興味深い情報”にお目にかかることができた。
有価証券報告書によれば、「投資その他資産」に含まれる科目は、「長期預け金」と「長期未収入金」である。
気になるのは、「長期預け金」と「長期未収入金」の相手先だ。
<山水電気の利害関係者と関係会社取引概要図>
http://alox.jp/wp-content/uploads/2014/07/sansui_gairyaku.pdf
・相手先企業群
赤井電機株式会社(役員兼務)
「長期未収入金」 97百万円
ナカミチ株式会社(役員兼務)
「長期未収入金」 2億15百万円
ナカミチ販売株式会社(役員兼務)
「長期未収入金」 87百万円
サンスイ・エンタープライゼス・リミテッド(親会社の孫会社)
「長期未収入金」 2億10百万円
「長期預け金」 19億23百万円
ザ・グランデ・(ノミニーズ)・リミテッド(親会社の孫会社)
「長期未収入金」 8億14百万円
ジ・アルファ・キャピタル・サービセス・リミテッド(親会社の孫会社)
「長期預け金」 24億95百万円
つまり、54億円の純資産(株主の投資した資本≒現金)は、44億円近くもの現金を親会社の関連会社へ「長期で預け」、さらに10億円近くも「長期で未回収な債権」へと変貌したわけだ。
この貸借対照表を見ると、「末期の山水電気は、親会社が投下した資本を
親会社の関連会社へ振り分けるゲートとして存在する会社」であったと言っても過言ではない。
【総括】
親会社が子会社の資金を吸い上げること自体は、一般的なことである。
ほとんどの親会社は、子会社の現預金を吸い上げ、それを重点分野(子会社)へ投資する。
だが、山水電気の場合は、親会社の投資が利用される形跡もなく、そのまま「預け金」という名目で、親会社の子会社へ還流していることが、奇異に映る。
2011年5月には、親会社のグランデ・グループが経営破綻したため、親会社向けの「長期預け金」「長期未収入金」等の総額約54億円の不良債権となってしまった。
山水電気の倒産は、「資本調達先の精査(審査)の重要性」を知らしめる事例と言えるだろう。
※ 参照資料
『第74期(2010年)山水電気 有価証券報告書』
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