円キャリーの裏側では・・・
■先週は米経済のインフレを示すCPI(米消費者物価指数)や米小売売上高が市場予想値に届きませんでした・・・。
これらの結果を受け、市場は年内に追加利上げに踏み切れるか懐疑的な見方となり112円ミドル水準で週末のNYクローズを迎えました。
■今週は、ECB理事会やドラギ総裁の定例記者会見に注目!
先週に引き続き、為替相場は円キャリーが目立っていますが、先週末現在の価格とトランプラリーにおける直近高値(2016年12月)を比較してみました。
2016年12月高値 7月14日引値 価格比
ドル円 : 118.65円 112.50円 -6.15円
ユーロ円: 124.08円 129.01円 +4.93円
ポンド円: 148.11円 147.45円 -0.66円
カナダ円: 88.90円 88.92円 +0.02円
豪ドル円: 85.71円 88.01円 +2.30円
となっています。
■ユーロと豪ドルは大幅にプラスに、カナダは超えたばかりの状況で、ポンドに関してはもう少しといった状況になっています。
しかし、ドル円だけは大幅にマイナスになっているのがわかります。
つまり、円売りだけの状況だけでなく、ドルも円以上に弱いのがわかります。
ドルインデックスをみるとそれが良くわかります。
2016年12月高値 7月14日引値 価格比
ドルインデックス : 103.56 94.90 -8.66
■円キャリーはある程度みえるものの、現在の相場はリスク選好というには少々、疑問が残るところです。
現在の円売り材料の主体は、やはり各中央銀行の金融政策スタンスの違いが明確にでているという見方でしょう。
故に、日銀の金融政策スタンスといえば、「物価目標+2%を安定的になるまでこの緩和スタンスを続ける」との一点張りで、テコでも動かないぐらいの黒田総裁の意志の固さがみえます。
となれば、来年春まではこの円キャリーが継続するのか・・それを決めるのは時期尚早だとみています。各中央銀行のスタンスが変更されれば、日本の債券市場も出遅れを狙ってファンドの標的にされやすいのも事実です。
世界的に政策スタンス変更の中では、日銀のイールドカーブコントロールも操縦不能に陥る可能性も否めないとみています。
その意味では、今週木曜日のECB理事会やドラギ総裁の定例記者会見の動向に注目しています。
もし、緩和スタンス変更を匂わせる内容であれば、ドルにも影響が出るので、ドル円としてももう一段の調整は覚悟したいところです。
■IMMの日本円のポジションは既にオーバーシュート
さて、気になるIMM日本円のポジション状況は、大口投機玉はネットで112,125枚の売り越しとまり、売り越し幅は前週と比べ37,089枚拡大しました。
この売り越しは、昨年のトランプラリーのピーク時(2016年12月27日)で、87,009枚とその数値を大幅に超える状況になっています。それ故に、ここから先のドル円の買いポジションを取るなら、十分に押し目を狙ってエントリーする必要があるのではないかとみています。
■111円ミドルで押し目完了できなければ、更なる調整も視野に・・・
最後にテクニカルです。
先週のドル円は、今年5月の高値を上抜き、節目の115円に期待が集まりましたが、結局大幅に反落してしまいました。
ここから先は、通常の見方であれば「押し目待ち」と言ったところが妥当なのではないかと見ています。ドル円日足チャートを見れば、6月15日安値109.25円と今月11日高値114.48円の値幅に対するフィボナッチで押し目を探りたいと思います。
38.2%…112.30円
50.0%…111.64円
61.8%…110.97円
特に半値押しの価格には、200日移動平均線も同時に重なっているだけに、111円ミドルで反発できるかに注目したいです。
もし、この200日移動平均線を下回るようであれば、今回で3度目、さすがに投げる可能性もあるので、安易に押し目買いというスタンスは、警戒と同時にリスク管理をしっかり行いたいところです。