イスラエルとの首脳会談がポイント
親イスラエルの姿勢が鮮明なトランプ大統領が、首脳会談で米大使館のエルサレム移転に言及するなら、「パンドラの箱」が開く事になるかもしれない。
アラブ諸国の中で最も親米的なヨルダンが1月5日、「 越えてはいけない一線だ。イスラム教の国やアラブ諸国の路上を炎上させるだろう」と述べ、中東の一層の不安定化につながるとして、強い懸念を表明した。国内にパレスチナ難民を多数抱えるヨルダンでは、米大使館エルサレム移転なら王政転覆の可能性も浮上する。
イスラエルが首都だと主張しているエルサレムの東半分は、イスラエルが1967年の第三次中東戦争で占領したのち一方的に併合したもので、パレスチナ側も将来の国家の首都だとしていることから、アメリカを含めて各国はエルサレムには大使館を置いていないのが現状だ。
ただし、アメリカ議会の「テルアビブからエルサレムに大使館を移す」という決議は有効で、これまでは大統領が「半年延ばす」ということを、20年近く続けてきた。この期限が今春に訪れる。
既にエルサレムには、アメリカの総領事館があるため、新たに大使館を建設する必要もなく、看板の付け替えで済むが、大使館移転が実行(もしくは表明)された場合、パレスチナの過激派がイスラエルに武装攻撃を行うことは必至。アラブ諸国の対米関係も急激に悪化し、第五次中東戦争が意識されかねない状況となるだろう。
2月上旬は、旧正月が明け、予算教書が控える。
NYダウは、保合いを上放れ、テクニカル的な踏み上げも巻き込み、2万ドルの節目を超えたが、ドルの上値・NY金の下値が、それぞれ限定的だったのは、2月に控えるイベント・波乱を警戒しているためであろう。
トランプ大統領が、「パンドラの箱」を開けるのか否か、2月上旬の最大の注目点だ。