オクトーバーサプライズ
注目の米国7-9月期GDP(速報値)は2.9%(予想2.5%)となったものの、個人消費が2.1%(予想:2.6%)と下回ったことがやや嫌気されました。米国株が堅調だったこともあり、オプションバリアの観測されていた105.50円を瞬間的にヒット。市場参加者の多くは、105円台半ばで取引を終えると予想したのではないでしょうか。
2時になりもうそろそろ終了(平日は日経新聞のリリースがあるため注意。)かなと思っていると相場は急変。『ヒラリー氏のメール問題、FBIが再捜査』というヘッドラインが飛び込み、30分でドル円は1円ほど急落しました。
GDPの好結果がクリントン候補の背中を押したものの、自身のメール問題でぶち壊すというこの選挙戦を象徴するかのような出来事に。まさにオクトーバーサプライズ!
※オクトーバーサプライズとは、アメリカ合衆国大統領選挙が実施される年に、投票の1ヶ月前の10月に選挙戦に大きな影響を与える出来事のことをいいます。
ただ、再調査ということで目新しさには欠けることもあったのでしょうか。米国株もドル円も落ち着きを取り戻し取引を終えたという印象です。
ちょうどニューハンプシャー州演説中であったトランプ氏は、ここぞとばかりにニュースを取り上げ聴衆を沸き立たせたということです。クリントン候補は「国民は全ての事実を直ちに知る権利がある」と、FBIの全面開示を要求し、「結果は変わらない」と付け加えたそうです。
この期に及んでこういった横やりが入ると、投資家としては落ち着いていられないというのが本心。それでも、NYダウがプラスマイナスゼロで終えたのは強いといえるのではないでしょうか。
ちょっと値動きが分かりづらくなってきましたが、本日の東京市場は3ヵ月ぶりに105円に乗せたということもあり、104円台半ばでは実需の買いも出て円安に推移。トヨタをはじめとする輸出企業の多くが105円以下を想定為替レートとするなか、105円はサプライズ的に感じている企業が多いと感じます。
チャートは急落から小さな三角保ち合いを形成。NY後場、早朝に売ったトレーダーが不利な状況です。こうなると、どこかでショートカバーを誘発し軽い跳ね上がりが起きる可能性が濃厚。そうなった場合は下値のショートは消滅、買いポジションは利食い、105円台で取り残されたポジションは撤退という流れから新規の売りが出て下落し行って来いとなりそうな雰囲気です。
にわかに上昇に転じているユーロドルが欧州市場で上昇しそうなことを考えると、105円台ではドル円は売っておきたいところです。