~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~
8月29日~9月2日週の日経平均は、週間で564円(3.4%)の上昇と堅調に推移しました。円が対ドルで6日連続で円安方向に動いたことで、主力の輸出関連株などが買い戻されました。
ただ、東証1部の売買代金が商いが2兆円を超えたのは8月31日(水)のみ。商いを伴っていないだけに“ホンモノ”の上昇なのか確信を得られず、今週は動けなかったという方も多いのではないでしょうか。
■業種別では自動車株・金融株が上昇
1ドル一時104円台と1ヵ月ぶりの円安を受け、(7203)トヨタや(7270)富士重など自動車株が堅調。富士重工が週間で10%高と勢いよく上昇しました。
また、長期金利の上昇が手がかりになり、銀行、保険など金融株の戻りが見られています。
20年超の超長期国債の利回りが2日に約5か月ぶりの水準を回復したこともあり、(8306)三菱UFJフィナンシャル・グループが11%高と急伸。(8750)第一生命は12%を超える上昇率と息を吹き返しています。
9月20日~22日にかけて日・米の金融政策会合が予定されています。まず、先に結果が出る日銀が、マイナス金利の深掘りなど大幅な金融緩和策を打ち出すのか?
その後、米国が2度目の利上げに動けば、日米の金融政策の違いが鮮明になり、為替が円安・ドル安に動く公算が高く、日本株の押し上げ要因になる可能性があります。
■個別では東電株の動向に注目
個別で動きが見られたのが、(9501)東京電力ホールディングスです。原発の再稼働に反対する新潟県の泉田知事が次の選挙に出馬しない意向を示したことが手がかりになったとも言われていますが、週間での上昇率は18.6%と時価総額1,000億円超で首位となりました。
東電株は株主数が50万人超と国内で8番目に多く、塩漬け覚悟で保有を続けている個人株主も多いとみられます。同社株が戻るようであれば、「いよいよ個別株か」との機運が高まる可能性があります。
また、9月7日には米アップルのスマートフォン「iPhone」などの最新機種がお披露目となる見通しです。「アップルが部品メーカーに値下げを求めている」と1日の米ウォール・ストリート・ジャーナル電子版が報じたことで、アルプス電気など電子部品大手の株価がさえませんが、iPhone新製品の発表で盛り返すことができるかにも要注目です。
小野山 功