嵐の前の静けさ
ジャクソンホール講演は、2010年の8月に、当時のバーナンキFRB議長が、「QE2(量的金融緩和第二弾)」の始まりを示唆した事で注目を集めたが、2011年6月にFOMC情報開示の変更(未発表の将来の金融政策方針について述べる事を禁止)以降は、サプライズが起きるような発言・講演は出難い状況となっている。
イエレン議長の講演も長期的な視点での中央銀行の金融政策の話が中心となり、直接的に9月利上げに言及することは考えられないが、市場は、イエレン議長発言の中に何らかのヒントを探ろうと、足元は様子見ムードが高まっており、狭いレンジ相場が各市場で継続しているが故に ヘッドラインに反応するHFT絡みの乱高下の恐れは残っている。
フィッシャーFRB副議長、ダドリーNY連銀総裁、ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁からは、9月~年内利上げの可能性を示唆するような発言が相次いでおり、これらの発言との整合性・乖離が材料視されそうだ。米経済について前向きな表現が強調されると、ドル売りにポジションがやや偏りつつある中、102円~103円円程度まで円安ドル高に振れる可能性があるものの、利上げ観測の高まりは、史上最高値圏で狭いレンジ相場・団子天井を形成しているNYダウの下落に繋がるであろう。株価下落によるリスク回避が高まれば、ドルは再度売られ、ドル高の滞空時間は短くなるだろう。
反対に、発言の内容が9月利上げなしと解釈される、もしくは判断し難い中途半端な内容となれば、100円を挟んだ円高気味の保合いが続きそうだ。9月に入れば雇用統計(9/2)、FOMC(9/20-21:議長会見あり)、日銀金融政策決定会合(9/21)、ECB理事会(9/8)などの金融イベントに加え、2日には日ロ首脳会談、4-5日にはG20首脳会談(中国)、26日は、大統領候補討論会と政治イベントも多い。26-28日にはOPEC非公式会合も予定されており、金融市場で継続している保合いが、秋相場に入ると、なんらかのきっかけで放れる可能性は高いのではないか?現在の保合いは、「嵐の前の静けさ」であり、現行の保合いが長ければ長いほど、放れた際の値動きは大きくなるだろう。
レーバー・デイ―(労働者の日)に伴う連休を境に始まる「秋相場」は、波乱含みとなりそうだ。