JR東日本は首都圏100駅に設置へ
国土交通省が15年10月に公表した「宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会」の報告書では、宅配便の約2割の荷物が再配達になっていると指摘。これにより営業用トラックの年間排出量の1%に相当する年約42万トンCO2が発生しているほか、年間約1.8億時間・年約9万人分の労働力に相当する社会的損失があるとし、再配達の削減を通じた物流の効率化を推進する必要性に言及した。
消費者側からみても、通勤や通学途中で荷物を受け取ることができれば、時間に縛られることがなくなり利便性が向上。また、最近ではプライバシー意識の高まりから「住所を知られたくない」といったニーズも増えており、ロッカーを利用する人はさらに拡大しそうだ。
JR東日本<9020>は5月10日、今後1年以内に首都圏の100駅程度で「宅配受取ロッカー」の設置を進めると発表。日本郵政<6178>傘下の日本郵便およびヤマトホールディングス<9064>と連携し、それぞれのロッカーを設置する。日本郵便のタイプでは「ゆうパック」やネットスーパーなどの専用便、ヤマトHDのタイプでは同業他社の荷物も含め受け取ることが可能だ。
ヤマトHDはこのほかにも5月11日に、仏ネオポスト傘下のネオポストシッピングと合弁会社を設立し、事業者が共同利用できるオープン型宅配ロッカー事業を本格展開すると発表。22年までに累計5000カ所以上への設置を目指すとしている。
また、楽天<4755>は、14年5月から購入商品を専用ロッカーで受け取れる「楽天BOX」を展開。15年4月からは日本郵便と連携し、郵便局に設置されたロッカーで受け取れるサービス「はこぽす」をスタートしている。
このほかでは、東京急行電鉄<9005>が16年1月から東急ストアネットスーパーの商品を受け取れるロッカーを東横線綱島駅構内に設置し試験運用を開始。京王電鉄<9008>はグループ会社を通じて、2月から駅に設置されたコインロッカーを活用した荷物の受け渡しサービスの実証実験を行っている。