目先的な達成感で一服、決算内容反映の個別物色は続く
明日の東京株式市場見通し
12日の東京株式市場は、3日続伸の後を受けて利益確定の売りが予想されるため、上昇一服となりそうだ。きょうは、外国為替市場で午前中に1ドル=109円台前半と円安・ドル高傾向が強まったことから、
日経平均株価は一時、前日比249円高の1万6814円まで買い進まれた。
この前場の上昇で、直近高値(4月25日の1万7613円)と直近安値(5月2日の1万5975円)の半値戻しに相当する1万6794円を上回る場面もあった。この半値戻しによる目先的な達成感と、前場なかごろからの円高・ドル安の進行で、上値の重さが際立つ推移となった。
市場関係者からは「決算発表で好調な業績見通しの銘柄を個別に物色する流れは継続しているものの、市場参加者のあいだに“1ドル=109円台前半まで急速に進んだ円安傾向が一服状態になるのでは”との見方が広がった。とくに個人投資家は、外国為替相場と関連性の薄いマザーズ市場のバイオ関連銘柄に物色の矛先を向けたようだ」との見方が出ていた。
11日の東京株式市場は、欧米株高や円安進行を買い手掛かりに続伸したものの、前場中盤以降は上値の重い展開となり、上昇幅を縮小した。
日経平均株価終値は、前日比13円82銭高の1万6579円01銭と小幅ながら3日続伸となった。
11日の動意株
DMG森精機<6141>=急騰。
10日に16年12月期第1四半期(1~3月)の連結業績を発表するとともに、ドイツのDMG MORI AG社の株式追加取得などの効果で16年12月通期の連結純利益を130億円から145億円に修正した。これに伴い、今期予想1株当たり利益(EPS)も120円(従来108円)に見直された。また、四半期利益の改善見通しも発表した。ドイツ証券では11日、今期業績予想の上方修正と情報開示姿勢の改善を評価し、レーティングの「バイ」を継続している。
塩野義製薬<4507>=後場一段高。
同社はきょう午後1時に、17年3月期通期の連結業績予想を発表。経常利益は1015億円(前期比0.6%増)を見込み、年間配当は前期に比べ6円増額の68円とする方針を示した。売上高は3180億円(同2.6%増)を予想。英ヴィーブヘルスケアに導出している抗HIV薬「テビケイ」および配合薬「トリーメク」のロイヤルティー収入の増加などを見込んでいる。
サンデンホールディングス
<6444>=急伸。
同社は10日取引終了後に、17年3月期通期の連結業績予想を発表。経常利益は90億円(前期比46.6%増)を見込んでおり、これが好感されているようだ。売上高は3000億円(同2.0%増)を予想。主力の自動車機器事業は小幅な減収減益とみている半面、流通システム事業は増収増益を見込み全体業績を牽引する。なお、業績予想の前提となる為替レートは1ドル=110円、1ユーロ=125円としている。
インプレスホールディングス<9479>=大幅高。
3月8日につけた年初来高値158円を払拭し、新値街道に躍り出た。同社はネット広告や電子書籍などのデジタルメディア事業を手掛けるが、売上高が会社側想定を上回り好調に推移、16年3月期の売上高は従来予想の104億~107億円から108億9200万円に、同じく経常利益も0~1億5000万円から1億8200万円に増額した。これを好感する買いが集中した。
セリア<2782>=急騰で上場来高値。
同社は10日取引終了後、17年3月期の単独業績予想を発表、売上高は1420億円(前期比8.4%増)、営業利益は130億円(同8.2%増)、最終利益は88億円(同10.7%増)を見込んでいる。前期は売上高、利益とも大幅な伸長をみせたが、続く今期も同社の経営戦略である積極的な出店攻勢を足場に好調な伸びを予想している。株式需給面では信用買い残が枯れ切った状態で上値が軽く、利益成長継続を素直に評価する買いが勢いを増している。
郷鉄工所<6397>=一時ストップ高。
同社は10日取引終了後に、小型ガスエンジンの技術を持つワイ・ジーケー(山形市)と業務提携し、新たな事業を開始すると発表。これが材料視されているようだ。同社は、ワイ・ジーケーの小型ガスエンジンを用いた防災用ガスエンジン小型発電機を製造・販売する権利を約8億1000万円で取得。これにより、国の国土強靭化基本計画の一環としてのインフラへのレジリエンス(大災害に対する復元力、耐久力)強化への取り組みに対応するバックアップ発電機の供給など防災事業の展開を図る。
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