消費増税先送り気運で個人消費にプラス効果
個人消費関連の企業について、発表が終了した16年2月期決算と17年2月期の業績見通しを見ると、小売り業種ではコンビニエンスストアの業績拡大が目立った一方で、総合スーパーマーケットの低迷が際立った。そして、もう一つ特徴的だったのが専門量販店の健闘ぶりだ。
ニトリホールディングス<9843>の17年2月期は、物流効率の最適化をすすめるとともに、経営基盤強化のため国内および海外での積極的な新規出店を行っていく方針で、売上高は5000億円(前期比9.1%増)、営業利益は790億円(同8.2%増)、最終利益は514億円(同9.4%増)を見込む。従来までの郊外型大型店を中心とした出店戦略の幅を広げ都市部への出店を積極的に進めるとともに、商品構成、売場演出方法から搬入体制に至るまで多岐にわたる対策を実施し、新たな客層の獲得に取り組む。
エービーシー・マート<2670>の17年2月期の連結業績予想は、売上高2430億円(前期比2.0%増)、営業利益427億円(同2.9%増)、最終利益284億9000万円(同9.0%増)を見込む。女性層を中心にスニーカー販売が好調を維持するほか、円高による輸入コスト低減も寄与する見通し。円高に伴い、PB(プライベートブランド)の粗利益率改善が予想され、最終利益段階で5期連続のピーク利益更新となる見通しだ。
良品計画<7453>の17年2月期の連結業績予想は、売上高3365億円(前期比9.4%増)、営業利益380億円(同10.3%増)、最終利益243億円(同11.9%増)と2ケタ増益を予想。積極的な出店を行い、引き続き事業拡大を推進していくとしている。国内事業では、「オーガニックコットン」をテーマとした衣服・雑貨などが好調で、直営店ならびにネットストアの売上高増加を予想。東アジア地域事業では、15年12月に840坪の中国最大店舗をオープンしたのをはじめ、今年8~9月にインドで生活雑貨店「無印良品」を現地企業との合弁会社という形で出店する。
セリア<2782>は100円ショップ大手。足もとの既存店ベースの月次売上高は、昨年12月が前年同月比5.1%増、今年1月が3.8%増、2月が6.0%増、3月が3.3%増と好調を維持している。需要の変化を的確に売り場に反映させ、クリスマスや正月用など季節商品の品揃えの良さが売り上げを伸ばした。また、食品スーパーから新規出店の引き合いが活発で、16年3月期は約130店に対して17年3月期は150店と拡大し、業績はさらなる拡大が期待できそうだ。
アダストリア<2685>はカジュアル衣料店をショッピングセンター中心に展開。17年2月期の連結業績予想は、売上高2089億円(前期比4.4%増)、営業利益170億円(同6.2%増)、純利益100億円(同9.6%増)と増収増益を見込んでいる。グローバルワーク、ニコアンドなど基幹ブランドを中心に出店を強化する一方、店頭情報を起点とした企画・生産・販売の全プロセスを見直して効率化を進めるとともに、品質向上やコストダウン、リードタイムの短縮などに取り組む。