~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~
★【今年初の4日続伸】市場が「リスクオン」に傾いた2つのサイン
4日の東京市場で日経平均株価は4日続伸し、2月8日以来、およそ1ヶ月ぶりに17,000円台を回復しました。
前日に日経平均は今年初めて3日続伸し、売り一辺倒だった相場の流れが変わったため、待ちわびた投資家がようやく動き出したようです。
急ピッチな上昇が警戒され、前場に一時100円ほど下落する場面はあったものの、押し目を拾おうとする意欲は旺盛でした。
2月の米雇用統計の発表を控え、本日はさすがに上昇が一服するだろうとの見方が多数を占めていましたが、形勢は買い手優位に転じたようです。なぜ、雇用統計の発表週に4日続伸できたのでしょうか。
■「売りポジション持ち越し」が怖い?
週末を持ち越すのは怖いですが、前日までに900円超値上がりしており、買い方の投資家には気持ちの余裕がありました。
一方、ショートポジションを保有する売り方にとって、雇用統計の週末にポジションを持ち越すのは気が気なことではありません。
新規雇用者数の増加幅が大きすぎても、利上げが警戒されるため、株売り要因になる場合があります。
ただ、今月に関しては、仮に2月の雇用統計の数字が良くても、金融市場の混乱が収まらない状況での利上げは難しいため、利上げの可能性は非常に低い。そのため、数字がよかった分だけ上がるというシナリオが売り方は怖かったのです。
■ディフェンシブ株急落=市場はリスクオンに
売り方の買い戻しもあり、鉱業や石油などのエネルギー関連、鉄鋼や海運など中国関連株が上げ幅を広げました。
一方で、NTTに代表されるディフェンシブ株が急落しました。
(2914)JT、(4503)アステラス、(9437)ドコモ、(9433)KDDIなど超・重量級のディフェンシブ株が、一時3~4%値を落としています。
景気変動の影響を受けにくく、倒産のリスクがきわめて低いこれらの安全株は、国債などの安全資産に似た性質があります。
マイナス金利で運用先に困った機関投資家が、債券のウエートを減らし、ディフェンシブ株に資金を振り向けていたとみられますが、こうした銘柄から資金を引き揚げる動きが起こったのです。
これは何を意味するか。4日の値動きだけで判断はできませんが、ディフェンシブ株の急落は、マーケットがリスク選好に傾いたサインとみることもできるのではないでしょうか。
日経平均株価は年初から19勝24敗、まだ2,000円程負け越しています。攻守交替でいざ、反転攻勢とまいりましょう。
小野山 功