まはいさんのブログ
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北洋銀行 苦しい地銀の見分け方
ひと昔前は、地銀への投資が私のドル箱でした。
時代は変わり、当時に蓄えた知識を地銀投資のリスク回避で再利用します。
業種別貸出金残高 ↓ クリックで拡大
"業種別貸出金残高"は決算書の注記ですが、地方銀行に限っては貸借対照表や損益計算書よりも重要な投資資料です。
私の投資先の北洋銀行を、最大地銀の横浜銀行と、競合行の北海道銀行と比較します。
地方公共団体
地方公共団体及び政府への貸出です。
貸倒リスクが無い代わりに金利が低く、業務収支への貢献はほぼ有りません。
"業種別貸出金残高"を見比べると、貸出金に占める地方公共団体は次の通りです。
横浜銀行 3.6%
北洋銀行 32.2%
北海道銀行 25.8%
業務収益がほぼ取れない地方公共団体へ貸出す理由は主に次の3つです。
・地方公共団体の指定金融機関として当座貸越
・地元に貸出先が無いため政府需要へ応募
・分母の正常債権を水増して不良債権比率を引下げる
1つ目の理由は正常で横浜銀行はこの範囲と思われます。一方の北洋銀行は、2つ目、3つ目の理由が透けて見えます。
ここに、北洋銀行の危機的状況が見て取れます。
40%を超えた地銀は救済合併される
そのような明文のルールは有りませんが、最近の十八銀行の事例を見ると、暗黙のルールとして健在のようです。
その他
事業者を除く個人への貸出、いわゆる消費者ローンです。ほぼ全てが住宅ローンですが、自動車ローンや教育ローン等も含まれます。
現在の低金利下で金利が安定しており、営業費用が嵩むものの業務収支への貢献が高いです。
"業種別貸出金残高"を見比べると、貸出金に占めるその他は次の通りです。
横浜銀行 34.0%
北洋銀行 25.2%
北海道銀行 32.2%
営業力の差と言えばそれまでです。
しかし、北洋銀行は、上記の地方公共団体への貸出で分母が水増しされているため低くなっています。
対して、北海道銀行は極めて健闘しています。地元に居れば北海道銀行の営業攻勢は知るところですが、他府県だと知りようがない肌実感です。
不動産業、物品賃貸業
伝統的に地方銀行の稼ぎ頭です。不動産を担保に更なる不動産投資への信用創造が、地方銀行の王道です。
もっとも、かつてはバブル経済の一因になりましたし、最近ではスルガ銀行がやり過ぎました。慎重視した方が良いです。
"業種別貸出金残高"を見比べると、貸出金に占める不動産業、物品賃貸業は次の通りです。
横浜銀行 30.0%
北洋銀行 9.5%
北海道銀行 8.6%
これはもう、首都圏と地方の経済格差です。いくら地方で頑張っても仕方ありません。
地方から首都圏に乗り込んで営業するしかないのですが、かぼちゃの馬車事件から難しくなっています。
ここにも、北洋銀行の危機的状況が見て取れます。ただし、北海道銀行の絶望的状況に比べて、まだ少し救いです。
苦しい地銀の見分け方
・王道の不動産融資が低迷
・消費者ローンが伸びない
・仕方なく地方公共団体へ貸出し
この3つは、互いに関連しており、地方銀行の多くに見られる苦境です。
特に3つ目の地方公共団体への貸出は、不良債権比率を抑える魔法の効果も有ります。
地方公共団体が40%を超えた地銀は救済合併される
北洋銀行への投資でも、そのリスクを念頭に置くことにします。
北洋銀行 横浜銀行 1年比較チャート ↓ クリックで拡大
北洋銀行は苦境にもかかわらず、横浜銀行と近い株価形成になっています。
それは、下のチャートと比較すると歴然です。
北洋銀行 北海道銀行 1年比較チャート ↓ クリックで拡大
北洋銀行は、同様に苦境の北海道銀行と比べて、新年度から明らかに異なる株価形成になっています。
TSUBASAアライアンスの本格業務開始が両行の株価を分けました。
今や、北洋銀行は大手地銀グループと同じ株価形成に移行しています。
TSUBASAアライアンス
参加している地方銀行の中で、単独存続が最も厳しいのは北洋銀行です。
ここで地銀再編を見込んだ投資を検討しましたが、苦しい地銀を束ねたところで苦しみが多少和らぐだけです。
残念ながら、株価低迷している北洋銀行は、TSUBASAアライアンスの下で再編すれば単元未満株になると容易に予想されます。
北洋銀行への投資は、地元行との付合いの意味が強いので、再編に向けて少しでも有利な引揚げを目指します。
保有銘柄の分類2021.6.25 ↓ クリックで拡大
北洋銀行は、付合いの言い訳程度の保有です。
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