木下 晃伸さんのブログ
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【投資脳*海外株】工商銀の1~9月、利益は46%増と好調
■みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
経済アナリスト、木下晃伸(きのした・てるのぶ)です。
■27日のアジア株式市場で、日本株は26年ぶりの安値に沈みました。
また他国の主要株価指数もほぼ全面安。
香港ハンセン指数は前週末比12.7%安い11015.84で引け、
2004年5月17日以来の安値。中国の上海総合指数は6.3%下落。
台湾株は4.6%安で引けました。タイ総合指数の下落率も10%。
■こうした事態は、“新興国の倒産リスク”が引き起こしていると言えます。
実際、アイスランドの最大手銀行カウプシング銀行が発行した
円建て外債(サムライ債)が27日、
債務不履行(デフォルト)条件に該当したことも判明、
新興国リスクが極めて大きくなっています。
これほど不透明な環境の中、
我慢をし続けている個人投資家も多いと思います。
もちろん、市場から退出してしまった投資家もいるでしょう。
■これほど、投資家一人一人の考えが求められる
タイミングはなかったかもしれません。進むのか、引くのか。
私は、時間を味方につけて、進む、という判断をしています。
その理由を、本日もさまざまな面から書いています。
苦しい時期が続きますが、
理論武装だけは続けていかなければならないと考えます。
※本資料の利用については、必ずプロフィール画面の
重要事項(ディスクレーマー)をお読みいただいた上ご利用ください。
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●【中国】工商銀の1~9月、利益は46%増と好調[金融]
●【香港】CITIC問題、范社長の公職を一時停止[経済]
●【台湾】奇美、Q3は41億元の赤字に転落[IT]
※ニュース提供/NNA(http://www.nna.jp/)
著者により一部文章が削除、変更されるケースがございます。
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●【中国】工商銀の1~9月、利益は46%増と好調[金融]
中国工商銀行は24日、今年1~9月の業績を発表した。
純利益は昨年同期比46%増の927億3,000万元(約1兆2,800億円)で、
伸び幅は上半期の57%増と比べて11ポイントの減速となったものの、
依然高い水準となっており、上半期の利益額で
世界トップに躍り出た好調ぶりを維持した形となった。
利息による純収入は23.1%増の1,965億6,700万元、
手数料などの売上は27.9%増の345億8,300万元だった。
9月末時点での資産総額は9兆3,843億4,700万元で、
6月末時点に比べ7,000億5,900万元増えた。
負債総額は8兆7,985億2,800万元。
不良債権額は1,048億8,100万元で、不良債権比率は2.37%、
自己資本比率は12.62%だった。
破たんした米大手証券会社リーマン・ブラザーズに関係する保有債券額は
1億5,200万米ドルで、同行の総資産の0.01%。
またサブプライムローンやミッドプライムローンなど、
その他住宅ローン関連の債券を合計18億6,700万米ドル保有しているものの、
割合は同行集団総資産の0.14%にとどまるとした。
26日付上海証券報が伝えた。<全国>
【木下コメント】
世界中の株価が恐慌状態に陥っている。
日本株式市場では、日経平均株価は26年ぶりの安値に沈んだ。
特に、欧米金融機関に比較し財務が安定している
三菱UFJフィナンシャル・グループですら
約1兆円の増資に踏み切らざるを得ないほど、
世界中の金融機関が苦しんでいることが株価暴落の背景にある。
しかし、中国の金融機関の業績は絶好調だ。
なかでも、世界トップの中国工商銀行の業績は目を見張るものがある。
収益は伸び、かつ、サブプライムローンをはじめとする
証券化商品の残高も僅少である。
では、株価はどうか。大幅な下落を余儀なくされている。
この株価下落を“これから迫り来る恐怖”と考えるべきなのか。
それとも、“実態より下方に乖離し割安に放置されている”と見るべきなのか。
答えはすぐに出ないだろう。
ただし、3年後、5年後を考慮すれば“後者”ではないか。
そう考えられる投資家にとっては、今は2、3割の下落を覚悟してでも、
今後の2倍、3倍を期待することができるだろう。
※Industrial and Commercial Bank of China (Public, HKG:1398)
http://finance.google.com/finance?q=HKG%3A1398
●【香港】CITIC問題、范社長の公職を一時停止[経済]
中国政府系コングロマリット、中信泰富(CITICパシフィック)が
外為取引に絡み巨額の欠損を出すと発表、
証券先物委員会(SFC)が調査に乗り出している問題で、
政府は24日付けで同社の范鴻齢(ヘンリー・ファン)社長が
行政会議(閣議)メンバーを含む全ての公職から一時離れると発表した。
25日付信報によると、健康上の理由以外で
行政会議の構成員が任期中に休職するのは、中国返還後初めて。
范社長は、SFCの調査を受け、香港取引所(HKEX)、
SFCそれぞれの役職を既に辞任。
政府関連では、行政会議のほか
強制退職年金基金管理局(MPFA)の主席を務めていたが、こちらも休職した。
中信泰富が計上する予定の巨額損失を巡っては、
上場企業に課せられるコーポレートガバナンス(企業統治)が
機能していなかった可能性があるとみて、SFCが問題視。
証券先物条例違反の疑いも浮上しており、捜査を進めている。<香港>
【木下コメント】
欧米金融機関の苦境が、新興国各国に飛び火している。
そのことが、新興国の”倒産リスク”まで織り込む形で
世界中の株式市場が苦しんでいる。
特に、新興国の“倒産リスク”を考える上で、米ETF「EMB」に注目している。
本来、償還価額は“100”であるはずだが、現在では60ドル台に沈んでいる。
※iShares JPMorgan USD Emer Mkt Bnd Fd ETF (Public, NYSE:EMB)
http://finance.google.com/finance?q=EMB
いま、米国株、日本株共に、EMBと連動性が高まっている。
さらに、上記コラムのように、実際に新興国の金融が
壊滅的状態になってしまうと投資家の不安心理はピークになる。
これからの株価が反転するかどうかは、ひとえに新興国の状況次第。
今、焦点はその一点に絞られていると言っても過言ではないと考える。
●【台湾】奇美、Q3は41億元の赤字に転落[IT]
TFT-LCD(薄膜トランジスタ液晶ディスプレー)パネル2番手の奇美電子(CMO)は
24日、第3四半期の純損失は41億8,700万台湾元だったと発表した。
前期の137億4,000万元の黒字から赤字転落した。
何昭陽総経理によると、利益を犠牲にして、
受注獲得を優先したことが原因という。
第4四半期は減産幅を30~40%に拡大し、長引くパネル不況を乗り切りたい考えだ。
第3四半期の連結売上高は819億8,800万元で前期比14.1%減少、
純損失は41億8,700万元で、1株当たり利益(EPS)はマイナス0.56元。
出荷枚数(10.4インチ以上の大型製品)は1,751万枚で前期比6%減、
平均単価(ASP)は143米ドルで12%下落した。
■Q4、出荷量2けた減へ
第4四半期の展望については、出荷量はテレビ向けが前期比15%、
IT(情報技術)製品向けが10~15%減少すると予測。
ASPはそれぞれ11~12%、5~10%下落するとした。
一方、中小型パネルの出荷量は前期(3,300万枚)と
ほぼ同水準をキープするとみている。
25日付経済日報、工商時報などが伝えた。
【木下コメント】
当メールマガジンでも何度かお伝えしてきた奇美電子など台湾メーカーの状況。
北米クリスマス商戦はもちろんのこと、家電を中心とした
外需セクターを考える上で先行指標となりえるため、注目している。
その中で、とうとう台湾メーカーが赤字に転落した。
かつては増産に次ぐ増産を行い、結果在庫が増大、
価格が下落し赤字に転落する、という構図だった。
しかし、今回の業績悪化は、減産を行っての赤字。
需要が大幅に減退している証拠と言える。
これから北米の消費がどうなっていくか、正直分からない部分も多い。
しかし、ミクロをつぶさに観察していくと、
ミクロの企業の動向にヒントが隠されていることはよくある。
これから台湾メーカーは、
1)リストラ
↓
2)工場閉鎖など不採算部門撤退
↓
3)固定費削減
↓
4)受注前年対比反転
↓
5)業績底打ち、
という流れになっていくだろう。
回復するとするのであれば。
あとは、この流れのどこに台湾メーカーが位置するかを
日々観察していくしかない。
4、5のタイミングが見えてきたとき、
世界中の株式市場が反転する可能性は十分ある。
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編集後記
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●業績
海外企業の業績動向をみていると、
決して悲観する必要はないように見えます。でも、株価は・・・
あまりにも恐怖が蔓延し、投資家を完膚なきまでに叩く市場。
覚悟がなければ、とても耐えられません。
でも、これから再び大きく上昇するという大きな期待がなければ、
覚悟も持てないというもの。
新興国投資は、5年、10年のタームで投資を考え、
さらに2倍、3倍を狙う投資家しか、手がけることは難しいと思います。
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