回想モードで

[lopriderさん]

登場人物

ＬＯＰ：主人公

Ｈ太：ＬＯＰの息子。（遺伝子が((((；ﾟДﾟ))))ｶﾞｸｶﾞｸﾌﾞﾙﾌﾞﾙ。）

「パパ、おはよう。ずいぶんまだ暗いねぇ。」

「おはよう。まだ4時だからねぇ。」

「ひよっとして株とかやってた？。」

「（まあ、不可能じゃないけど、いくらなんでも、24時間そんなことしてたら死んじゃうじゃん・・・。）いや、年賀状の準備とか。」

「ああ、ボクもやらなくちゃ。でもメンドイから今年からメールだけにするかなぁ。」

「まあ、そうだね。自分もメールのほうが多いんだけど、目上の方はこっちのがしっくりするからなぁ。・・・たとえばさ、Ｓさん知ってる？。」

「Ｓさん？。ダレこの人？。ボクは会ったことあるかなぁ。」

「うーん。この人の家にしょっちゅう行ってたけど、君を連れて行ったことはないかもな。・・・90歳半ばの人だけど、今もすごくお元気なんだよ。」

「フジミな感じなんだ。パパみたく。」

「（そう見られてたのか？・・・意外だ。）そう？、自分はそこまで不死身じゃないけどな。」

「うん。期待してるのは、パパが120歳まで生きて、ダイオージョーするまでボクの面倒見てくれることかなぁ。」

「（イヤイヤ、それは違うくね。それって、マサカ死ぬ寸前まで【老体に鞭打って】ニートの面倒を見ることとか、提案してる？。）ギネス記録目指してるワケじゃないし、そこまではねぇ。・・・でもＳさんのところに行くとさ、今でもいつも必ず本や新聞を読むとかしてるよ。」

「読書家なんだ？。ボクもわりとそうだよ。」

「（ソモソモ、動画とゲームだけで生きてる読書家っているのか？。）まあ、この人はちょっと読書家とかいうのとは違うかな。もうちょっと実践的というか。」

「それって、どんな？。」

「Ｓさんはねぇ、20代の半ばで戦後、捕虜になったんだ。それだけじゃなく、収容所の現場監督にも指名されて。それで、Ｓさんは必死で言葉を勉強したんだ。」

「あー、そこなんで勉強なんデスカ？。」

「うん。聞いたところだと、ふつーにやってると仲間の大半が死んじゃうんだって。だから、自分たちがやる（外国語の）工程表を読めば、前日に仲間に情報を伝えて、準備させて、ノルマを完璧にこなせるそうなんだ。『仲間を生きて連れて帰りたい一心で、勉強したんだよ。』って言ってた。」

「なんかスゴイ人だねぇ。」

「それにねぇ、この話を聞きに行くとき、自分は予習していったんだよ。」

「ヨシュー？とかなにソレ？。」

「会う前にテハイして、Ｓさんの自伝を入手してた。帰国してからも政治の世界で活躍した方だから、資料もたくさんあったしね。」

「へぇ、さすが、だねぇ。パパにしては上出来じゃん。」

「（・・・上から目線の評価アリガトウ。）けどねぇ、その本を出して献辞をお願いしたとき、なんのチューチョもなくさらさらと、こちらの名前を書いたんだよ。フルネーム、漢字で。」

「ヨヤクしてたから、調べたのかな？。」

「いや、そのときは（事情あって）アポなしだったからねぇ。トニカク、会う可能性のある人についてカンペキに調べておくのはトーゼンという感覚らしい。・・・もう予習で完全に置いて行かれた感じがハンパないよね。」

「うーん。なんとも、マジい話だなぁ。」

「うん。でもまあ、実際に死線をくぐりぬけてきた人を前にしてると、たとえば株とかお金ぐらいの事でウロタエルのがバカバカしいって思うんだよね。」

「そりゃ、そうカモだね。（・・・でもやっぱり損するのは怖いんですケド。）」