株の家庭教育 その1(バイサイダーを倒せ・編)

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株の家庭教育 その1(バイサイダーを倒せ・編)

登場人物:

LOP:主人公

H太:主人公の息子。属性はものぐさ。


「さて、君のNISAのポートフォリオを見てごらん。」

「4つしか会社、ないねえ。」

「それから?」

「うーん。それと・・・ええと、ワカリマセン。」

「全部、たいがい株価が安いでしょ。」

「そういえば、そんなような。」

「頼りないねえ。あまり答えを教えちゃうのもなんだけど、株を買ううえで一番重要なことは3つあるんだ。」

「どんな?」

「(おいおい一番が3つあったらおかしいだろ。突っ込めよ。)それはね、安く買うこと。」

「あと2つは?」

「めんどくさいなあ。まあ、高く買わないこととかお得に手に入れるとか、かね。」

「パパ。もしかしてふざけてるの?」

「ごめん。とにかく、たとえばどこかの会社がめちゃめちゃお得な優待とかつけたとするよ、そのとき株価はどうなるでしょうか?」

「上がるよね、当然。」

「そう。優待株は予測が簡単だから。モデルとして、1株配当10円、100株で1000円のカードをつける会社とか考えてみよう。・・・優待スタートのころ1株1000円で買った人と、お得優待が評判になって1株2000円で買った人のケースを比較するね。NISAは5年周期だから、5年後株価は2000円として評価する。あとは計算してみな。」

「ええと、購入額が10万円だと100株買えるから年配当1000円でしょ。それにカードの1000円足して、2000×5で、1万円。」

「売却益は?」

「あ、そうか。じゃ11万円てことだね。同じ10万円で株価2000円だと50株だから・・・買えないねえ。」

「おいおい、コントかよ。」

「わかった・・・。20万円で比較すればいいんだ。さっきのは22万円でOKだから、あとのケースだと、売却益がないから配当1000円とカード分で1万円かあ。21万円差って・・・嘘。ひどすぎる。」

「そう。同じ投資金額でも天地の差でしょ。これがよくおこることなんだ。だから、お得な優待なんて実は存在しないかもね。お勧めされた時点で時すでにお寿司。」

「パパのギャグ、イマイチなんだよねえ。」

「エヘヘ、まあね。だから、利回りが大切なんだよ。優待株だってスタート時に買えば高利回りそのものだけど、それが人気になるとねえ。」

「うーん。でも、要はスタート時に買えばいいんじゃない?」

「そりゃ、そうさ。でも仮に君が読む優待特集とかあるとして、その記事を書いてる人が本当にお得だと思ったらソッコー買うんじゃね。」

「それはズルいよ。」

「うん。インサイダー取引といってね、関係者の取引は法律で取り締まられているね。でも、インサイダーとかアウトサイダー以外に、バイサイダーもいるんだ。」

「なにそれ。なんかVVライダーに出てくる怪人みたいなんですけど?」

「周辺関係者というか・・・。つまり、仕事柄他人より早く情報が入る人。」

「イマイチわからないなあ。」

「未来がわかれば投資なんて簡単でしょ。」

「占いとかのこと?」

「例えて言うと、記事を書く人はインサイダーとしても、記事を印刷する人はそうじゃそうじゃないってことさ。明日の紙面を見て夜間取引で信用売とか・・・ま、実際はそんなに単純じゃないけどね。株の多くの取引にはバイサイダー取引がからんでると思っていいよ。」

「なんか怖いんですけど。」

「そう。だから君のポートフォリオのためには、安全な卵を買ってるんだ。」

「卵?」

「うん。機関投資家やバイサイダーも手を出せないような、これから成長する会社の株。」

「これから成長するかなんて、どうやってわかるわけ?」

「3つの基準があるんだ。」

「どうせまた、冗談じゃないの。」

「実はそう・・・じゃなくて、本当に3つあるよ。将来性、配当性向、信頼性。この3つを満たしていれば、その企業の株は急成長するんだ。わかりやすくいうと一流企業に勤めてて、顔が良くて、誠実だとモテるというような・・・もんかな。」

「当たり前じゃん。」

「アハハ、今日は休日なのに、よく頑張って勉強したねえ。よし、今日はこれで終了。気分転換に、一緒に数学の勉強でもどう?」

「!」


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