東証の上場廃止基準はその運用の仕方に予てから疑問の声が上がっており
信頼回復のために、東芝の上場維持を認めるか否かについて
近々苦渋の決断を迫られることになると思います。
<東証一部・二部の上場廃止基準>
http://www.jpx.co.jp/equities/listing/delisting/index.html
(東芝は複数の基準に抵触していることが解かります)
それは上場廃止を免れた オリンパス や IHI の不正会計事件に比べ
組織的な関与が疑われることや、粉飾の対象が同社の主力事業だからです。
2015年、内部告発によって明るみに出た東芝の不正会計は
過去6年間に亘り利益の水増しや損失計上の先送りが行われていたというもので
主力事業の「インフラ関連工事・半導体・TV・PC」などが対象になっており
組織ぐるみの粉飾行為だと判断されても仕方がないと思います。
ですから「どうせ上場維持だろう」と安易に思い込むのは危険だと考えます。
<管理銘柄指定で上場廃止の可能性高まる:3/15 東洋経済>
https://shikiho.jp/tk/news/articles/0/163025
但し今回管理銘柄に指定された理由は
特設注意市場銘柄に指定されて1年半が経過しているため
3/15に提出した「内部管理体制確認書」の内容が不充分であれば
上場廃止も有り得るという単なる注意喚起だとの楽観的な見方もあります。
勿論関連企業に対する影響力などに配慮するのは解かりますが
日本を代表する企業だからといって、投資家を欺く悪質な企業を特別扱いすれば
これから先も不正会計が後を絶つことはないと思います。
因みにオリンパスの粉飾事件は本業と直接関係のない投資の失敗が原因でしたが
株価は一時80%以上下落し、多くの投資家が煮え湯を飲まされました。
それに比べると東芝の株価は年初から30%の下落に止まっています。
これは大多数の投資家が「東芝を上場廃止にすることはない」と考えている証拠だと思われ
チキンの私としては非常に気掛かりです。
<東芝「管理銘柄指定」で上場存続を審査:3/15 ブルームバーグ>
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-15/OMR43A6KLVRN01
<過去の事例から東芝の上場廃止について考える>
この記事は不正会計が発覚した当時(2015年)のものですが
上場維持と廃止の狭間を理解する良い材料だと判断し敢えて引用しました。
https://jp.ub-speeda.com/analysis/archive/01/
(追伸)
個人的には東芝に対する東証の甘い対応を考えると
根底には上場を維持させたいという思いがあることを強く感じます。
ただ不正会計の悪質さや、投資の公平性を重んじる(当たり前ですが)という観点から
ブルームバーグの記事からも読み取れる様に
今回ばかりは東証が判断に大いに迷うことは間違いないと思います。
因みに、先日「ウェッジHD」の株価暴落に関する日記にも書きましたが
「事故は買い、事件は売り」という相場格言に従えば
「東芝は売り」ということになります。
しかし大企業に甘い東証の体質が急変するかどうかもかなり疑問なので
東芝株に対する投資判断を強いて言うなら
「ギャンブルの割りには低リスクで、そこそこリターンが望める」というところでしょうか。