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到来“外国人買いの季節”、10月4000億円買い「全情勢」
到来“外国人買いの季節”、10月4000億円買い「全情勢」<株探トップ特集>
―追跡、「買い増し株」と「売り指令」―
東京株式市場で、外国人動向が関心を集めている。2013年や14年の大量買いとは打って変わって、9月まで大量売りを続けている。ただ例年、秋口以降、外国人は買い転換する時期であり、「徐々に下値を拾う動きも強まるのでは」との見方もある。このなか、投資ファンドには割安株を狙う動きがあり「物言う投資家」の影もちらつく。また、日本には「空売りファンド」が初上陸を果たした。
●日経平均はドル建てで実質2万円レベル、絶好の売り対象に
東京株式市場の閑散相場が続くなか、外国人投資家は年初から月間ベースで9月まで6兆1870億円の売り越し。この期間では過去最高ペースだ。外国人投資家は13年に15兆円超と歴史的な大量買い越しを記録し、14年も買い姿勢を続けたものの、15年は2500億円強の売り越しとなり、今年は売りペースを一段と加速している。
この要因には、「今年に入ってからの急激な円高の進行が嫌気されている」、あるいは「日銀の異次元緩和に限界が見えた」ことなどを外国人売りの原因に挙げる声が出ている。ただ、見逃せないことはドルベースの日経平均株価は、足もとでも160ドル台にあり14年頃と同じ高値水準にあることだ。これは、円高がドル建て価格を押し上げた面が大きい。
日本アジア証券の清水三津雄ストラテジストは「外国人投資家からみれば日経平均株価は2万円前後の高水準に見えるはずだ」といい、「世界的に株式市場の上値が重くなるなか、日本株は格好の利益確定売りの対象だろう」と話す。ただ今後に関しては、「この近年10月から12月にかけて外国人投資家は買い姿勢に転じている。日本株のウエートを大きく落とした外国人には、新たな買い余力も生まれているだろう」ともみている。
●「米国株買い・日本株売り」のポジション組成観測も
一方、いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「海外投資家には米国株買い・日本株売りのアービトラージのポジションを組む動きがあるようだ」と話す。同氏によると「昨年12月に米国の利上げが実施された頃から、この米国買い・日本売りの動きが本格化したようだ」という。売り対象は日本株に限らず、欧州やアジア株かもしれないが、米国に比べ相対的に弱いマーケットをターゲットにしているとみられる。
「日本株を嫌気して積極的に売っているのなら、先行き買い戻しが期待できる。しかし、裁定に絡む売りポジションが組まれている場合、なかなか買い転換しづらい。外国人の日本株売りは今後も続きそうだ」と秋野氏はみる。
とは言え、前述したように年末にかけては、例年買い姿勢を強めており、実際、10月に入り第1週と2週では4000億円近い買い越しとなった。また、足もとの原油価格の上昇も株式市場にはリスクオンの要因となり前向きにとらえられる。「年末にかけては、再度、日銀の追加緩和への期待が出てくる可能性があるほか、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に絡んだ規制緩和が浮上することもある」(清水氏)といい、これらの点が外国人の姿勢に変化を呼ぶことも起こり得る。
●村田製やラオックス、大塚家具などに逆張りの買いも
このなか、海外系を中心とした投資ファンドには、全体相場の状況に左右されず、割安株を仕込む動きがみられる。例えば、米系大手のキャピタル・リサーチは電子部品大手、村田製作所 を買い増しており、今月中旬時点で13.9%の株式を保有している。また、ホシザキ やアイスタイル 、旭化成 などの銘柄も買っている。ブラックロックは東燃ゼネラル石油 やオリンパス 、東京建物 、それにユニゾホールディングス などに投資しているほか、フランクリン・テンプルトンはラオックス [東証2]、ツガミ 、、MBO中のアデランス などの大株主となっている。
また、海外の「物言う投資家」と呼ばれるアクティビスト系ファンドも静かに台頭している。シルチェスター・インターナショナルはNIPPO や住友ベークライト 、アサツー ディ・ケイ に投資しているほか、ダルトン・インベストメンツは、マクニカ・富士エレホールディングス や東北新社 [JQ]などの大株主となっている。
さらに、今夏に米国の空売りファンドが日本に初上陸したことは高い関心を集めた。米グラウカス・リサーチは伊藤忠商事 を、シトロン・リサーチはCYBERDYNE [東証M]をそれぞれ売り対象とした。
国内系ファンドでは、レオスキャピタルが、大塚家具 [JQ]やトリケミカル研究所 [JQ]、山一電機 などに投資している。旧村上ファンド系のアクティビストであるエフィッシモ キャピタルはヤマダ電機 やリコー 、東京鐵鋼 、川崎汽船 などに攻勢をかけている。
全体相場に対する外国人投資家の動向には不透明感が残るものの、個別株に対して外国人などを背景とする投資ファンドはなお強い存在感を発揮しそうだ。
株探ニュース
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