人間を超える日は…?
では、どこまで人間に近づくのか?
研究者の中には、いずれは人工知能が人間を超える時代がやって来ると予想する人もいます。
このまま進歩していくと、あるとき、人間を超える力を持つようになるかもしれない。「シンギュラリティー(技術的特異点)」と呼ばれる概念です。SFの世界では古くから提唱されていましたが、それが現実になるかもしれないというのです。SFでは、人工知能が人知れず人間を支配する世界は人気のあるテーマです。
例えば、高度な人工知能が地球上で起きるすべての物事を支配し、自分たちに抵抗する人間を排除して思いどおりの世の中を実現する・・・。
もちろん、そうした世界が現実になることは(当分の間)なさそうです。ある研究者は「人工知能の得意な分野はまだまだ限られています。世間で恐れられるような、人工知能が人間を超える日は、そう簡単には来ませんよ」と話してくれました。
私自身も取材するなかで、最近の人工知能の進歩に驚きつつも、現状では人工知能が人間を超えるのは難しいと感じています。
どれだけ技術が進んでも人間にしかできないことが数多くあるはずです。人工知能といってもしょせんは人間が作った、、、おや、誰か来たみたいですね・・・
先週、グーグルのグループが開発した囲碁の人工知能「AlphaGo」が人間のトッププロに勝利し、世界的な話題となりました。こうしたなか、20日、囲碁ソフトの強さを競う世界大会が東京の大学で開かれ、6つの国と地域から過去最多の31チームが参加しました。
大会には「AlphaGo」は参加していませんが、去年から囲碁の人工知能の開発に乗り出したアメリカのIT企業、フェイスブックのチームが初出場しました。決勝は、そのフェイスブックの「darkforest」と、過去2回優勝している日本の強豪ソフト「Zen」の一騎打ちとなりました。
対局は互いに激しい攻めを見せる熱戦となりましたが、最後は「Zen」が勝利し優勝しました。
「Zen」を開発した加藤英樹さんは「どのソフトも強くなっていて、なんとか勝てました。グーグルの強さの理由はあまり分かっていないが、それを上回るものを目指していきたい」と話していました。
また、準優勝となったフェイスブックの田淵棟さんは「グーグルの達成は人工知能研究にとって偉業だと感じている。私たちは新参者だが今後も開発を進め、囲碁だけでなくさまざまな分野に応用したい」と話していました。
「AlphaGo」に勝てるソフトを
「Zen」は今、日本の人工知能の分野で大きな注目を集めています。今月1日、国内の人工知能の研究者やIT企業などが記者会見を開き、グーグルの「AlphaGo」に勝てる最強の囲碁ソフトの開発をオールジャパン体制で進めていくと発表しました。
その中核となるのが「Zen」です。インターネットの動画配信で知られるIT企業「ドワンゴ」が研究設備を提供し、「AlphaGo」で使われた、コンピューターにみずから解決策を模索させる最新の技術を駆使して「Zen」を改良していくことになっています。
「生活に身近な分野への応用期待」
大会の主催者で人工知能研究が専門の、電気通信大学の伊藤毅志助教は「人工知能の研究者にとって強い囲碁ソフトを作るのは大きなテーマとなってきました。人工知能の技術は、すでにルート探索や翻訳などの技術に応用されていますが、今後、囲碁ソフトの研究を通じて、生活に身近な分野にさらに応用されていくことを期待しています」と話していました。
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