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シャープ 94円79銭

鴻海精密工業に期待する投資家もいるようですが、投資家の利益となるのは産業革新機構です。

鴻海精密工業なら0円、産業革新機構なら約95円、どちらになるか丁半博打です。

投資家か? 銀行か?
産業革新機構は優先株式の消却を銀行に求めている点を除いて、全ての面において鴻海精密工業より手厚い再建案です。
逆に、鴻海精密工業優先株式の消却を銀行に求めないことを切り口に、産業革新機構より凡そ3割引でシャープを傘下に収めようとしています。
つまり、優先株式の消却を迫られている銀行が、責任を甘受するかシャープを売払うかの選択肢を握っています。
優先株式の消却を銀行が甘受すれば、それは投資家の負担軽減、すなわち利益となります。
投資家なら、まして日本人なら、鴻海精密工業に期待するのは愚の骨頂と考えます。

シャープ優先株はMSCB再来
2004年をピークに投資家を苦しめたMSCBと同じ仕組みをシャープ優先株は備えています。
転換価格は30日移動平均株価であり、種類株主は株価100円までの下落リスクを負わないというものです。
おまけに、優先配当が年間72億円で未払分は累積して後払いとなります。
万が一にも鴻海精密工業が画期的なシャープ再建を果たしたとしても、優先株の優先配当と優先転換権がある限り、早くても平成30年まで普通株式の1株あたり資産は0円です。

2/4第3四半期決算短信←IRリンク
赤字ですが、それほど悪くありません。
資産回転率が落ちて債務が重いのがネックなので、市況改善か資産リストラで黒字転換は難しくないでしょう。
シャープの問題は財務、特に資本政策にあり、経営状況はそれほど悪くありません。
鴻海精密工業が欲しがるのも当然です。

1株当たり株主資本 94円79銭
産業革新機構の案を受入れれば、優先株式の消却により、普通株式の1株当たり株主資本は跳ね上がります。
現状では、A種優先株式と、更にリスクの無いB種優先株式の2段構えで、普通株式の1株当たり株主資本は0円、正確にはマイナスです。
鴻海精密工業なら0円、産業革新機構なら約95円、どちらになるか丁半博打です。

投資方針
見送ります。
0円か95円か、面白い博打ですが、100円超で買ったらどちらに転んでも負けです。
投資家として、日本人として、産業革新機構を応援しつつ見守ります。

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