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2月12日の海外株式・債券・為替・商品市場
2月12日の海外株式・債券・為替・商品市場
NY外為:ドル上昇、米小売売上高受け利上げ観測強まる
12日のニューヨーク外国為替市場ではドルが買われ、ドル指数は3カ月ぶり低水準付近から上昇。米国の消費は引き続き力強いことが示唆されたことで、年内の利上げ実施に向けた論拠が増えた。
ドルは大半の主要通貨に対して値上がりした。米商務省が発表した1月の小売売上高は市場予想を上回る伸びとなり、前月分は速報値から上方修正された。ドルは対円では5営業日ぶりに反発し、2014年10月以来の安値から上昇した。
米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は今週の議会証言で、金融当局はデータを注視し、緩やかに利上げしていく方針だとあらためて表明した。これを一因に、ドルは週間での下げ幅を縮小した。世界的な景気減速懸念や欧州の一部銀行をめぐる信用不安を背景に米金融政策引き締めの見通しに陰りが生じたことから、ドルは週間ベースでは3週連続の下落。
コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジのチーフ市場アナリスト、オマー・エシナー氏は「米消費者は世界経済を救済できる立場にはないかもしれないが、米経済を比較的良好な状態に維持できる程度には十分まだ力強いかもしれない」と指摘。「データが発表されて、それが引き続き米国の相対的な強さを示唆するならば、ドルの底値を裏付ける根拠が強まり始める可能性もある」と述べた。
ニューヨーク時間午後5時現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比0.2%上げて1219.36。前日は一時、昨年11月4日以来の低水準をつけた。
ドルは対円で0.7%高の1ドル=113円25銭。ドルは対ユーロで0.6%高の1ユーロ=1.1256ドル。
今週は米国の利上げ見通しが後退したことから、ドル売りが強まった。ドルの円に対する相対力指数(RSI、14日ベース)は30を下回り、ドル安・円高が極端に進んだため反転する可能性があることを示唆した。ドルのユーロに対する同様の指標もドルの弱さが行き過ぎであることを示す水準付近にとどまっている。
1月の米小売売上高は前月比0.2%増。前月は0.2%増と速報値の0.1%減から上方修正された。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、来週発表される米消費者物価指数はコア指数が前月から上昇すると予想されている。
◎米国株:反発、S&P500種は6日ぶり上昇-金融株高い
12日の米国株は反発。S&P500種株価指数は昨年9月以来で最長の連続安を脱した。原油価格も持ち直し、1月の米小売売上高は3カ月連続の前月比プラスを記録した。
この日は金融株や素材、エネルギー株が特に堅調だった。S&P500種 は2%高の1864.78 。前日までは5日連続安。ダウ工業株30種平均はこの日、313.66ドル(2%)高の15973.84ドル。ナスダック100指数は1.4%上昇した。
12日に発表された経済データのうち消費者マインド指数は4カ月ぶり低水準に落ち込んだ。株価下落や世界的な経済情勢の悪化が影響した。中国の景気減速や原油安、米金融当局による利上げペースなどあらゆる懸念が投資家のリスク資産回避をもたらし、前日の株価は世界的に下落していた。
エドガー・ロマックスの投資事業バイスプレジデント、フィリップ・ティッツァー氏は「誰もが買いの好機を探している」と述べ、「今の価格に魅力を感じる投資家が手元資金を投資に回しているのだろう。原油が上昇している。これまで原油高に連動する株高を何度も目にしてきた」と続けた。
週間ベースで米国株は0.8%安。前週に続く下げだった。15日の米金融市場はプレジデンツデーの祝日で休場となる。
これまで米国株を押し下げてきた銀行株がこの日は買いを集めた。JPモルガン・チェースは8.3%上昇。ジェイミー・ダイモン会長兼最高経営責任者 (CEO)が2660万ドルを支払い自社株を購入したことが手掛かりとなった。バンク・オブ・アメリカやシティグループも値上がりした。
カジノ運営会社ウィン・リゾーツは16%急伸。2015年10-12月(第4四半期)の利益はアナリスト予想を上回った。マカオでの事業は落ち込んだが、米ラスベガス事業が増収となり一部を補った。
保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は4.9%高。同社は四半期増配と50億ドル規模の追加の自社株買いを発表した。
クーポン共同購入サイトを運営するグルーポンは29%の大幅上昇。四半期利益が予想を上回った。モバイル決済サービスのスクエアは7.9%高。
四半期決算の発表も3分の2を過ぎた。これまで発表したS&P500種構成企業のうち約75%超で利益がアナリスト予想を上回ったが、売上高が予想を上回ったのは半分に満たない。アナリスト予想ではS&P500種採用企業の第4四半期利益は4.5%減と、1月15日時点の予想(7%減)からは上向いている。
◎米国債:年初来で最大の下げ-原油・株式相場の上昇で
12日の米国債相場は反落。利回りは2カ月で最大の上げとなった。原油価格が7年ぶりの大幅高となり、米国株も6営業日ぶりに上昇したことが手掛かり。
10年債は7営業日ぶりに下落。朝方発表された1月の米小売売上高は3カ月連続での増加となった。自動車や衣料、オンライン販売の売り上げが好調だった。前日の取引で10年債利回りは、2012年7月に記録した過去最低の1.379%まであと15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の水準まで下げていた。
米国債は週間ベースでは3週続伸となった。世界的な金融市場の混乱に伴う逃避需要が背景にある。
BMOキャピタル・マーケッツの金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏は「どれだけ続くかは分からないが、良い変化であることは確かだ」と指摘。「市場がこれまでに極めて悲観的になってしまったこと、そして米国の個人消費には少なくとも多少の力強さがあることを再認識させる動きだ」と述べた。
ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回り は前日比9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.75%。同年債(表面利率1.625%、2026年2月償還)価格は26/32下げて98 7/8。利回りは前日、一時1.53%まで下げた。
この日特に大きく下げたのは30年債相場で、利回りは11bp上昇の2.6%となった。
10年債利回りの相対力指数(RSI、期間14日)は約34。一時は30を下回った。同指数が30を下回ると、利回りの下げが大き過ぎ、かつペースも速過ぎる可能性を示唆する。
米商務省の発表によると1月の小売売上高は前月比0.2%増で、伸び率は前月と同じだった。前月は速報値では減少だったが、増加に修正された。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査の中央値では、1月は0.1%増が見込まれていた。
FTNファイナンシャルの金利戦略責任者、ジム・ボーゲル氏は「相場はまだ上昇モードにある。単に身をかがめて次の一撃を待ってはいない」とし、「ここ半年に発表された小売売上高で、平均的ないし良好といえる内容は今回が2回目だ」と述べた。
先物トレーダーらが織り込む年内の利上げ確率は30%と、年初時点の93%から低下している。この算出は、次の利上げ後に実効フェデラルファンド(FF)金利が新たな目標レンジの中央になるとの仮定に基づく。
◎NY金:反落、週間ベースでは2008年以来の大幅高
12日のニューヨーク金先物相場は反落。週間ベースでは7年ぶりの大幅高となった。世界的な株安やドルの下落から逃避する動きが強まった。
ミトンオプティマル・グループの商品担当最高投資責任者(CIO)、アンディー・ファフ氏は電話取材で、「金はここのところハリケーンのようにあらゆる要素から力を吸い上げながら上昇してきた」と指摘した。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は前日比0.7%安の1オンス=1239.40ドルで終了。週間では7.1%高と、2008年12月以来の大幅上昇となった。
銀先物3月限は0.1%未満下げて15.79ドル。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のプラチナは下落。パラジウムは上昇した。
◎NY原油:7年ぶりの大幅高、株反発とUAE高官発言で
12日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が急伸し、7年ぶりの大幅上昇。株式相場の反発と、石油輸出国機構(OPEC)には他の産油国と協力する用意があるとしたアラブ首長国連邦(UAE)エネルギー相の発言が好感された。
みずほセキュリティーズUSA(ニューヨーク)の先物部門ディレクター、ボブ・ヨーガー氏は「12年ぶりの安値更新を受けてショートを買い戻すのは、大いに納得の行く取引だ」と指摘。「OPEC加盟国の中でも信頼できる国から減産協調への前向きな発言が出てきた。具体的な結果につながるとは思わないが、それでも注意に値する」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物3月限は前日比3.23ドル(12.32%)高い1バレル=29.44ドルで終了。2009年2月以来の大幅上昇を記録した。ロンドンICEのブレント4月限は3.17ドル(11%)上昇の33.23ドル。
◎欧州株:3週ぶり大幅高-コメルツ銀やドイツ銀など銀行株高い
12日の欧州株式相場は上昇。銀行株や鉱業株、エネルギー銘柄が上げ、指標のストックス欧州600指数は3週間ぶりの大幅高となった。
ドイツのコメルツ銀行は18%高と、09年以来の大幅高。昨年10-12月(第4四半期)の決算が黒字となったことを受けて、低金利環境の中で銀行が黒字を維持できないとの懸念が和らいだ。銀行株指数は前日に11年8月以来の大幅安となっていた。ドイツ銀行は12%上昇。合わせて約54億ドル相当の債券を買い戻す計画を発表。商品値上がりを背景に、エネルギー銘柄は08年以来の大幅上昇、鉱業株は09年以来の大きな上げとなった。
ストックス600指数は前日比2.9%高の312.41で終了。前日は13年以来の安値を付けていた。ユーロ圏経済が昨年10-12月に成長の勢いを保ったことを経済統計が示したのも支援要因となった。域内成長率は0.3%と、エコノミスト予想に一致した。
セブン・インベストメント・マネジメント(ロンドン)のインベストメントマネジャー、ベン・クマール氏は「リセッション(景気後退)や金融システム崩壊を市場が織り込んでいたのは正気の沙汰ではない」と指摘。「だが、これで株急落が終わったのだとは断言できない。強気だと最初に名乗りを上げたい者は今は誰1人としていない」と語った。
ストックス600指数の今週の下落率は4.1%に縮小。この日の出来高は30日平均を約20%上回る水準だった。ユーロ圏の株価下落に備えるオプションの価格を反映するVストックス指数は昨年8月以来の高水準に達した後、6.8%低下した。
銀行株価指数は5.6%上昇。これは12年以来の大幅高。モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナは値下がりした数少ない銘柄の1つで、この日は5.2%下げて上場来安値を更新した。MSCIが同社のイタリア株価指数から除外したことが売り材料。
◎欧州債:ポルトガル債が週ベースで乱高下-予算案で改革不安
12日の欧州債市場ではポルトガル債が乱高下。この日は値上がりで取引を終えたものの今週は一貫して値動きが激しく、利回り変動幅は143ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に達した。公務員給与の減額措置撤廃などが予算案に盛り込まれ、改革プログラムに悪影響を及ぼすとの懸念が背景にある。
週ベースで利回りがここまで変動したのは2013年7月以来。当時は救済を受けるのに必要な予算措置をめぐって連立与党がもめていた。今週はユーロ圏の中でも債務と財政赤字の水準が高い国の国債が売られ、特に市場の矛先はポルトガルに向かった。
ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)の欧州金利戦略責任者ピーター・シャフリク氏(ロンドン在 勤)は、ポルトガルをイタリアやスペインと比べると「全く別の状況だ」と指摘。「問題がなぜ生じているのかは簡単に分かる。ポルトガル政府は市場が求める成果をもたらしていない。その結果として、私はもちろん慎重にならざるを得ない」と続けた。
ロンドン時間午後5時現在、ポルトガル10年債利回りは前日比37bp低下の3.73%。一時は34bp上げた。同国債(表面利率2.875%、2026年7月償還)価格は2.975上げて92.705。利回りは前日に4.53%と、14年3月以来の高水準に達した。2年債利回りはほぼ変わらずの1.20%。14年5月以来の高水準である1.76%をつける場面もあった。
イタリア10年債利回りはこの日、6bp低下の1.65%。今週全体では10bp上昇した。スペイン10年債利回りはこの日、4bp低下の1.74%。前週末比では10bp上げた。ポルトガル10年債利回りは週べースで60bp上昇。
ブルームバーグ抜粋
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