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電柱おじさんの話

1月18日 雪雪が降れば 思い出す。遥かな尾根 遠い空♪さて・・・雪である。雪と言えば、この話しかない。題して・・・「電柱おじさん」の話。皆さんは、この電柱おじさんの話をご存知だろうか?ご存じない方はこの機会に、是非知っておいて頂きたい。こんな話だ。※ ※ ※雪はすでに止んでいた。男は手にした傘を小脇に挟み両の手をポケットに突っ込みながら歩いている。それほどに寒い。男の年齢は・・・もう、中年と言ってもいいだろう。背筋を丸め、歩く姿もおぼつかない。若干飲んでるようだ。道は緩やかな下り坂に差しかかった。男は革靴を履いている。ご承知のように革靴というのは、滑りやすい。男は滑らないように、滑らないように慎重に歩く。しかし両手はポケットの中・・・・何か嫌な予感がする。案の定ツルリン!男はコケた。イテッ!普段なら、ここで起き上がれば済む。しかし・・・男の不幸はここからだった。男の両手はポケットの中。しかも下り坂。そして雪道。まさにアイスバーン状態。ここで、万有引力と慣性の法則が働いた。両手をポケットの中に入れたまま男の体はズルズルズルズルと坂道を滑り落ちて行く。幸いにも、それほどの急坂ではない為、重篤な事故には至らないようだ。なだらかで長い坂。それが逆に災いした。ゆっくり、ゆっくりと滑り落ちる男・・・いやおじさん・・・・・と言った方がいい。おじさんは、もがいていた。何とか、両手をポケットから出さなければ・・・だが、出ない。ちょうど、あぐらをかきながら滑り落ちて行く格好だ。何とまあ、無様な格好ではある。おじさん・・・まだ滑ってます。胡坐をかきながら、まだ滑ってます。おじさんの前を歩く主婦。おじさん、その主婦をゆっくりと滑りながら追い越しました。その時の主婦の顔をおじさんは一生忘れないでしょう。追い越しざま、目と目が合う両者。驚きの表情でおじさんを凝視する主婦。恥ずかしそうな顔で主婦を見上げるおじさん。おじさん 「ども」何が・・・「ども」・・・なんだか。主婦 「こんにちわ」そう答えざるを得ない主婦。そのまま、滑り落ちて行くおじさんを呆然と見送る主婦。手を振るおじさん。「ではまた」その時、おじさんの前方5メートル位のところに電信柱が立っているのを、主婦は見ました。さあ、クライマックスだ。胡坐をかき、両手をポケットの中に入れたまま・・・おじさんその電柱に頭から突っ込んで行きました。ゴチン!イテ!本日、何回目の「イテッ」だろうか?ついにおじさん、止まりました。坂ノ下の電柱に頭から突っ込んで、止まりました。それほど痛くはないようだ。いや、痛いのだろうが、恥ずかしさが勝っているのだろう。頭をさすりながら立ち上がるおじさん。その脇をバツが悪そうに通り抜ける、先ほどの主婦。ここで両者、再び目を合わせる。軽く会釈をしながら、立ち去ろうとするおじさんの後ろで主婦がつぶやいた。この一言を、おじさん・・・今でも忘れていない。主婦はこう言ったのである。「ホントにねぇ~~~」???何が 「本当にねぇ・・・」 なんだろうか?その言葉・・・・十数年経った今でも・・・・俺は、ハッキリ覚えている。※ ※ ※これが電柱おじさんの話なのだが電柱おじさんが誰なのかは・・・判りますよね?実話だよ。
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