(略)
結婚していましたし、仕事も始めていたし、
今さら大学の卒業証書をもらっても役にも立ちません。
でも当時の早稲田大学はとった単位分だけ授業料を払えばいいという制度で、
残した単位もそれほど多くなかったので、
仕事をしながら暇を見つけて講義に出て、
七年かけてなんとか卒業しました。
最後の年、安堂●●先生のラシーヌの授業をとっていたんですが、
出席日数が足りず、また単位を落としそうになったので、
先生のオフィスまで行って
(略)
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★「職業としての小説家」
村上春樹著 スイッチ・パブリッシング 1,800円+税 2015.9.17.第1刷
P.38より抜粋
安堂先生の名前で伏せ字になっているところは、
オイラとまったく同じ漢字を同じ順番で使ったものになっていた。
読みも同じなんだろうか?
こういう不思議な偶然がいくつも重なってきて、
オモロイ現象だとは思うけれど、
そろそろオイラは満腹になってきた。
(というか、もう怖い)
伏見稲荷大社からの、不思議。
なのだろうか?
*
この書籍には、
村上春樹の「プロットをもたない」小説の書き方が、
つまびらかにされている。
なぜそのように書くのか、その後どういった作業をしているのか、
わかりやすいように書いてある。
「プロットをもたない」という噂にはなっていたけれど、
ホントウなのだろうかと、思っていた。
本当にホントウみたいだ。
彼が初めて小説を書いたときのエピソードも、
魅力的な話だった。
最初に英語で書いて、それを日本語にしたのだという。
日本に嫌気がさして、米国へ行ったときの話もオモロイ。
やっぱり、エージェントが出てくる。
帯にも書いてあるとおり、自伝的エッセイ。
けれど、やっと巡り会ったオモロイ小説よりも、
これはもっとオモロイ。
最後の章には、河合隼雄も出てくるし。
河合隼雄がひとの話を傾聴する姿ってのは、
河合隼雄の書籍を読んでも、絶対に出てこないから。
(だって、河合隼雄が一人称で書いているのだから、そー書けないものね)
それって、貴重な描写だと思うのであった。