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日本買い物旅行の中国人の裏側

人民元高、円安を背景にあれほど嫌いな筈の日本に中国人の観光ブーム。一部に歓迎論もあるようだが、大方は冷ややかに或いは迷惑顔でみている。そのマナーの悪さは日本人の顰蹙を買っている。

買い物の中味は炊飯器、クスリ、粉ミルクが定番。一眼レフのカメラ、ブランド品、子供服などと続くが、隠れたベストセラーは紙おむつだ。

宇宙に人工衛星を打ち上げ、大陸間弾道ミサイルを飛ばす中国が、何故かまっとうな紙おむつを作れないのだ。

中国製玩具、栄養剤、クスリ、粉ミルク、ペットフーズなどに大量の有毒物質が見つかっているが、紙おむつも紙質の悪さ、漏れ、そして有毒物質が含まれているため赤ちゃんの肌に腫れ物が出来る。かぶれる。ふん尿が漏れるなどクレームの山となった。そこで日本観光にやってくる中国人は目の色を変えて紙おむつも大量に買い込むのである。

在日華字紙のなかでも、もっと幼稚な反日論を展開する『網博週報』(1月30日号)は、こう書いた。

「マナーの低い中国人商人らが有毒物質を含む原料を使って紙おむつを製造、ひたすら利益をむさぼっている。こうしたビジネスマナーの劣化こそが、日本の紙おむつを中国市場でベストセラーとした原因である」。

中国では毎年新生児が1600万人も増える。ゼロ歳児から3歳児までの紙おむつ市場は7000万人、毎日消費される紙おむつは3000万枚以上という巨大市場である。この魅力的なマーケットが、中国劣化製品のために日本製品が独占的に売れ続けるとは皮肉なことである。

日本のメディアは高級炊飯器などの「爆買い」に熱狂する中国人観光客の免税店での風景を、なんだか楽しそうに伝えた。

しかし買い物に熱中しているのは中国の富裕層でない、彼らは中産階級である。しかも買い物の目的は帰国後の「転売」である。

富裕層、じつは或る事態の変化に鬱勃と日々を過ごしているのだ。

9・11テロ事件以後、米国はスイスに最大の政治圧力をかけつづけた。

「テロリストの資金洗浄に利用されているので、銀行口座の情報を公開せよ」と。ついにスイスは取引に応じた。3年ほどの猶予期間があったためスイスの秘密口座からカネはざっと世界のほかのタクスヘブンへ逃げた。

その多くのリストが今度は「スイスリークス」に漏れ、中には李鵬の娘、李小琳の名前もあった。日本人建築家の名前もあった。

2月下旬、ジュネーブの検察当局はHSBC(香港上海銀行)スイス支店を捜索した。容疑は「脱税、麻薬取引、マネー・ロンダリング、武器輸出入決済の疑いあり」。

2007年からのリストでは世界200ヶ国からおよそ10万人がスイスのプライベートバンクに合計で1000億ドルを秘匿していた。

これから何が飛び出してくるか? 中国の本当の富裕層は買い物どころではないのである。
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