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雑談

 

 春分の日(3月21日)とその前後3日間を合わせた7日間を「春彼岸」と言います。

 「彼岸」とは、迷い苦しむ現世の人間界(此岸)に対する言葉で、「彼(か)の岸に至る」を意味するサンスクリット語の「パーラミター(波羅蜜多)」からきています。煩悩の束縛から解き放たれて悟りを開いた涅槃の境地が彼岸です。

 空間的には東が現世(此岸)で、西にあるのが極楽浄土(阿弥陀如来が建立したとされる極楽)となっています。太陽がほぼ真西に沈むこの時期は西方にある浄土(彼岸)に最も近いと考え、仏事が行われるようになったそうです。

 ところで、彼岸に欠かせないのが「ぼたもち」です。今は一年を通して「おはぎ」として売っているお店もありますが、本来は季節の花にちなみ春の彼岸は「牡丹餅」、秋の彼岸が「お萩」。赤色系の花の色や、餡となる小豆には邪気を払う効力があるとされています。

 この二つ、違いは食べる時期や名前だけではなく、ぼたもちは牡丹の花をかたどり丸く大きく、おはぎは萩の花のように小ぶりで少し長め、元々はぼたもちはこし餡、おはぎはつぶ餡という違いもありました。

 ちなみに、夏のぼたもちは「夜船(よふね)」、冬のぼたもちには「北窓(きたまど)」という呼び名があります。

 ぼたもちは餅米を使いますが、杵と臼で搗(つ)くようなことはしません。「搗き知らず」→「着き知らず」→「いつ着いたのか分らない夜の船」ということで「夜船」。同じように「搗き知らず」→「月知らず」→「月が見えないのは北側の窓」ということで「北窓」と呼ぶそうです。

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